| 〈家元と“和”〉
家元の講演会があった。「お茶を通して世界平和を」って、長いこと世界中を飛び回ってる方なんだけど、どうしてその情熱が続くのかというお話だった。そんな事言っちゃちょっとナンだけど、ホントは眠くならなきゃいいなぐらいに思って行ったんだ。
家元が21.2才の頃、海軍の特攻隊員だったんだって。そして、明日はもう出撃だっていう友達にヤカンで沸かしたお湯でお茶をたてたそうな。そしたら友達が「おい、千。帰って来たらまたお前のお茶を飲みたいなぁ〜」って言ったんだって。特攻だもの、帰ってこれないに決まってるのに! そしてやっぱり帰って来なかったんだ。
通信してる声(音)が聞こえるんだって。「目標確認!」みたいな言葉が無線で聞こえて、その後暫くしてプツッと無線が切れた時がその友達が敵の戦艦につっこんで自爆した時なんだって。
もう今日が最後かもしれないっていう時に、家元は最後にやっぱりお母さんに一目会いたいって思って、故郷の方角に向って「おかあさ〜ん、おかあさ〜ん」って叫んだって。そしたら友達みんなもそれぞれに故郷の方を向いて、口々に「おかあさ〜ん、おかあさ〜ん」って…………。そうして亡くなった友達の為にも、自分が平和を訴え続けようって強く思われたんだって。
お茶のキーワードの一番初めにあるのは“和”だものね。「和・敬・清・寂」ってね?
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