『ばくはつ五郎』エッセイ2 俺と『ばくはつ五郎』



  • 『ばくはつ五郎』とは何だ?

     私が初めて『ばくはつ五郎』というテレビまんがの存在を知ったのは、今から5年ほど前(※1996年)のことだ。
     当時加入していた、あるパソコン通信ネットで、その名前が出されていた。
     話によると、オフ会のときにアニメ上映会が開かれ、その中で『ばくはつ五郎』の主題歌も見られたのだという。

     それからしばらくして、そのネットで大幅なメンテナンスが行われた。
     その際、突然『ばくはつ五郎』専用のメッセージボードが作られた。

    『ばくはつ五郎』。
     確かに、他にも知らないアニメ・特撮等の専用ボードがあったが、この名前は、非常なインパクトを持って私を襲った。
    「ばくはつ」即ち explosion。しかも表記は平仮名。
     それに続く「五郎」という、イカしすぎた名前。
     一体、これはどんな作品なのだろうか?
    『ばくはつ五郎』とは一体何なのだろうか?

     ボードの書き込みによると、主人公の「ばくはつ五郎」は番長で、しかも8年くらい高校生をやっており、何か事件が起こると真っ先に出かけ、そして最後には「もう爆発だ〜っ!」と叫んで殴りかかり、事件を解決するらしい。
     イカしすぎているぞ、『ばくはつ五郎』。
     見たい。『ばくはつ五郎』を見てみたい。
     だが、かなり昔の作品でもあり、私は、最初からほとんどあきらめていた。

  • 『ばくはつ五郎』との出会い

     だが、天は私を見捨てなかった。
     ついに私に、『ばくはつ五郎』を観賞するチャンスが訪れた。
     同じネットのオフ会(上映会)で、『ばくはつ五郎』の第23話が上映されたのだ!

     かねてよりネット上にて話題になっていた『ばくはつ五郎』。
     参加者約50人は、かたずを飲んで画面を見つめる。

     とうとう見ることができた『ばくはつ五郎』。
     待ちに待った、この瞬間。
     期待が膨らむ。

     男声合唱の、やや時代錯誤的ではあるがさわやかなオープニングテーマが終わり…
     そして23話のタイトル『青春に涙あり』が表示され、期待は最高潮に達した。

     ……。
     ……。
     ……。

     およそ25分。
    『ばくはつ五郎』の23話は終了した。
     上映会の会場を包む静寂。ため息。かすかに聞こえる、いびき。

  • 『ばくはつ五郎』のファースト・インプレッション

    『ばくはつ五郎』。
     この、類い稀なインパクトを持つタイトルが付けられたアニメは、我々に鑑賞前の期待とは明らかに別種の衝撃を残し、時期はずれの台風のように過ぎ去っていった。

     まず、主人公である五郎が、あまり出ない。
     脇役の東ばかりが目立ち、主人公は一体何のためにいるのか…。

     それに、五郎は噂されていたように「爆発だ〜っ」とは叫ばなかった。
     しかし、東を力の限りに何度も何度も殴りはしたが。

     もしも本当にあれが一番面白かったとするならば…
     私達は、ただこのインパクトあるタイトルに振り回されていただけだったのか…。

     ただし未確認ながら「五郎の登場時間が一番少ない回だった」との情報もあり、その真偽は結局、ネットが休局しても明らかにされなかった。

  • 真実の『ばくはつ五郎』

     今の私は、既に『ばくはつ五郎』を知っている。
     五郎は番長でもなければ、8年も高校生をやっているわけでもない。というか、そもそも高校生ではなく中学生だ。
     そして五郎は、多くの場合「爆発だーっ!」と叫んで、事件を解決する。
     とてもイカした奴だと、今は知っている。

     誤解があろうと期待はずれだろうと何だろうと、とにかくあれが私と『ばくはつ五郎』との最初の出会いであり、あのときに見た第23話が、私の初めての『ばくはつ五郎』であったことに違いはない。
     あれがあったからこそ、今、こうして『ばくはつ五郎』を見て笑っていられる自分がある。あのとき『ばくはつ五郎』と出逢わなかったら、きっとCSで放送されたことさえ知らずにいただろう。
     そういう意味では、非常に感謝している。
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