〈家元と“和”〉

 家元の講演会があった。「お茶を通して世界平和を」って、長いこと世界中を飛び回ってる方なんだけど、どうしてその情熱が続くのかというお話だった。そんな事言っちゃちょっとナンだけど、ホントは眠くならなきゃいいなぐらいに思って行ったんだ。

家元が21.2才の頃、海軍の特攻隊員だったんだって。そして、明日はもう出撃だっていう友達にヤカンで沸かしたお湯でお茶をたてたそうな。そしたら友達が「おい、千。帰って来たらまたお前のお茶を飲みたいなぁ〜」って言ったんだって。特攻だもの、帰ってこれないに決まってるのに! そしてやっぱり帰って来なかったんだ。

通信してる声(音)が聞こえるんだって。「目標確認!」みたいな言葉が無線で聞こえて、その後暫くしてプツッと無線が切れた時がその友達が敵の戦艦につっこんで自爆した時なんだって。

もう今日が最後かもしれないっていう時に、家元は最後にやっぱりお母さんに一目会いたいって思って、故郷の方角に向って「おかあさ〜ん、おかあさ〜ん」って叫んだって。そしたら友達みんなもそれぞれに故郷の方を向いて、口々に「おかあさ〜ん、おかあさ〜ん」って…………。そうして亡くなった友達の為にも、自分が平和を訴え続けようって強く思われたんだって。

お茶のキーワードの一番初めにあるのは“和”だものね。「和・敬・清・寂」ってね?

〈60才からー耳庵ー〉

松永耳庵って聞いたことない? 戦後の電力界で、活躍した経済人なんだけど、60才からお茶をはじめたんだって。三井コンツェルンをきずいた益田鈍翁にお茶の世界に引っぱりこまれたらしい。横浜の三渓園をつくった原三渓とならんで、近代の3大茶人っていわれてるんだ。

 3月の国立博物館の展覧会にいって来たんだ。よかったよ〜。いろんな話が書かれてたけど、高価な道具ばっかり集めてた訳じゃなくって、誰かにもらったおみやげが入ってた入れ物を茶碗に見立てて、とっても気に入って、大事にそれでお茶を飲んでたんだって。お金持ちじゃなくちゃお茶はできないなんて思ってる人には、エエ話や〜。

後期は、小さな家に奥様と暮らしてて、東急の五島慶太氏がほんとにアレが“あの松永耳庵”の家かって聞いたっていう話があったらしい。

この表紙になってるのは仁清の吉野山っていう茶壷の絵なんだけど、と〜ってもきれいだったよ〜。わびたモノが多い中で、ひときわ。

お茶を生きた人だったんだなぁ〜と思いました。

ちなみに、長崎県は、壱岐の人だそうです。

〈平等〉

花月にも“貴人清次(濃茶)”っていうお手前があるんだけど、貴人役は1人で、あとの4人はお供になるんだ。貴人は手を普通にひざに組んでるんだけど、お供の人は“グー”の手でひざ横の畳についてることになってる。チョット時代劇みたい。

そして貴人の座ってる畳にはお供の人は入れないし、お茶を取次いだり下げたりする時にはおじぎをしなくちゃいけないんだ。それでも、貴人は自分の飲むお茶碗は自分で準備しなくちゃいけないし、お供にお茶をたててあげなくちゃいけないというルールになってるんだ。

封建時代にできたお茶なのに、けっこう平等なんだよ。武士は茶室に入るには刀掛けに刀をおいて他の人たちと同じように扇子1つを持って入らなくちゃいけないんだ。いくら偉い人でも、狭いにじり口から茶室に入るには、イヤでも頭を下げなきゃ入れない。茶室の中では平等なんだ。

あの時代にそういうルールを作って、しかも自分は商人なのにそれを武士達にやらせた千 利休ってすごいよね。

〈水無月〉

6月の朔日にいただくお菓子。白のういろう生地に小豆をのせ、三角に切ってあるんだ。

三角は氷室の氷の意味があって、この日に氷を口にすると夏痩せしないと言われたそうな。「氷の節句」とか、「氷室の節句」とかいわれてて、

今でもこれを行事としてやってるのは京都、金沢、草津だけなんだって。どうして“草津”なんだろ?

夏の疫病や、水の災いを除くために神社で茅の輪をくぐって禊をするんだけど、これを「水無月の祓い」とか、「夏越しの祓い」っていうんだって。

季節を大事にするお茶って深いでしょ?

〈茶花ー半夏生〉 

先生の庭からいただいてきました〜。縞葦と一緒に篭に活けてあるのはいかにも涼しげ! これってなかなか白くならないらしいんだけど、どうやればいいのか知りたいなぁ〜。

ところで、これってドクダミ科なんだって! 「ドクダミ」はこの白いトコがあの花になるんだって。「半夏生」を調べてみたら、あるある、いっぱい! 大まかには24節気の1つで、夏至から11日目(半夏生)に葉が白くなるから名前がついたらしい。「半化粧」とか、「片白草」とかいう名前もあるんだって。

この半夏生の日には、地方によってタコやサバを食べたり、虫送りのお祭りをしたり農業にかかわるいろんな風習があるみたい。

白い傘、白い背広、白い靴、風にゆれる白い半夏生、いかにも夏!ってかんじだね。

〈名物裂〉

お茶を入れる茶入れやなつめ、薄器を入れたり、乗せたり、拭いたりする布にいろんなのがあって、その中で名物裂(めいぶつぎれ)っていわれるのがいっぱいあるんだ。ず〜っと昔から伝えられてるもので、いつか、あの「龍村織物」の社長の講演があったんだけど、もう中国では残ってないものもいっぱいあるんだって。日本には茶道なんかがあったので、今まで伝えることが出来たんだって。

正倉院にあるものを写してるものや、有名茶人の好んだものなど、いろいろあって面白いよ。織物の好きな人なんかたまんないだろうな〜。

童謡に♪き〜んらん、ど〜んすのお〜びしめな〜がら〜♪っていうのあったでしょ? あの“どんす”の一部です。糸の色とか変えるといろんなのが出来るんだ。

*織部緞子
古田織部の好み
*遠州緞子
小堀遠州の好み
*利休緞子
千 利休の好み
〈葉蓋〉

一番だ〜い好きな夏のお手前! 学生の頃初めてこのお手前をみたのは夏の合宿だったんだ〜。水指の蓋に「アカメガシワなんかの大きな葉っぱを使うんだけど、季節柄その葉っぱに茶筅で水を打つんだ。この水滴がなんとも涼しげなんだね〜。その他に梶の葉とかいろいろ使うんだけどね。

その葉っぱが、襖や障子を取り払った夏の座敷きの畳の上をサワサワと渡って来る風に揺れちゃったりするんだよ〜。あ〜たまんない!いかにも日本の夏!ダショ〜?

葉っぱの蓋は水指を開けた後は小さく畳んで建水のなかに捨てるんだ。昔の人は自然のものを身近につかってたよね〜。「家にあれば器に盛る飯を 旅にしあれば椎の葉に盛る」って国語の時間に習ったっけね。だれだったっけ?歌った人。ラップじゃなくって大きな葉っぱなんかをのせて用意しておくといい雰囲気のパーティーになるかも。葉っぱに水を打ったらいいお出迎えになるね〜。

でも、ニオイの強いのや、まして毒のある葉っぱは論外だから気を付けてね。