逍遥記

(C)2000 漆黒斎


 よこはま動物園 ズーラシアの巻 Jul. 30, 2000

横浜市北西部の丘陵に贅沢に広がる、よこはま動物園愛称ズーラシアに行く。

11:40頃に家を出て、バスで戸塚駅に。JR横浜駅から相鉄で鶴ケ峰(確か逆鉾、寺尾の親父さんがこんな名前だったと記憶している)、そこからどうぶつえん行きバス。家からの所要時間は約1時間ほど。

アジアの熱帯林

入場料600円のチケットを買い、ゲートをくぐると「アジアの熱帯林」ゾーン。そこにはインドゾウ、漢字で書くと印度象が。まだお子様らしく、ヘンリー・マンシーニ状態。その脇でレンズ付きフィルムをスタンド売りしている。見に行ったら、売り子のお嬢さんが商品説明を熱心にしてくれる。

「こちら、ズーラシアオリジナルで1400円です。最初に一枚、オカピの写真が映ってます。あと26枚撮れます。こちらは普通ので、1000円です。27枚撮りです。」

普通の27枚撮りを買い、早速インド象を撮る。園内案内図を参照しながら次へ。流石に新しいだけあって、園内はよく整備されていて快適。水捌けの良さそうな舗装面が足の裏に心地よい。そろそろと鳥類のケージが並んだエリアに。小型の鳥類が数種。そこからボルネオオランウータンのお宅へ。非常につまらん表情で座っている。この種の霊長類はどこでもそうだが、半ばノイローゼ状態の事が多い。日がなテレビを見ている奴とか。こういうのを見ると、ちょっと参る。
気を取り直して、ボウシテナガザルのところへ。こちらは元気に枝渡りなどしている。良い。次はマレーバク。ちょうど飼育係のおじさんがお食事を持ってきたところ。藁とペレット状の飼料を貰っているようだ。お座りして行儀良く食べている。デカイ割には結構愛らしい奴だ。水をかけてもらったりして幸せさんだ。

ジャングルインフォメーションという、ご休憩コーナーでジュースを飲む。で、スマトラトラ。猫のでかいの。のどかで可愛らしい。(漆黒斎は猫好きである。あまり知られていないが。)地図を見て、喫煙コーナーはまだ遠い、ということが判明したので、先を急ぐことにする。

ウンピョウ。木の上にだら〜っと伏せている。敷物状態。こう暑けりゃね。その後、フランソワルトンドゥクラングールダスキールトンシシオザルなど一連のサルと対面した後、インドライオンのコーナーへ。

子供三頭がこれまた愛らしい。母さんが優しそうだ。呼びもしないのに解説のおじさんが寄ってきて、「ライオンは基本的に単独行動なので、親父さんは別のところに隔離している」などど、基本的な部分で誤っている上に論理的な繋がりがよくわからない解説をしてくれた。確かに、ネコ科動物は単独行動が基本なのだが、ライオンはそのネコ科動物には珍しく、集団行動をする連中なのだ。オス一頭にメスが数頭、その子供で一つの群(プライドという)を作って暮らしているのだ。メスが集団で狩りをし、オスはその獲物をぼけーっと待っている、という羨ましいというのか怠惰なオヤジを持つ家族だ。まあ、ボランティアでやっている人だし、せっかくの新説、もとい親切に異を唱えても生産的ではないので、礼を言って立ち去ることにした。

ここから、トンネルを抜けると、そこは「亜寒帯の森」ゾーン。


亜寒帯の森

まずはゴールデンターキンという、牛の仲間が居るはずだったが、見えない。なんだかよくわからないので先に行く。

レッサーパンダ。リンゴを片手で持ってかじったりする様子が微笑ましい奴だが、ここのはちょっと落ち着かない奴だった。相方のメスが検査入院中だったせいだろうか。ここから、本来のコースをショートカットしてオージーヒルという、ビュッフェレストランに向かう。そろそろニコチン切れだったのだ。レストランの中を覗いたら結構な混雑ぶりだったので、取りあえず喫煙だけして、再び亜寒帯の森へ向かうことにする。それにしても、空が青く陽射しが強い。年寄は、気がつかないうちに脱水してたりするらしいので、注意したい。

エゾユキウサギ。白いウサギを想像したが、あいにく夏なので、ただの茶色のウサギだった。動物にも動物なりの都合がある、ということだ。続いてシロフクロウ。こちらは嬉しいことに白い。フクロウは知恵の神様だったりするわけだが、そう思ってみると、妙に知的に見える。きりりとした風貌が良い。

さぁ、ホッキョクグマ。シロクマですよ、シロクマ。但し、白い熊は数種類いるので、ホッキョクグマという呼び方が推奨されているらしい。プールの中で、同じ所をゆっくり往復している。この時期、流石に暑いので、氷を差し入れしてもらっているとのことだった。上野動物園の奴が、氷に抱きついたりする映像を時折見るが、あいにくここではそういう風景は見ることが出来なかった。ちょっと残念。このシロクマに会ったことで、今回の来訪目的の1/3は達成されたと言っても良い。

次行きましょう。ミナミアフリカオットセイ。これもプールの中を悠々と泳ぎ回っている。意外に小型だった。フンボルトペンギン。これまたのんびり泳いでいる。こやつら、陸上では滑稽とも思えるくらいの動き方しかしないのだが、一度水に入ると、鳥であることの特性を遺憾無く発揮する(って変な話だ)。時速50Km程度の速度で縦横無尽にはばたき飛びまわるのだ。水中を。因みに、シロクマとペンギンは、主な生息域がちょうど地球の真反対(北極と南極)なので、自然界で出会うことはまず無い。動物園ならではの光景と言えよう。

また鳥。今度は海鳥類だ。ウミネコカモメ。動物園で見るのも、何か不思議な気持ちがした。カモメのやつら、肉食で強暴なのだ。トウゾクカモメなんてやつらは、ペンギンの卵、雛なんかをバクバク食らう。横浜のシンボルとして、各種イベントで活躍している変なキャラクターもあるが、あれはちょっと、ね。近くにオオワシが居たはずだが、どうも記憶に無い。そろそろ注意力が散漫になっていたのかも。

ユーラシアカワウソ。イタチの親類はどれも結構可愛らしいのだが、ここでは会えず。解説板によると、どこかに隠れていることが多いらしい。この動物園の展示は、なるべく自然に近い環境内に置くことを目指しているということで、ケージも広く、樹木が茂っていたりするので、タイミングが悪いと見ることが出来ない動物も多い。随分あちこち探してみたが、また今度、ということで次へ。

ウォークインバードゲージという、鳥類の放し飼いエリアに入る。オウギバトなどという、結構でかくて派手な鳥がいたりして、少々恐い。通路に羽を広げた状態で、ベタっと伏せていたりする。何種類かを観察して外へ。隣のケージではベトナムキジの母子の睦まじい様子が素敵だ。レッサーパンダのところに戻ってくる。もう一度レストランへ向かい、ニコチンを補給しつつレストランの様子を窺う。随分と空いてきた様子だったので、入って食事にする。カレー650円。こういう施設にあるレストランの常として、高価で量が少ない。もういっちょ、蕎麦でも食らうかと考えたが、それをやると今度は動けなくなりそうだったので、やめにする。


オセアニアの草原

エネルギーをチャージして外に出る。そこはオセアニアの草原だ。アカカンガルー、2頭ずつ程度のかたまりが2つ3つ。脇にエミューが居たりなんかするのだが、カンガルーが小型であることと、エミュー自身が大型の鳥であることから相対的に、凄くデカい鳥に襲われそうなカンガルー、という風景になっている。隣のコーナーにはキノボリカンガルーっつうのが居るのだが、これがまた尻尾の先が少〜し見えるだけ。


中央アジアの高地

いつの間にやら中央アジアだ。キンシコウ(漢字で書くと金絲猴)。中国産の金色の毛並みが美しい気高いサルだ。かの斉天大聖孫悟空のモデルになったと言われるサルである。次が問題のチベットモンキー。中国からチベットにかけて棲息している、ニホンザルの近縁種。2頭居たのだが、離れ離れに佇んでいる。見学通路の近くに居た奴は、枯草の茎か何かを、如何にもつまらなそうに噛んでいる。侘しい。

で、何が問題なのか。聞いて驚いて頂きたい。それは、こいつらの社交儀礼だ。
ボスの所に行くときは、まぁ、人間でも有力者のところにちょっとご機嫌伺いに参上する場合は、手土産を持って行くわな。で、こいつら、何を持って行くのかというと、それはオスの子ザルなのだ。その辺に居る子を、ひょいと捕まえて連れて行く。そんでもって、「まぁ、親分、これでもどうぞ」てな具合に子ザルを差し出すわけだ。親分、「そうかい、ふんじゃひとつ」と、その子ザルのペニスをちゅぱちゅぱするのだ。まぁ、びっくり。この儀礼行為によって、群の緊張を緩和し、無用な争いを避けるということになっている。

ここには、あいにく成体2頭しか居ないので、この重要な儀礼が行えないため、きっと鬱屈しているのだろうと考えられる。善処を希望したい。このコーナー最後はドール。ま、山犬ですわな。居たのか居なかったのか、あまり覚えていない。

特別エリア

そして、この動物園が最も力を入れて宣伝しているオカピ。アフリカはコンゴ産。シマウマなんだかラクダなんだか、中途半端な雰囲気の偶蹄目キリン科。こいつは今世紀になってから発見された、結構珍しい動物だ。パンフレットを見ると、日本初上陸とか書いてあるが、確か大阪の天王寺動物園で見たぞ。もしかして、あいつが引っ越してきたのだろうか。通路には等身大オカピの像があり、跨って記念写真など撮れるようになっている。


日本の山里

こう外国の動物ばかり見ていると、近所のやつらにも会いたくなる。ステーキばかり食ってらんねぇ、蕎麦も食いてぇ、という感覚だろうか。日本の山里ゾーンへ入る。

コウノトリ。全然近所の鳥ではないが、ばさばさと居る。花札の松の札に描かれている鳥、鶴だと思われがちだが、あれはコウノトリらしい。鶴は木に止ったりしないのだ。クロヅル。これも馴染みじゃないよね。そのまんま、黒めの鶴。マナヅル。だんだん区別がつかなくなってきた。

鳥はここまで。次はハクビシン。キツネのような、タヌキのような、イタチのような…。ジャコウネコ科。在来種なのか、帰化種なのか、議論のある動物。名前のとおり、鼻筋の白いラインがポイント。ニホンアナグマ。東京電力である。なかなか愛らしい。アナグマといっても、イタチ科である。ホンドタヌキ。こりゃもう、タヌキ。もこもこ、のそのそ。ホンドギツネ。キツネというと、オスでもなんだか色っぽい雰囲気がある。気のせいか。ちょっとね、こう、化かす感じが素敵。

次は、ちょっと大物。ニホンツキノワグマ。なんだか態度悪い。もっこりとして良さげなのだが。まあ、手を振って餌を要求しないだけマシか。さて、このゾーン最後はニホンザル。やっぱり在来種のやつらは良い。"ニホンなんとか"の類は、日本の気候風土に馴染んでいるせいか、どれも長閑、地味である。例えば、チンパンジーとニホンザルを比べてみると判りやすいが、チンパンジーは「チータ」とかいうバタ臭い名前であるのに対して、ニホンザルだと「次郎」がぴったり来る。毛並みも薄茶で、全体の輪郭も丸く、如何にも日本らしく、押しが少ない。こういうのを見ると、やはり心が和む。炎天下、猿山の岩陰に身を寄せてノミ取りなんかしている。そうそう、ここの猿山、滝があったりして、結構贅沢な作り。そんなに大きくはないのだが、ちょっと珍しい。

アマゾンの密林

長閑に和んだ後は、最後のゾーン、アマゾンの密林。その前に、アマゾンセンターという休憩所でジュースを買って一服。そのあたりを見て回っていたら、ワシントン条約に違反して輸入され、保護されたリクガメの子供が数頭居た。背中に番号が書いてある。解説に曰く、「亀レースをするためではありません。」誰もそんなこと聞いていないと思うが。

一発目、オオアリクイ。何時見ても、どうもバランスの悪い体型をしている。見ようによっては結構不気味だ。若いお兄ちゃんが、「こんなの歩いてたら、逃げるよな」とか言っている。確かに商店街で出会ったりしたら怖い。子供は、頭が丸くて結構可愛らしいのだが、成獣は少々困った感じだ。オセロット。猫さんです。良いです。コモンウーリーモンキー。何がコモンなんだろうか。アマゾンじゃありふれた連中なのだろうか。ウーリーというのは、羊のようなふわふわの毛並みから来た名前だそうだ。ヤブイヌ。ちょっと惨めっぽい雰囲気が素敵なイヌだが、今日は見えず。なんでも、深い穴を掘って昼寝をしているとのこと。またね。最後はメガネグマ。水溜りというのか、プールにとっぷり浸かっていたが、やおら這い出てきてそのあたりを一周した。どうも、メスの動向が気になっているらしい。

◇ ◇ ◇

というわけで、ゆっくり一周。約3時間半程。なかなか楽しいところでした。また秋になったら風景も変わって良さそうです。季節毎に楽しめそう。

今回は、炎天下の午後、という動物園ビジターとしてはド素人な時に行ってしまいました。沢山の動物が動いているのを見たいと思ったら、曇りの日の午前中、しかも休園日の次の日、というのがベストです。

飼育動物の詳細は、ズーラシアのホームページ(http://www.city.yokohama.jp/me/ygf/zoorasia/index.html)を参照して下さい。