【装い】
渋江喜久夫:
この仕事の資料が届いた時、「しまった!」と思ったのが正直な感想だった。実は学生時代、石膏デッサンが苦手だったからだ。罰が当たって、仕上げるのにかなり時間がかかってしまった。「純白の世界」のデリケートな陰影を表すのは難しい作業だった。「季刊アルトマン」の表紙で苦労した作品の一つである。(鉛筆画)

西谷 史:
般若心経に色即是空、空即是色という一節がある。画家にとって色即是空、つまり形あるものを空とみなすことはさほど難しいことではないだろう。だが形なき空間をキャンバスに描くほど難しいことはあるまい。これは見事にそれに成功した稀有な絵である。