〈湯気〉

炉でも風炉でも、「後炭」って字のごとく後から炭をつぎ足すお手前があるんだけど、共通してるのは、釜のなかのお湯が少なくなってるんで、炭だけじゃなく、水も注いでおくんだよね。

その時、濡らした茶巾で熱い釜を拭く(清める)んだけど、特に炉の時期(11月〜2月)だと、湯気がパ〜ッと上がってと〜ってもいいカンジ。もしかして、お茶の中で私が一番好きな瞬間かも。見てると気持まできれいになるね〜。

ところが、この茶巾に含ませる水の量がモンダイなんだワ。濡らしすぎるとボタボタ畳が濡れちゃうし、少ないとかんじんの湯気がち〜っともあがらないときたもんだ。

寒くて乾燥しがちな冬の時期には、大きい釜でたっぷりお湯をわかして、湯気をいっぱいあげると、加湿器になっちゃう。寒い時は鍋がおいしいけど、あれも湯気がいい雰囲気だしてるんだよね〜。

湯気の出てない湯豆腐なんて、ク○ープを入れないコーヒーみたい……、あ、古すぎてゴメン。湯気を見ると、気持がな〜んかホッコリしない? 

炭も風炉の時期より大きいし、火の位置がお客様に近くなって、風邪の季節に加湿器のかわりにもなるし、ほんとにお茶ってうまくできてるでしょ〜。

〈卒業茶会〉

立春を過ぎると、陽射しが冬とまったく違ってくるね〜。この前、知り合いがあるお茶の会を卒業するんで、そのお茶会に招かれたんだけど、と〜ってもよかったんだ〜。場所はビルの5階ってとこなんだけど、意外と静かで、あ〜ゆ〜所もいいね、駅からも近いし。

まずはお膳が出てびっくり! 簡単な点心だと思ってたんで、お酒まで出てうれし〜。御飯(通常は一口なんだけど、たっぷり気味なんで、ちょっと残して、と)、汁(これも1杯だけ)をいただいて、お酒が。亭主が選んだ狛江の地酒「桜子」。女性の杜氏なんだって。この吟醸酒、おいしかったよ〜。

「向付け」は鯛のお刺身。で、もう1杯。「お椀」は若布豆腐。若布も春が旬だもんね。黒い椀を開けると、ちょっと黒い若布が散ってる白いお豆腐の上に薄いピンクの桜の形の生麩と鮮やかな青菜。それに木の芽が吸い口に使われてて、季節を先取りしてた。さっすが〜。柚子を使ったんじゃ冬みたいだもんね。

懐石料理を少しはしょって、「八寸」は蒲鉾のうに焼きと菜の花のお浸し。いかにも春だね〜。で、また1杯。焙じ茶で、さっき残しといた御飯をサラサラ。あ〜おいしかったぁ〜。

次の席は濃茶。亭主は卒業する彼。道具はその会で今迄いろいろ作った自作の茶碗や花入れ。茶杓も自分で削ったやつなんだって。その時に一緒に作った思い出が蘇ったね〜。中にはとってもいいのもあって、素人じゃないみたい。

「定年後は焼き物師になれば?」なんて声も。「アラ? おみやげにいただけるんじゃないの?」って声には、「お買い上げいただけるのかな?」な〜んて切り返しもしてたよ。和気あいあいと楽しい濃茶席だったね〜。

代わって薄茶席の軸は「相見呵々笑」。「あい見て、かかと笑う」って読むんだって。この席の亭主の好きな言葉なんだそーな。いい言葉だよね〜。それに、香合が載ってる釜敷は、な〜んかよく見かけるのと違うな〜って思ったら、今日招かれた人達がその会に在籍してた時の書類で、みんなの名前が書いてある紙を使って作ったんだって。素晴らしいアイディア!

花は「常葉まんさく」。いつまでも緑色なんで、“かわらずにいつまでも”ってメッセージかも。花入れは春らしく釣り船。ビミョーに揺れるところがいかにもだね。で、卒業なんで、「出船」に飾ったんだって。なるほどね〜。

この席の茶杓も、自作なんで、銘がないって聞いたら、お客から、「旅立ち」はいかが?って。いい銘だよね。

“今日、こうしてお茶を楽しめるのも、今迄に出逢ったいろんな人のおかげ、その御縁を大切にしたい”っていう亭主の心入れがあちこちに見えて、と〜ってもいいお茶会だった〜。おいしく、楽しく、なごやかに、「一期一会」を過ごして、おみやげに紅白のお饅頭をいただいて帰りました。

〈銘水点ーめいすいだてー〉

夏独特のお手前っていろいろあるけど、「葉蓋」とならんで稽古するのがこの銘水点。水の国日本ならではってカンジだね。細い注連縄をまいた白木の釣瓶に名水を用意して、その水で濃茶をたてるっていうもの。客はもうその水指(釣瓶)を見れば名水だ!ってわかるから、お茶をいただく前に(総礼の後)ぜひお水をいただきたいと申し出るんだ。そして飲める分だけ水をさしあげるってわけだ。

日本中に名水はいっぱいあるけど、東京でも都心であるんだよ。なんと! あの明治神宮の中に水が湧いてるんだ。学生の頃は茶会になると1年生が1升瓶をいっぱい持って原宿の清正の井戸まで水を汲みに行くのが通例だったんだ。これがホントの御馳走だね。“走りまくって用意する”って〜の?

日本人は昔から水を大切してたんだね〜。

〈聴雪〉

雪が降るのに、マサカ音なんかしないでしょーって思うよね〜。でも、日本人の想像力ってすごい! 

いつか、歌舞伎教室ってのに行ったんだけど、その時の特集が「歌舞伎の音」ってのだったんだ。舞踊の時はもちろんだけど、いろんな楽器を使った音響効果あるんだね。その中にあったんだ“雪が降る音”っての。

太鼓を撥でたたくんだけど、その撥を綿が入った布でくるんであるの。だから、音もドン!じゃなくって、ドーーンって、どこか遠いところで鳴ってるみたいなかんじ。とっても不思議な音だった。で、あとは登場する役者が、いかにも雪道を歩いてるよ〜な歩き方で、雪が降ってる状況を想像させるんだね。ほんとにすごいな〜って思ったよ。

前にどこかにカキコしたかもしれないけど、日本の「能」を見た有名な建築家のブルーノ・タウトが“日本の芸能は、日本人のスバラシイ想像力でなりたってる”って絶賛してたけど、たしかにそーかも。“さしがね”で蝶を飛ばしてる黒子なんて、“いるんだけどいない”んだもんね。

能の時は舞台の後ろに控えてる“後見”ってのが歌舞伎の黒子みたいなもんだけど、顔まで隠してる黒子と違って、紋付着てるもんね〜。あれも“いるんだけど、いない”んだよね。後見は、万が一、演者がコケた時は、すかさずその演者にかわって演ずるんだって。だからそれ相応の技量のある人じゃないとできないってわけだ。いわゆる“後見人”なんてのにはなかなかなるもんじゃないんだよね〜。あ、いかん、話題がそれちゃったよ。

おすすめのサイトに、「折々の銘」ってコーナーがあるんだけど、ここんとこの銘は「聴雪」っての。いかにも冬の夜、“夜話の茶事”にふさわしい銘だよね〜。シーンとした中で、降ってる雪、もしかしたら、これから雪が降りそうな気配を感じるね。で、その先には“来る春”があるわけだ。

そーいえば、昔、♪雪の降る町を〜♪っていい歌があったな〜、あ、いかんいかん、また話題がそれちゃった〜。

〈飯後の茶事ークリスマス版ー〉

ご飯をすませてからの茶事。ちゃんとした懐石じゃなく、ちょこっとだけいただくってヤツ。時は歳末クリスマス。いや〜、よかった〜♪

待合いの掛け物は聖書の言葉。タバコ盆の火入れが赤絵なんだけど、この絵付けの赤と緑がもうクリスマスになってる〜♪ 

本席の掛け物も聖書からなんだけど、御亭主の知り合いの牧師さんが「私は字がへたなんで……」ってゆ〜のを、“ムリヤリに”書いてもらったんだって。でも、とっても誠実そうな字で、丁寧にかかれてるのがいかにも“牧師さん”ってかんじ。

寒い時期なんで、すぐに炭手前。薄暗い炉中に、真っ赤におきた下火が! 「暗さって、火の色をはえさせるのね〜♪」って感激。白っぽい灰にまいた黒い湿し灰の景色がこれまたいいかんじ。白と黒と赤。このシンプルな色にため息が。いつも電気を煌々とつけて生活してると、わからない色だね〜。釜は真なり釜。釜の基本ってやつ? 文福茶釜の絵にあるのと同じだった。

炭をたっぷりくべたんで、部屋がだんだん温かくなってきたし、お香がと〜ってもいいかほり。「簡単ですが」ってお膳を。向付けは鯛のカルパッチョ。オリーブオイルがおいしい〜♪ それにパンプキンスープと、お酒は白ワイン。これがとっても美味美味。八寸はお☆さまに型抜きしたニンジンとスモークチキン。おお〜、これもクリスマスだ〜♪

ゆっくりいただいてから一緒に箸を落とすと、その音を合図に御亭主がお盆を下げに。そのあとに運ばれた黒い縁高を開けると、白いフワフワした餡に、緑色に型抜きしたヒイラギの小さな葉っぱがついてる御菓子が! あ!葉っぱにしずくみたいにキラキラしたちっちゃい金色の粒がついてる!銘は“冬景色”ってゆ〜んだって。「このあと、趣向があるので中立ちは省略で」って。

どんな趣向かな〜って思ってたら、掛軸を巻き上げてから床に花入れが3つ置かれた! あれま、花所望だ! 「茶花がなかなかないんで、今日は洋花で」って。それもクリスマスじゃん! 客の3人が3人とも、その人らしい花を。花を入れるのは、難しいけど楽しいね〜って。

まっ黒い長板に1つだけ置かれた「桶側」の水指。白地に青いシンプルな色。その“桶”は、キリストが生まれた厩の桶だって! ほっほ〜、なるほどね〜♪

茶碗は元総理大臣の細川さんの作。あの方のご先祖は、がラシャ夫人。キリシタンだ! 蓋置に使ってる一閑人(井戸のぞき)は、サンタさんが煙突をのぞいてるって見立てだって。オモシロ〜〜〜♪ 

茶杓は、どーもいつも使ってる竹でできてるのとは違うみたいだなと思ってたら、「高野槙」だって。「高野槙」はこの前誕生した、秋篠宮のお子のお印。それをキリストの生誕とダブらせたんだってさ。竹じゃないからもちろん節はないんだけど、これがと〜っても軽いの。

薄器は誰ぞ(忘れちゃった〜)好みの「豊兆なつめ」。黒字に金で、いろんな形の雪の結晶が描いてあるの。雪は豊作の兆しなんだってさ。だから来年の豊作を願って、豊兆なつめなんだって。

替茶碗には大根の絵が6つ。これは「六根清浄」。干菓子器の6つのヒョウタンは「ムビョウ=無病」。今年の無事と、来年の幸せも願って、ほんとに楽しいクリスマスのお茶事になりました。

御亭主のいろいろなお心遣いをいただいて、今日あることへの感謝の念が自然と浮んで来ますね〜。本当にありがたいことです。

お茶事が終わってから、撮らせていただきました。いい記念になりますな〜♪