(C)1999-2009 漆黒斎

近頃読んでいる本など。通勤電車の中で読む事が多いので、大体は文庫や新書の類。 取りあえずタイトルだけ列挙しておくことにする。書評なんておこがましくて、とても力の及ぶところではないが、感想や印象などぼちぼち書いていこうと思 う。(1999 Nov. 3)

最新購入の本■(2009 Sep. 24 登録)


心は量子で語れるか:ロジャー・ペンローズ (中村 和幸:訳 ), 講談社 ブルーバックス B1251
数学と物理学、拙輩の最も苦手とする分野だ。心が脳の働きであり、その脳が紛れもなく物質であるからには、何かあるのだろう。哲学はこのあた りについて、沈黙するほかないのだろうか。

さて、更に読んでみた。テンソルが引っ張るとかなんとか、物理学の事はさっぱりだが、数式を空間表現にして可視化するイメージ力は凄いと思 う。しかし、どうもプラトン的世界の(つまり超越論的実在の)存在が前提になっているような印象が否めない。人間の発想は非計算的である、というところま ではなんとなくそうかな、と思うのだが。著者が言うところの「プラトン的世界」に対するawarenessって、結局、先験論のような気がするのだが … 。
もう少し読んでみよう。(1999 Nov. 11)

ケルト神話と中世騎士物語:田中 仁彦, 中央公論社 中公新書 1254
ケルトといえば、ここ数年アイルランドの音楽なんかがよく聴かれるようになったようだ。ヨーロッパの古層をなす民族の異界観とキリスト教から の影響、中世騎士物語への影響など。

水の神:マルセル・グリオール (坂井信三+竹沢尚一郎:訳), せりか書房
ドゴン族の神話と宇宙論。長老オゴテメリからの聞き取りをもとに構成された古典的著作。

陰陽師 安倍晴明:志村 有弘, 角川文庫 11160
信田の狐の子とされる日本最大の魔術師 安倍晴明の話。

関連書籍:

「陰陽師」、同 付喪神ノ巻、同 飛天ノ巻: 夢枕 獏,文藝春秋
「陰陽師」1〜8 岡野玲子/原作:夢枕 獏,スコラ
「平成講釈 安倍晴明伝」:夢枕 獏,中央公論社

コミック版に登場する真葛がかわゆい。菅原道真公も素敵だ。

「陰陽 師」9 岡野玲子/原作:夢枕 獏 がぶっ潰れたスコラに替わり、白泉社から出ました。(2000 Feb. 29)

ついでに、「陰陽師」 B.Eno+怜楽舎 というCDも出てま す。

風水先生:荒俣 宏, 集英社文庫 [荒俣宏コレクション]
風水。香港で大流行だった頃に著者が取材した記録、風水入門など。

Music, The Brain, and Ecstasy:Robert Jourdain, Avon Books
脳みそと音楽と。

脳と心をあやつる物質:生田 哲, 講談社 ブルーバックス B1269
脳の化学物質による影響など。

ジャズ小説:筒井康隆,文藝春秋
一気に読み込んで、危うく乗り越しそうになった。
密度が高いのに、重苦しさが無い。流石だ。(1999 Nov. 11)

Auditory Scene Analysis:Albert S. Bregman, Bradford Book, The MIT press
こちらは、まだ読んでいない。なかなか分厚い本なので、気合が必要だ。
その道の専門家の方から紹介してもらったものなので、心して読もうと思う。

北欧神話物語:キーヴィン・クロスリイ−ホランド(山室静+米原まり子:訳),青土社
神々の黄昏。ヴァルキリーにオーディン、世界樹。勇ましきヴァイキングの神話。

花東頼朝公御入(はなのおゑどよりともこうおんいり):山東京伝,版元:大和田安右衛門
(復刻版:(財)平木浮世絵財団 平木浮世絵美術館)
源頼朝のお江戸遊興記。頼朝にまつわる様々な逸話をこじつけてパロディにした黄表紙の復刻版。さすがに解説が無いとチンプンカンプンだ。

聖書神話の解読:西山 清, 中公新書 1446
聖書を神話として、つまり聖書の成立に関わった人々が、世界をどのように見て、どういう風に説明をつけていたか、物語として見てみよう、とい う本。(2000 Jan. 17)

旧約と新約の関係は、予型論(タイポロジー)といって、旧約世界での出来事は新約世界での出来事を預言している、あるいは、新約は旧約を成 就する、という見方があるそうで、なかなか面白い。

『西遊記』の神話学 孫悟空の謎:入谷 仙介, 中公新書 1418
こちらも西遊記に現れるエピソードについて、世界の神話との類似性を探ろうという本。

ただ、「あれはこれに似ている」に終止している感あり。もう少し体系的な説明が欲しい気がする。
これでは、大野晋の日本語タミル語起源説みたいだ。

まあ、「聖書神話の解読」と同じく、比較神話学などの専門家の著作ではないので、大目に見ることにする。(2000 Jan. 17)

文化人類学入門(増補改訂版):祖父江 孝男, 中公新書 560
題名どおりの本。増補改訂と言っても、もう十年も前だ。構造主義がこの分野でもちょうど話題に上りはじめた頃らしい。「最近、レヴィ=スト ロースは …」などという文言がある。(2000 Jan. 24)

漢字百話:白川 静, 中公新書 500
こちらも題名どおりの本。漢字の成立過程や漢字のシンボリズム、記号としての体系など。多くの漢字の原型が、呪術的、呪詛的な成り立ちを持っ ているという論が展開されていて面白い。
ただ、著者が中国文学界のコリン・ウィルソンでないことを祈るばかりだ。(2000 Jan. 24)

ミトコンドリアの謎:河野 重行, 講談社現代新書 1455
少しおちゃらけ気味な文章のプロローグが変。「パラサイト・イヴ」を引きつつ曰く、

「ミトコンドリアの魅力とは?ミトコンドリアのパラダイムとは何か?それが本書のテーマであ る」

だそうである。面白そうな予感。(2000 Jan. 31)

日本の<地霊(ゲニウス・ロキ)>:鈴木 博之, 講談社現代新書 1481
タイトルに惹かれて買う。内容は不詳。また別途。(2000 Jan. 31)

マイルス・デイヴィス ジャズを超えて:中山 康樹, 講談社現代新書 1490
まだまだ修行が足りんので、畏れ多いのだが、何を聴くべきかの指針として読んでみる。
本当は本など読まずにただ聴け、ということなのだろう。

日本書紀の謎を解く:森 博達, 中公新書 1502
音韻論、文章論から、書紀の著作年代、著者を推定する。なかなかスリリング。

卑弥呼伝説:井沢 元彦, 集英社文庫[い 26 3]
天照大神男神説を中心に、卑弥呼とアマテラス、邪馬台と大和朝廷の関係を描く歴史ミステリー。
小節仕立てだが、内容は緻密。

[図解]密教のすべて:花山 勝友, 光文社文庫
印の結び方だの、仏像写真の脇には真言の唱え方だのが載っていて楽しい。
「ナウマク サンマンダ ボ ダ ナンバク」(釈迦如来のマントラ)とか。

ビジュアル版 脳と心の地形図:リタ・カーター/藤井 留美:訳,養老 孟司:監修
文字どおり図解による脳の解説。視覚、聴覚あたりが面白そうだ。
スキャンやイラストが美しく、見ていても楽しい。

小説 三国志(上):鄭 飛石/町田 富男:訳, 光文社文庫 [チ 1-3]
いやぁ、理屈無くワクワクしますね。訳は重厚さには欠けるが軽快。480ページ程の本だが、通勤中に半分以上読んでしまった。早いとこ下巻も (あれ、中かも)買っておかねば。

小説 三国志(中):鄭 飛石/町田 富男:訳, 光文社文庫
やはり(中)だった。孫権が曹操と盟した辺りで終わっている。早いところ(下)が出ないかな。

夜叉姫伝(1〜3):菊地 秀行,祥伝社ノン・ポシェット
なんというか、大時代で大仰な文体と、不用意なト書きのおかげで読みにくいこと甚だしい。人物の造形など、作者の中ではすっかり出来あがって いるのだろうが、文章が着いて行っていないようだ。

そこら辺は、こっちの想像力で勝手に映像化してしまうので、まあ良いのだが、もう少しなんとかすれば、主人公の煎餅屋の主人にして妖糸使い のマンサーチャー、秋せつらなど、もっと魅力的に描けるのに。まあ、比べるのもなんだが、同じく淫楽バイオレンスで御殿を建てた小田原のあの方には遠く及 ばん。(実は「陰陽師」くらいしか、まともに読んだことは無いのだが。ごめんなさい。)

とかなんとか言いながら、どんどん読んでいるのだ。秀蘭と人形娘がかわゆいから許す。

東亰異聞:小野 不由美, 新潮文庫
東京ではなく、東である。荒っぽく言えば、パラレルワールドなんだが、東京を東亰の形 の寒天から透かして見たような、輪郭のぶれ方。明治期の帝都東亰を舞台にしたミステリー。江戸川乱歩(ごめんなさい、これしか思い浮かばない)の、あの裸 電球の橙色の光と、サーカス小屋のいかがわしさが好きな人には良いかも。

夜の闇が闇として在った時代の禍々しさ。昼が去るから暗くなるのか、それとも闇が覆うから暗いのか。

この人の文章、時々どきっとする表現に出会う。柔らかな印象の下から、物凄く鋭利な刃物が覗くようだ。

事件の謎解きとしてはイレギュラーなところがあるのだが、ラストのスピード感は見事。陳腐な表現で申し訳ないが、ほぐれていたロープが縒り 合わさって、さぁっと一本になるような爽快感。

時に、筆名のことだが、「不由美」、由美にあらず。由美であることを拒否する名前のようだ。本名が由美だったりすると面白いのだが。

さて、次は十二国記シリーズか。

魔性の子:小野 不由美,新潮文庫
というわけで十二国記シリーズ。前項でもちょっと書いたが、どうもこの作者、自分自身の居心地の悪さ、所在無さみたいなもの、自己を拒否する 思考みたいなものが濃厚に漂ってくる気がする。作品の中の言葉を使えば、「故国喪失」感だろうか。

夜叉姫伝(4):菊池 秀行,祥伝社ノン・ポシェット
最終巻。新書版では8冊だったらしい。更にどんどん読むことにしよう。

もうしまいには、秋せつらと妖妃との掛け合い漫才になってきている。こうなってくると、妖妃が妙に気に入ったりして、ちとアレだ。なにせ超 美人、グラマーでテクニシャンだもんね。しかし、秀蘭は切ない。

月の影 影の海(上、下):小野 不由美, 講談社文庫 (2000 May. 8)
主人公が凛々しく清々しい。運命を受け入れるということ、運命を自らの手で、頭で、拓くということ。
あんな超人的な奴、居るわけ無いじゃないか、感情移入できない、とか、上巻のあまりに苛烈な展開に着いて行けない、とか言う人も居るかもしれない。

感情移入できなくとも、どういうことが起こっているかは、ほんの少しの理解力があればわかる。
それをどうするか、だ。

風の海 迷宮の岸:小野不由美, 講談社文庫 (2000 May. 9)
涙が出るほど優しく、いとおしい。ただ優しくあることが、どれだけ強いことか。

世界を自らのものとして、自らの責任で受け入れること。夜の校舎の窓ガラスを叩き割って回るような、卑屈な心性とは程遠い。

パーキーパットの日々:フィリップ・K・ディック, ハヤカワ文庫SF (2000 May. 10)
短編集。映画「スクリーマーズ」原作「変種第2号」所収。未来はどうしたって明るい、というような能天気がSFであるなら、これはSFではな い。背筋を虫が這い回るような焦燥感と虚脱感が底を流れている。

虚空の眼:フィリップ・K・ディック, サンリオ文庫 (2000 May. 15)
古書店で購入。1959年の作品。ディック作品としては古典の部類。
アランパーソンズプロジェクトに "Eye In The Sky" あり。

◇ 2000 Jun. 15 登録分 ◇

自選恐怖小説集 :筒井 康隆, 角川ホラー文庫
表題作はじめ、「池猫」、「母子像」など全16作品。
『青春の残滓というやつはどこかがほころびるとその破れめから次から次へといくらでも湧いて出てくる』(「鍵」)という書出しに、話の内容とは全く関係無 く、思わずぐっと来てしまった。このところ、どうも夢に学生の頃の情景が頻出していて、ちょっとノスタルジックな気分になっていたのだ。しかし、こういう のはノスタルジックなのではなく、実は恐怖すべきことなのかも知れぬ。

ザ・ベスト・オブ・P・K・ディック II : ジョン・ブラナー(編) 朝倉久志 他(訳), サンリオ文庫
■ザ・ベスト・オブ・P・K・ディック III :マーク・ハースト(編) 朝倉久志 他(訳), サンリオ文庫
古書店で購入。サンリオ文庫だったので買う。因みに発売当時の定価の2倍ほどの値段。

戦闘美少女の精神分析: 斉藤 環, 太田出版
アニメ、ゲームの世界で一大ジャンルを形成する戦闘美少女の謎を分析する。いわゆる「おたく」分析なのだが、なかなか痛快。なお、著者はラカ ン派の精神分析医である。いわく、精神分析医ほどおたく含有度の高い職業は無い、とのこと。

ラカン 象徴的なものと想像的なもの: ジャン= ミシェル・パルミエ/岸田 秀(訳), 青土社
前掲書を買ったついでに本家のものも。
ラカンの思想の入門書。分量も手ごろで読みやすい。

図南の翼:小野 不由美, 講談社X文庫 ホワイトハートシリーズ
風の万里 黎明の空(上、下):( 同上)
待っていれば、講談社文庫の方から改訂版が出るのだが、待ちきれなくなったので紀伊国屋BooksWebから購入。手許に届いてから気づいた のだが、表紙、本文ともイラストレーションは山田章博だった。ちょっと得した気分。

◇ 2000 Sep. 16 登録分 ◇

エジプトミイラ 5000年の謎:吉村 作治,講談社+α新書
ミイラの製法など

ユング オカルトの心理学:C.G.ユング/島津 彬郎(訳),講談社+α新書
ユングの生涯とオカルトへの傾倒

二色人の夜(シム・フースイ version2.0):荒俣 宏,角川ホラー文庫
風水ホラー。石垣島が舞台。

呪われた平安朝:邦光 史郎,祥伝社文庫
小説日本通史[武士の台頭]
安倍清明、平将門等を中心に平安朝を描く。

新マイルスを聴け:中山 康樹,径書房
言わずもがなのマイルス評であり入門であり思い入れ。

マイルス・デイビス自叙伝(I,II):マイルス・デイビス,クインシー・トループ/中山 康樹(訳)
更に言わずもがなの自叙伝。黙ってひたすら読む。

手足を持った魚たち 脊椎動物の上陸戦略:ジェニファ・クラック/池田 比佐子(訳),真鍋 真(監修),講談社現代新書
四肢を持った動物が、如何にして上陸を果たしたか。その過程と戦略など。

ミーム・マシーンとしての私(上,下):スーザン・ブラックモア/垂水 雄二(訳),草思社
ドーキンスが序を書いている。遺伝子の活躍は留まるところを知らないが、文化まで進化論に飲みこまれてしまうか。

唯脳論:養老 孟司,青土社
今や古典。何を今更読んでるの、の感があるが、読まないわけにはいかないか。

◇ 2000 Nov. 3 登録分 ◇

魔道書 ネクロノミコン:コリン・ウィルソン(序文),ジョージ・ヘイ(編)/大瀧啓裕(訳),学研M文庫
ふんぐるい・むぐるうなふ・クトゥルー・ルルイエ・うがふなぐる・ふたぐん。

呪禁道士 憑霊狩り:夢枕獏,祥伝社ノン・ポシェット
小田原引力のもと。作品としては古い方。まだまだ若い文章だ。

魚籃観音記:筒井康隆,新潮社
通勤中に読むには、色々な意味で困難が伴う。

Beast Of East 2:山田章博,ソニー・マガジンズ
華麗にして妖艶。晴明に光栄、妖孤妲己が素敵だ。

◇ 2000 Nov. 18 登録分 ◇

完訳 西遊記(上、中、下):村上知行(訳),現代教養文庫,社会思想社
うーん、ちょっと文体が下世話だが、話そのものが面白いのでまあいいか。

ラヴクラフト全集(1〜6):ハワード・フィリップス・ラヴクラフト, 大瀧啓裕、他(訳),創元推理文庫
世紀末にはふさわしいか。恐怖小説のはずだが、装飾過多で冗長な文体が、むしろ笑いを誘う。

ラスト コンチネント:山田 章博, 日本エディターズ
どうも、ラヴクラフトとリンクしているらしい。というか、下敷きにしているというのか。地球空洞説。

◇ 2001 Jan. 05 登録分 ◇

敷居学 ベンヤミンの神話のパサージュヴィンフリート・メニングハウス/伊 藤 秀一(訳),現代思潮新社
今年の1冊目はいきなり堅い。ベンヤミンの思考を「敷居」−境界領域を中心に置いて読む。

動物の宇宙誌:多田 智満子,青土社
物語や神話に出てくる動物について。随筆。亀、鶴、いるか、馬、牛。洋の東西を問わず、その視点は詳細にして洒脱。

ジャムの真昼:皆川 博子,集英社
短編集。表紙カバーにジェラール・ディマシオの絵。各編扉絵も素晴らしい。
なんとも言えず身悶えするくらい、稠密にエロティックで、極めて視覚的な文章だ。表題作で悶絶する。

幻想の地誌学:谷川 渥,ちくま学芸文庫
どこにもない場所への探訪。何だかわくわくする。”知的興奮”に満ちた本。博覧会的書評でもある。

◇ 2001 Feb. 12 登録分 ◇

ECMの真実:稲岡 邦彌,河出書房新社
創設以来30年に渡り、ただ一人のオーナー・プロデューサーの個性を貫き通しているレーベルECMについて。

◇ 2001 Feb. 17 登録分 ◇

涅槃の王1 幻獣変化:夢枕 獏,祥伝社文庫
涅槃の王2 神獣変化 (蛇魔編/霊水編)夢枕 獏,祥伝社文庫
ラヴクラフトをそろそろ読了しそうなので、こちらへ。全4巻の内、2巻を購入。
あぁ、やはり夢枕。20年ほど前の作品だが、良いわ。ラヴクラフトの大仰で大時代な翻訳も良いのだけれど、こっちの方がやはりぴったりくる。大作だが、一 気に読めそう。小田原引力増強中。

◇ 2001 Feb. 19 登録分 ◇

竜の柩 1聖邪の顔編:高橋 克彦,祥伝社文庫
竜の柩 2ノアの方舟編:(同 上)
竜の柩 3神の星編:(同 上)
竜の柩 4約束の地編:(同 上)
竜を巡る世界各地の神話を元に、「神と文明の謎に挑む壮大なドラマ」。生真面目っぽいが、井沢元彦と同じようなテイストを感じさせる。話が飛 び回るのはこの種の小説の常、大風呂敷加減を楽しもう。

◇ 2001 Mar. 4 登録分 ◇

風雲ジャズ帖:山下 洋輔,音楽之友社
言わずと知れたブルーノート論を所収。古書店の半額セールで偶然というか、ようやくというか、手に入った。

トポス 空間 時間:岸田 靖夫,土屋 賢二, 他(新 岩波講座 哲学 7)、岩波書店
時間と空間、場所について。プラトンから何から。

◇ 2001 May. 1 登録分

江戸の性風俗 笑いと情死のエロス:氏家 幹人,講談社現代新書
なんというのか、おおらかというのか。とにかく、タイトルどおりの本です。はい。

民族の世界地図:21世紀研究会(編),文春新書 102
民族と国家、宗教の世界地図。内容についてはちょっとどうかと思うところもあるが、民族移動など参考になる。

地名の世界地図:21世紀研究会(編),文春新書 147
こちらは地名の由来について。某ゲームに出てくる民族の調査の役に立った。

人名の世界地図:21世紀研究会(編),文春新書 154
これは人名の由来について。Philipとはどういう名前か、等と言うことが書かれている。

岸和田博士の科学的愛情 (1),(10):トニーたけざき,ワイドKCアフタヌーン,講談社(コミック)
もう、何というかオタクでおバカ。画力の凄さと馬鹿さ加減の対比があまりにも大きい。ごめんなさいである。

有閑倶楽部(5)〜(9):一条ゆかり,りぼんマスコットコミックス,集英社
えー、と。好きなんです。はい。

黄昏の岸 暁の天:小野不由美,講談社文庫
『十二国記』シリーズ、久々の新刊文庫書き下ろし。それにしても何という文章力か。淡々と書く文の端々から情感や情景が溢れ出てくる。
なお、IN☆POCKET4月号(講談社)、メフィスト(小説現代 5月増刊号)にもそれぞれ『十二国記』の外伝が掲載されている。7月には更に新作が出るようだ。

これを機にまた十二国記シリーズを最初から読み直してしまった。

◇ 2001 May. 11 登録分

IN A SILENT WAY - A Portlait Of Joe Zawinul, Brian Glasser, Sanctuary Publishing
タイトルどおり、Joe Zawinulのポートレイトである。(著者のコメントによると、伝記ではなく、ポートレイトであるそうだ。色々な角度からZawinulを描くことで、 Zawinulの音楽を明らかにしようという意図らしい。)

◇ 2001 May. 19 登録分

三星堆・中国古代文明の謎 - 史実としての『山海経』, 徐朝龍, 大修館書店
三星堆から出土した特異な遺物を、『山海経』の記述との対応から読む。中原中心の中国史(中華思想そのものだが)から、「辺境」へとスポット を当てて見る。

中国の神獣・悪鬼たち 山海経の世界,伊藤清司, 東方書店
「中国先秦時代の民俗社会の再現の試み」とある。上記の『三星堆 …』とは態度を異にするものだが、図版が多く「妖獣図鑑」としても便利。

山海経, 高馬三良(訳), 平凡社ライブラリー
上記2冊の元本。山と海に棲む妖獣妖魚妖鳥の類。実は『十二国記』シリーズに登場する様々な妖獣の由来を探ろうと買ったもの。

◇ 2001 Jun. 30 登録分

黄昏の岸暁の天(上/下):小野不由美 ,講談社X文庫 ホワイトハート
こちら、既に講談社文庫版(挿絵無し)を読んでいるのだが、山田章博のイラストもやはり見たい。氾麟の美少女具合は今ひとつだったが、廉麟は 美人さん。

野生の思考:クロード・レヴィ=ストロ−ス,みすず書房
「構造主義」を叩き付けた一冊。「未開」が西洋中心主義によって「開拓」されるものではないことの衝撃は大きかったようだ。オルタナティブと しての『野生』。

悲しき熱帯(1/2):クロ−ド・レヴィ=ストロ−ス,中央公論新社 中公クラシックス
晦渋と韜晦。皮肉。時に過剰な暗喩と換喩。一筋縄ではいかないレヴィ=ストロース先生の「旅行記」ではある。

メルロ=ポンティ・コレクション(1)『人間の科学と現象学』:モリス・メルロ=ポンティ,みすず書房
今年刊行が始まったメルロ=ポンティコレクションの1冊目。ともかくも個人的な思索の原点に立ち返るべく求める。少しは解るようになっただろ うか。

陰陽師(10): 岡野玲子/夢枕 獏,白泉社
益々抽象度を高めている。朧な宇宙呪術の世界。巻末付録の「涙の真葛ちゃん日記:巻物 著」が素敵だ。真葛は冴えた美人さんになっていて、とても魅力的だ。

◇ 2001 Sep. 22 登録分

■わかもとの知恵:筒井康隆/きたやまようこ(絵),金の星社
生活の中での様々な知恵、ヒントなど。一応児童書の体裁は取っているが、なかなかどうして。筒井康隆テイストたっぷりである。『りっぱな犬に なる方法』などでお馴染みの、きたやまようこ氏のイラストも長閑で良い。

天狗の落し文:筒井康隆,新潮社
盗用自由のネタの数々。自由とは言っても、もうこれ以上どうしようもないのではなかろうか。この作品のネタを元に何か書けたら、それはある意 味筒井になってしまった、ということを意味しないか?そんな無謀なことをするような御仁、少なくとも職業作家には居るとはとても思えない。少なくとも、 「あ、これ『落し文』のネタだよね」と言われるのを覚悟で出さなきゃならん。つまり、これから出るかも知れなかった誰かの作品、潜在的なテキストに、全て つばを付けてしまったのだ。筒井先生、何処までも意地の悪い人だ。

ネコ路地へ行こう:森田奈央,小学館文庫
ネコの居る街角の探検記。詳しいネコ地図のイラストと、探索の様子。路上のネコはたくましく、愛らしい。にゃ、と愛らしい声を上げて足元に 寄ってくるネコさんを見ると、心動かされずには居られないのだが、世の中はネコ好きばかりでもなく、地域生活の上では、迷惑を被っている人もいるので、す ぐに餌をやったり、家に連れ帰ったりはできない。野良さんたちには何もしてやれない、というのはとても切ない。

夢の博物誌b:山田章博,日本エディターズ
『続・夢の博物誌』の再刊。この人、本当に絵が巧いのだな、と思う。あらゆるスタイルで描けるらしい。江戸趣味や、フェチとも言うべき服飾趣 味など、凄すぎ。特に、事情ありげなご婦人の様子など悶絶もの。表紙のお嬢ちゃんも素敵だ。

メルロ=ポンティ・コレクション(2)『哲学者とその影』:モリス・メルロ=ポンティ,みすず書房
コレクションの第2巻。表題作(フッサールを描いたもの)など。勉強しなくちゃ。

◇ 2001 Nov. 03 登録分

メルロ=ポンティ・コレクション(3)『幼児の対人関係』:モリス・メルロ=ポンティ,みすず書房
表題論文他、心理学、社会学関係の論集。同僚レヴィ=ストロースの「構造」についての捉え方など興味深い。

イタリア・ルネサンス:深井繁男,講談社現代新書
どうも今ひとつ良く判らんが、人文主義者というのは職業だということだけはわかった。
しかし、知の追求が時代を追うにつれ、量の勝負になってしまった、というのは、わが身に引き比べてちょっと痛い。(沢山知っている)=(偉い)という訳で はないのは重々承知だが。

The Dream of Reason - A History of Philosophy from the Greeks to the Renaissance, Anthony Gottlieb, W. W. Norton & Co., NY
哲学史。まとも押さえていないことにふと気付いた。いかに学生時分に怠けていたか判ろうというもの。
さて、歴史といっても、単に事実を並べただけでは「歴史」にはならないんじゃないかと思う。第一、「事実」ってなんだ、というところからして問題だ。世界 史や日本史でもそうだが、哲学史となるとこれはもう解釈、編纂の意図無しでは哲学「史」にはならないと思う。

本書はアメリカ人ジャーナリストが書いたもの。アメリカの哲学といえば、実用主義などと訳されるPragmatismだけなんじゃないかと 思われている節がある。そういう意味で、アメリカの思想家がヨーロッパを受容する態度というものが明らかになるかも知れない。

昭和の大学生大百科1960-1979:別冊宝島,宝島社
今ひとつ、というか、詰めが甘い。淺川マキが出てこないことだけでも、−100ポイント。カタログ的にも不十分。ただ、同時代を学生として過 ごした多数の人のコメントが面白くはあるが、何をか言わんやな感じの奴も居る。高度経済成長期における団塊野郎の功績については認めるに吝かではないが、 やっぱり嫌いだ。

岸和田博士の科学的愛情(2)-(9), (11),(12):トニーたけざき,ワイドKCアフタヌーン,講談社(コミック)
遂に全巻揃えてしまった。お馬鹿炸裂。

◇ 2001 Nov. 18 登録分

サルトル/メルロ=ポンティ往復書簡 - 決 裂の証言: J.‐P. サルトル,M. メルロ=ポンティ (著)/菅野 盾樹(訳),みすず書房
盟友の決裂の模様について。個人的にはボーボワールのせいじゃないかと思っているのだが、まぁ良いか。政治と哲学の関係について。フランス 人って、政治好きだからな。通俗的占星術にしたがえば、双子座(サルトル)と魚座(メルロ=ポンティ)なので、相性は悪い事になるんだけど。さて、双子座 生まれでメルロ=ポンティを読んでいる拙輩の立場は一体 … 。

猫の地球儀 焔の章:
猫の地球儀 その2 幽の章:秋山瑞人,メディアワークス/角川 電撃文庫
知人のお薦めにしたがって購入。取りあえず通勤時に読むことにしよう。感想はまた別途。

(2001 Nov. 23 追記)
というわけで読みました。いや、とても素晴らしい。なにしろ猫がよく描けてる。にくきゅうぷにぷにとか、ただ可愛いだけじゃなくて、その残虐性も容赦なく 書いている。だからと言って著者が即、猫好きだとは思わないが、相当な観察力、洞察力の持ち主なのだろう。いつも母猫の陰に隠れてにゃぁと鳴いていた野良 の子猫が、近隣のボスになるまであるいは、やせてそのまま死んでしまった子猫を処分してしまう母猫、なんていうのを幾度となく見てきている拙輩にとって、 この猫たちの厳しさ、愛らしさ、唐突さや無邪気さ、そして時に見せる残酷さは、本物の観察から出てきているものだろうと思う。

話としても良くできている。どうしようもなく自分の夢に突き進んでしまう、そういう猫たち。不覚にも目頭が熱くなってしまった。

安倍晴明 謎の大陰陽師とその占術:藤巻一保,学研M文庫
もうこれだけブームになってしまうと、玉石混淆状態で訳わからんですな。この「書庫」を書き始めた’99年当時とはえらい違い。
で、本書には「金烏玉兎集」牛頭天王縁起が掲載されていたので購入。さて、どんな感じに解説されているかしらん。

ロードス島戦記 ファリスの聖女 I,II(新装版):水野良(原作)/山田章博(作画),角川書店
もう、何と言うか、山田先生の画力には圧倒される。ちょっと目がちらちらするが。お話自体はゲームの原作みたいなものなので、まぁ、どうと言 うことはないのだが、出てくる女性が皆美形で楽しい(笑)。

◇ 2001 Dec. 9 登録分

いまだ生まれぬものの伝説 タルカス伝1
炎の海より生まれしもの タルカス伝2
剣をとりて炎をよべ タルカス伝3
火の山よ目覚めよ タルカス伝4
火の山の彼方に タルカス伝5 : 中井紀夫,ハヤカワSF文庫
何というかエロでグロでおバカ炸裂なのだが、ふと叙情的なしっかりした文章だったりもして、どう評価すれば良いのやら。取りあえず、ELP、 プログレファン以外にはお勧めしません、と書いておきましょう。

人魚變生: 山田章博,東京三世社
デビュー作「ぱだんぱだん」を含む初期の作品集。まだ画の感じが不安定ながら、ヴァーサタイルな画力が溢れている。しかし、フェチですな、こ の人。

※なお、上記2作品はいずれも「日本の古書店」Webで検索し、それぞれ 北海道の古書店から入手しました。

◇ 2002 Feb. 24 登録分

フィリップ・K・ディック 我が生涯の弁明 In Pursuit Of VALIS : P.K.ディック(著),ロランス・スーティン(編)/大瀧啓裕(訳)
例の『釈義』の全訳。キリスト教神秘主義とコンピュータ、等々多岐に渡る思索の塊。時代性と言えばそれまでだが、ディックという存在のある一 端を示す大著ではある。大瀧さんの後書がやはり面白い。

現象学入門 : 竹田 青嗣, NHKブックス 576
今更ながら入門。学生の頃にこんな本があれば、もっと違った風になっていたかも知れないと思う。が、構造主義、ポストモダンの、日本における 受容のあり方が見えてきた今になって初めて判ることもあるのだろう。
とても切れの良い解釈が展開されていて、よく分かるのだが、こういう時にこそ眉に唾を付けてよく見なければ、と思う。

現代思想の冒険 : 竹田 青嗣,ちくま学芸文庫
前掲書が面白かったので、著者の研究を少し。カント、ヘーゲルからデリダ、バルト、バタイユに至る現代思想の概観。相変わらず、というのか、 原理的なところがよく分かる本ではある。

意味とエロス―欲望論の現象学 :竹田 青嗣, 筑摩書房
さらに続き。エロス的なもの、主観と客観、意味。ふと、なんだかこの著者、社会とのつながりの中での自分のあり方、とかいうものに思索の焦点 があるような気がする。まぁ、団塊の世代ではあるし、かつての社会改革運動の現代的回復を目論んでいるのでは、とか思ってしまう。昨今の「自分探し」ブー ムにもしっかり乗って居るらしいのも、ちょっと怪しいけど。

黒の図鑑―Think black :アスキー編集部(編), Team Air (著)
黒いものばかり集めた本。実用的なものが少ないのが残念。

◇ 2002 Mar. 25 登録分

帝都物語異録:荒俣宏(編), 原書房
あの『帝都物語』の世界の解説の様なもの。その構想から、魔人加藤の成り立ち、霊的都市防衛構想やら陰陽道、さらにブックガイドなど盛り沢山 で興味深い。各界の碩学の解説もあり。新帝都物語の構想もあるとのことで楽しみ。

存在論的、郵便的 ジャック・デリダについて:東 浩紀,新潮社
これまた、何を今更ですが。見つけたときに買っておく、ということで。個人的にちょうどこの辺りに差し掛かってきたし。はぁ、先は長いです が。

悪魔の話:池内 紀, 講談社現代新書 1039
悪魔学入門と言ったところ。現在の悪魔のイメージの成立過程について。著者はドイツ文学者で、『新日曜美術館』などでよく見かける人。黒の系 譜ということでひとつ。

ロボットの心 7つの哲学物語:柴田 正良, 講談社現代新書 1582
古くて新しい課題。著者は「ロボットにも心はある」を支持する立場の人。AI、コネクショニズムなどの解説もありスリリングではある。

◇ 2002 May. 15 登録分

山田章博画集:山田 章博,中央公論新社
『20年の軌跡を捉える決定保存版!』と帯にあるが、本書は著者が小説、記事など他の著者の文章に添えられる目的で描いた作品が殆どである。 カラー146点を含む全482点。もう、うっとりである。少々高価ではあるが、ファンなら即購入ですよ!

漢字の字源:阿辻哲次,講談社現代新書 1193
漢字の成り立ちを、甲骨、金文などの原初の形から解説する。漢字が成立する過程での中国の文化、生活などが垣間見えて面白い。

心のマルチネットワーク 脳と心の多重理論 :岡野 憲一郎,講談社現代新書 1519
相変わらず、個人的課題としての心身問題を考える上での関係書。

進化論という考え方:佐倉 統,講談社現代新書 1598
ネオダーウィズムの攻勢は今や生物学という範疇のみならず、文化現象にまで及んできている。著者は最近では珍しく、ダーウィニズム派らしい。 生物進化と文化現象という「複雑系」の橋渡しとして、あるいは学際的研究領野としての進化論。

◇ 2002 Jun. 2 登録分

イリヤの夏 UFOの空(その1,その2) : 秋山瑞人,角川電撃文庫
その2、P.288。
帰りの電車の中で読んでいた。不意を衝かれて涙が出そうになった。
降車駅の直前で良かったと思った。

伊里野の間違ってもカッコイイなどと評してはならない飛行。
苛烈な宿命を背負った精一杯の、それ故華麗な飛行。そしてそれを見る浅羽の視線のなんと優しいことか。
彼はこの瞬間、伊里野の宿命を全て受け入れる事を決意したのだと思う。

それにしても秋山瑞人の文章、視線は冷静だ。冷徹と言うべきか。

◇ 2002 Jul. 7 登録分

青春鬼(魔界都市ブルース) : 菊地秀行, 祥伝社 NONノベル
『転校生の名は秋せつら』という訳で、転校生ですよ。転校生が来ると、大体騒ぎが発生します。お決まりです。
そんな美しい転校生、秋せつらくんの高校生時代の話。浪蘭幻十くんも出ます。まぁ、そのさっと読んでしまいましょう。

魔王伝(魔界都市シリーズ) [1.双鬼 編、2.外道編、3.魔性編]: 菊地秀行, 祥伝社ノンポシェット
またまた秋せつらと浪蘭幻十の死闘。相変わらずの過剰な修飾と大仰な文章。笑いながら読めるスプラッタエログロおばか小説ではある。さっさと 読んでしまいましょう。いつもフロイトとかラカンとかバルトじゃ疲れるしね。

フロイト思想のキーワード : 小此木 啓吾,講談社現代新書
フロイト思想の変遷と背景、フロイト自身の精神分析など。著者自身のフロイトへの傾倒ぶりも伺えて面白い。
フロイトの主題について、一貫したおさらいには好適。

◇ 2002 Jul. 21 登録分

魔界医師メフィスト : 菊地秀行, 角川文庫
魔界都市シリーズの登場人物、Dr.メフィストを主人公にしたお話。もう、魔界都市ですよ。メフィストさん、好き放題やってます。

金枝篇(一)〜(五) : James George Frazer(著)/永橋 卓介(訳), 岩波文庫
民俗学の古典的大著。この文庫版は、全13巻にもおよぶ原著本編を1巻に集約した簡約本の訳出。これは、民俗学の本ではあるが、魔術、オカル トの起源に関する本としても読める。暫くは楽しめそうだ。

◇ 2002 Dec. 20 登録分


日本の呪い―「闇の心性」が生み出す文化とは : 小松 和彦 , 知恵の森文庫/光文社
憑霊信仰論―妖怪研究への試み : 小松 和彦, 講談社学術文庫
京都魔界案内―出かけよう、「発見の旅」へ : 小松 和彦 ,知恵の森文庫/光文社
日本魔界案内 : 小松 和彦, 知恵の森文庫/光文社
鬼の玉手箱 : 小松和彦, 福武文庫
マンガ 安倍晴明&陰陽師がよくわかる本 : 川合章子, 講談社
陰陽師 安倍晴明に出会う旅 : 吉田憲右, コスミック出版
夏の京都旅行のための参考書として。小松和彦のものはいずれも呪いや怨霊といった、いわば闇の文化史について扱ったものです。魔界都市として の京都を探る旅にはもってこい。
あとの二冊は楽しめの本。ミーハーな気分で安倍晴明関係の神社を訪れて見ましょう、といったところですか。しかし、「マンガ〜」の方は。陰陽道や平安時代 の社会組織に対する解説もよくまとまっていて、見かけよりはずっと良い感じです。

イリヤの空、UFOの夏 (その3) : 秋山 瑞人, 角川電撃文庫
ようやく出ました。相変わらず冷徹ですな、秋山さん。ライトノベルとはいえ、濃いですよ、相当。

筒井版 悪魔の辞典<完全補注> :アンブローズ・ビアス(著)/筒井康隆(訳), 講談社
今更悪魔の辞典もないだろう、と思われる方もまぁ、読んでみて下さい。筒井ならではの訳文です。見事です。

魔界医師メフィスト 斬影士 : 菊地秀行, 講談社文庫
魔界医師メフィスト 魔女医シビウ: 菊地秀行, 角川文庫
わはは。メフィストさんですよ。フェミニストの皆さんは読まないでね。

マイノリティ・リポート : フィリップ・K・ディック(著)/浅倉久志,他(訳), ハヤカワ文庫
映画になってしまいましたね。トム・クルーズですよ。スピルバーグですよ。
表題作(前訳では『少数報告』というタイトルで、『悪夢機械』に収録されてました)他、PKDの短編が全部で七篇。『追憶売ります』(映画「トータル・リ コール」の元ですね)も収録されてます。

で、これ、50年代に書かれたものなんですが、ペシミスティックな作風の印象が強いPKDとしては随分明るいというか、余裕のある短編ばか りです。古き良き時代のおおらかなSFってところですか。

◇ 2003 Jan. 2 登録分

■無限論の教室 : 野矢茂樹, 講談社現代新書
講義形式で書かれた無限の話。可能無限と実無限という考え方など。扱っている内容は難解だが、とにかく面白い。「無限は数ではない」なんて、 あまり意識して考えていなかったので新鮮。

時間は実在するか : 入不二基義, 講談社現代新書
時間の実在性について。そもそも「実在する」というのはどういうことか、という根本的な問いもあるのだが、構造主義や現代の思想の潮流からは 少し外れるかも知れないこの辺りの話は、やはり刺激的ではある。

なお、『無限論の教室』と同じく、ゼノンのパラドックスから話が始まる。一と多、運動と無限、分割不可能性等々、脳味噌を絞るのに好適。

黄泉がえり : 梶尾真治, 新潮文庫
「いわば、熊本作家による熊本市民のための熊本SFというわけで、そのココロは熊 本愛」 (香 山二三郎による解説より)

これは熊本出身の女房が買った本。私は熊本出身ではないが、青春の多感な一時期を過ごした地であり、現在の人生(大げさだね)に決定的な影 響を与えた土地ではあるので、やはり興味津々。最近映画になったようだ。

まだちらっとしか読んでいないが、出てくる地名や施設名を見ると、暮していた当時の光景が蘇って、とても視覚的だ。面白い話だと良いのだ が。

◇ 2003 Jan. 9 登録分

マリア様がみてる
マリア様がみてる 黄薔薇革命
マリア様がみてる いばらの森
マリア様がみてる ロサ・カニーナ
マリア様がみてる ウァレンティーヌスの贈り物(前)
マリア様がみてる ウァレンティーヌスの贈り物(後)
マリア様がみてる いとしき歳月(前)
マリア様がみてる いとしき歳月(後)
マリア様がみてる チェリーブロッサム
マリア様がみてる レイニーブルー
マリア様がみてる パラソルをさして
マリア様がみてる 子羊たちの休暇 : 今野緒雪, 集英社コバルト文庫
俺の芥子粒程の理性が警告するのだ。「コレハキケンダ。」
禁断の領域に踏み込んだかも知れない。ソフト百合だそうで。

と、考えてみれば、少女漫画は実に平気なのだ。百合だろうと何だろうとあまり関係ないのだ。詳細な考察はまた別にして、とても愛らしいお話 です。きょうびの田舎のねーちゃんしか見ていない目が潰れそうなくらい美しく眩しい。

あまり書くとセクハラだとかアンチフェミニストだとか言われそうだが、ちったぁ見習ったらどうだ。

それではごきげんよう。

◇ 2003 Feb. 2 登録分

プラトン入門 : 竹田青嗣, ちくま新書
入門といっても、著者独自のいわば現象学的読み直し。イデア実在論ではなく、普遍の可能性と読む。何だか巧いことはぐらかされた感じもする。 本当の初学者にはお奨めしない。

■フーコー入門 : 中山元, ちくま新書
入門してばっかり(笑)。こちらは後期も含めて、フーコーの思索の一貫性を読ませてくれる。

サクラ大戦 イラストレーションズ the Origin + Tribute : 藤島康介、他, スタジオDNA
オリジナルデザイナーの藤島康介+35人のイラストレーター、デザイナーさん達の描いたサクラ大戦キャラクター。山田章博は堂々の見開きで登 場。その他、様々な個性と思い入れがいっぱい。楽しいですよ。

◇ 2003 Mar. 16 登録分


アリストテレス入門 : 山口義久, ちくま新書
更に入門(笑)。”リアリスト”アリストテレスの像が垣間見えて面白い。「イデアなんてことを言い出すのは、数が少なくて数えにくいから倍に して数えましょう、というようなものだ」とか、はっきりしてて愉快。

今更古い哲学史をなぞってどうなる、とかポストモダンな人たちからは言われそうだが、反論のための反論しか生み出せてない連中には、まだ色 々独自の思索が提出できた時代は(それが今の眼でみると全く幼稚であっても)羨ましいんじゃなかろうか、とか余計なお世話が頭に浮かんだ。

天皇と日本の起源 「飛鳥の大王の謎を解く」 : 遠山美都雄, 講談社現代新書 1648
飛鳥時代に初めて制定された「天皇」という称号の成立過程について。
色々とこれまで読んできたものとは全く違う観点から書かれていて、スリリングであった。多少独断的な気配がしなくもないが、それはそれ。他の資料で跡づけ られるものにしても、新しい解釈をいくらでも行えるということだ。

言語的思考へ 脱構築と現象学 : 竹田青嗣, 径書房
さて、竹田青嗣のポストモダン批判。現象学がいかに通俗的に曲解されているか、ということを力を込めて訴え続けている著者の思考あるいは志向 がまとまって読める。相変わらず歯切れのよい文章だが、自分と社会との関係性についてという現実生活感、− 「実存」という言い方の方がこの場合相応しいのだろうが − が底流に常に流れているようで、とても気になる。
この本は、いわば旧世代(ポストモダンのいうところの形而上学)の陣営からのポストモダン再批判である。どう読むか、踏み絵、試金石のような書ではある。

プログレッシヴ・ロックの哲学 : 巽孝之, 平凡社
『プログレッヴ・ロックは、もうひとつの「アメリカの夢」に貫かれていた』
著者の最初の仮定であるが、僕には今ひとつしっくり来なかった。まぁ、プログレのライナーノーツなど読むと、その音楽と同様、難解、壮語、装飾過多の羅列 だったりするわけだが、この本はそういう、「様式美」を旨とするロック雑誌的な批評本ではないので、安心して読める。細かいことを言えば、例えばピート・ シンフィールドについて一言も触れられていないのは何故か、とか、マニアックなツッコミどころは満載なんだけれども、それをやるのはある種野暮だ。カタロ グ的知識の自慢大会が好きな人は好きにすればいいと思う。

◇ 2003 Apr. 26 登録分


ギターは日本の歌をどう変えたか : 北中正和, 平凡社新書
ギターという楽器が日本の音楽に与えた影響など。日本のポピュラー音楽史として。但し60年代頃までの話。[エレキギター]=[不良]なんて いう懐かしいフレーズを思い出した。(Apr. 26, 2003 記)

日本文化 モダン・ラプソディ : 渡辺裕, 春秋社
「日本人のやるジャズはジャズじゃない」とか言う人が時々居るようだ。さて、日本文化というと何をイメージするだろうか?歌舞伎とか和太鼓と か?そういう文化表象がどのように形成されてきたか、そういうことを考える人にはとても面白い本だ。拙輩も以前「J-ナントカ」ということで少し考えてみ たことがあるが、所謂「和洋折衷」に対する「マガイモノ」的視線とは異なった視点を提供してくれる。

「遠くの西洋の本物」と「過去の純粋な日本文化」。この分裂した日本文化についての表象、イメージについて、日本の音楽の発達史、宝塚の発 展の経緯などを豊富な資料を基に描き出す。タイトルからは音楽のことはすぐには連想できないかも知れないが、音楽に興味のある人、「今」の日本文化につい て考えたい人、必読です。(Apr. 26, 2003 記)

魔人同盟 魔界都市ブルース 青春鬼 : 菊地秀行,祥伝社 ノン ノベル
魔人同盟 [完結編] 魔界都市ブルース 青春鬼 : 菊地秀行,祥伝社 ノン ノベル
せつら君、幻十君の青春ですね。いよいよ終わりです。えーっと、さっと読んじゃいましょう。
しかし、なぁ、菊地さん、世の中ナメきってんじゃねぇのか。あ、結構好きなんですよ。

中国妖怪伝 怪しきものたちの系譜 : 二階堂善弘, 平凡社新書 176
西遊記や封神演義、その他中国の小説、説話などに登場する妖怪のお話。中学生の作文のような平易な文章で読みやすく、面白い本です。『中国の お話は何でもハッピーエンドにして、ついでにお説教も付け足す』んだそうです。

ゲマトリア数秘術 : 久保有政, 学研 ムー・スーパー・ミステリー・ブックス
時期が時期だけにちょっと、ですが、ちょっと調べようかと思ってたら適当そうな感じだったので購入。まぁ、『ムー』ですから。色々と「実例」 豊富で面白いですよ。拙輩、大陸書房育ちである部分もあるので、こういうのは全く平気。目くじらたてて議論する人も居るようですが、まぁ、落ち着きなさ い、と。

ゴシックとは何か 大聖堂の 精神史 : 酒井健, 講談社現代新書 1487
ゴシック建築の代表、聖堂から「ゴシック」というものの本質を探る。おおざっぱに言ってしまうと、ゴシックの聖堂は、森や樹木など、ゲルマン の森に暮したヨーロッパの古層、民衆の帰るべき自然のイメージを具現化した、実はキリスト教的な建造物である。それがいかにキリスト教に 取り込まれたか、あるいは権力や政治に結びついたか、などヨーロッパ史を別の角度から見ることが出来る。

グレコローマン的理知、知性的原理と、ゲルマン的な混沌、感性的原理の相克の歴史と言えるかも知れない。

因みに、「ゴシック(Gothic):直訳すると”ゴート人の”」という語は、ルネサンス期イタリア人がドイツの民族(アルプス以北でドイ ツ語を話す人々)を指して言った蔑称であって、歴史に現われるゴート人とは直接関係はない。

マリア様がみてる 真夏の一ページ : 今野緒雪, 集英社 コバルト文庫
文庫13冊目です。あぁ、もう麗しい。なんと愛らしい世界。色々とは書きません。読んで下さい。

色の名前で読み解く日本史 : 中江克己, 青春出版社 プレイブックス インテリジェンス
蘇芳、韓紅、萌葱。どういう色彩だかご存じでしょうか。日本に伝わる色名を春夏秋冬それぞれの季節の色として解説する。何だか雅な気持になり ます。それにしても、色の名前って、本当に知らないんだな、ということを再確認。

桜信仰と日本人 愛でる心をたどる名所・銘木紀行 : 田中秀明,青春出版社 プレイブックス インテリジェンス
花見の季節向きの本です。何故、国家的イデオロギーと結びついてしまったか、とか、まぁ色々ありますが、楽しく読みましょう。江戸時代の花見 を詠んだ川柳など大笑いです。名所案内や、桜の種類解説の章もあり、便利で面白い。

欲望を叶える神仏・ご利益案内 : 小松和彦 他(監修), 光文社 知恵の森文庫
現世のご利益ですよ!あちらも「拝まれることで徳を高め、さらに強力な御利益を提供する」立場の仏様たち。お願い事をするときの作法など。 「求める御利益別神仏攻略法」という感じ。但し裏ワザはありません。

◇ 2003 Jun. 28 登録分

ものぐさ精神分析 : 岸田秀, 中公文庫
続 ものぐさ精神分析 : 岸田秀, 中公文庫
幻想の未来 唯幻論序説 : 岸田秀, 講談社学術文庫
性的唯幻論序説 : 岸田秀, 文春新書
一神教 VS 多神教 : 岸田秀/(聞き手)三浦雅士, 新書館
以前から気になっていた岸田秀のものをまとめて。唯ナントカ論(唯脳論とか唯物論とか)ってあまり好きじゃないんだが、とりあえず。

で、相当面白い。もうひたすら、『人間は本能が壊れているので、幻想に頼らざるを得ない』と、これだけ。かといって、虚無的に傍観している わけでもなく、その辺りのスタンスの取り方が実にユニーク。東洋的悟りというのか、諦観とも通じる印象。他にも色々と書きたいことはあるのだが、こちらで はこの辺で。

世界遺産・封印されたミステリー : 平川陽一, PHP文庫
ユネスコ認定世界遺産の、あまり知られていない実態、という感じ。まだまだ研究の進んでいない所が沢山あるらしい。日本の世界遺産登録申 請、って相変わらず村おこし的発想でやっとるとしか思えんのだが。

大和朝廷と天皇家 : 武光誠, 平凡社新書
文献、古墳の年代分布や遺跡・遺物から、大和朝廷の成立過程を検証する。昔の本には無かったと思われる視点が見られて興味深い。

デカルト 「われ思う」のは誰か : 斎藤慶典, NHK出版 シリーズ・哲学のエッセンス
カント 世界の限界を経験することは可能か : 熊野純彦, NHK出版 シリーズ・哲学のエッセンス
相変わらず入門しっぱなしですが(笑)。わずか100ページ余の本なので、本当にシリーズ名どおりエッセンス。いきなり読むと難しいと思う。 とりあえず押えておきたいところだけ、概観する程度なのだが、ただ、このシリーズ、旧来の本とは違って、かなり著者の意見が表に出ている気がするので、こ の辺りについてちょっと変わったことを言いたい人のアンチョコ向きかも。

ラカンとかフロイトとかまた最近読み直しているので、その周辺ということで。あ、岸田秀もそうか。

◇ 2003 Sep. 14 登録分

マリア様がみてる 涼風さつさつ : 今野緒雪, 集英社コバルト文庫
今回は(も?)少々波乱含み。少し妙な感じの娘出てきたりして。可南子って、重要な選択肢に気付いていない、というのか気付きたくない、とい うのか。まぁ、そうやってる自分が好きなのか。って、えーと、当件に関しましては、その筋の専門の皆さんが既に語られているので、拙輩がとやかく言うこと もないでしょう。相変わらずの麗しさであります。

仏像の見方 ハンドブック : 石井亜矢子, 池田書店
羽田で待ち時間に買ったもの。ほら、志摩子さんとお話がしたいでしょ、やっぱり。って、そういうことではないのですが。ともかく、少々難しい が、印相での見分け方とか、ヘアスタイルとか、小冊子ながら詳しく、便利。

魔界医師 メフィスト 怪屋敷 : 菊地秀行, 講談社文庫
いつもの調子です。しかし、なぁ。ほんっとに!ナメてんじゃねぇのか、菊地さんよ。

民族楽器代博物館 : 若林忠宏, アートダイジェスト(文庫)
ふらふら書店を歩いていて偶然見つけたもの。著者の所有する約2000の民族楽器から選ばれた400程が、カラー写真に解説で紹介されてい る。著者自身の自慢話が少々鼻につくが、見ているだけでも楽しい。巻末のCD案内も便利だ。

ニーチェ どうして同情してはいけないのか : 神崎繁,NHK出版,シリーズ・哲学のエッセンス
ハイデガー 存在の謎について考える : 北川東子, NHK出版 シリーズ・哲学のエッセンス
ライプニッツ なぜ私は世界にひとりしかいないのか : 山内志朗, NHK出版 シリーズ・哲学のエッセンス
ドゥルーズ 解けない問いを生きる : 檜垣立哉, NHK出版 シリーズ・哲学のエッセンス
相変わらずどんどん入門ですが。この辺りまで読んでくると、色々と歴史的な関係も含めて少々解りかけてきて面白い。先は長いが。

イリヤの空、UFOの夏 (その4) : 秋山 瑞人, 角川電撃文庫
最終巻です。巧いというのか、冷静、冷徹な筆の運びが見事。その中から、情感が溢れ出てくる。無駄な情景描写や、説明的な台詞が無い分、スト レートに伝ってきて、時に不意を衝かれる。厳しい。

◇ 2003 Nov. 14 登録分


理科系の文学誌 : 荒俣宏, 工作舎
無味乾燥に思える科学が、かつて狂気や幻想を生み出してきた力であった時代がある。SFはその科学のだしガラ、詩の言葉によるすり替えに過ぎ ない、という。そんなわけで、文学を理科系の立場から描き出してみよう、という本。対象となるのは古今のSF。文学好きが何故科学の狂気、豊饒に興味を示 さないのだろう、という著者の独特の観点が興味深い。例によって博識の塊。

オリエンタリズム〈上〉〈下〉 : エドワード・E・サイード, 板垣雄三/杉田英明(監修),今沢紀子(訳), 平凡社ライブラリー
急に他界した、というので慌てて買った。「オリエント」が如何に「創られて」きたか、もう繰り返し多くの例を挙げて批判する。曰く、オリエン タリズムというのは「オリエントとは自分で自分を表象できないので、西洋によって代弁してもらう必要がある」、という主張である、とか、西洋と東洋との二 項関係を創り出して、東洋は西洋によって教化、訂正されなければならないだの、というのが、現在なお続くオリエンタリズムの根本だ、とか。デリダは、西洋 の哲学というのは二項対立を創り出し、そこに優劣関係を設定せずにはおかない、という。だとすれば、オリエンタリズムに見られる西洋優位の基本原則は、実 は単にオリエントというジオメトリックな研究にたまたま現われているというのではなく、もっと根の深い問題なのだろう。翻って、日本は文明開化の頃に西洋 化することを選び、東洋に対して(自ら極東の一地域であるにも関わらず)オリエンタリズムの視線を内在化させて今に至っている。「日本とアジア」などとい う表現は、アジアから日本を除外した、まさにオリエンタリズムの視線を端的に表したものだろう。つまり、日本は「アジア」を教化し、救済し、是正していく べき存在であるのだ。迂闊に西洋の東洋蔑視を嗤えまい。

脳はいかにして“神”を見るか − 宗教体験のブレイン・サイエンス :アンドリュー・ニューバーグ/ユージーン・ダギリ/ヴィンス・ローズ(著), 茂木健一郎(監訳),PHP研究所
何かもう、恐れ入りました、という印象。ニューサイエンスの真骨頂を見た感じ。テレビは別に神様を信じなくてもちゃんと映る。だけど、神様が 映してくれていると信じても何ら不都合はない、と。そうです、科学は信仰の手助けを充分に出来るのです。

科学では解明できないものがある。だからそれが無いとは言えないでしょ?までは良いとして、それをある、と言ってしまえるのは信仰の力以外 に無いよな〜。

図解雑学 サルトル : 永野潤, ナツメ社
お気楽に、サルトル。既に時代から抹殺された(思想なんてのはそんなものか)実存主義者の裏話が読めて結構おかしい。結局、双子座B型的無邪 気にしていい加減な奴、ということかも。

デリダ 脱構築 : 高橋哲哉,講談社
ちょっと難しい、というかえらく難しい。正義論としての脱構築、というモチーフ。正直言ってよくわかりません。

もっと哲学がわかる 神秘学入門 : 冨増章成,洋泉社
笑いながら読めるというか、笑っていると本題を見失う、という本。何しろそこここにちりばめられた「寒い」ギャグがやけに目立つ。大体、「と ますあきなり」ですよ(これがわからない人は本書を読んで下さい)。とは言っても、ちゃんとした本です。

探偵玄居煉太郎 からくり座 : 山田章博,幻冬舎コミックス
言うことありません。美しいです。

マリア様がみてる レディ、GO! : 紺野緒雪,集英社 コバルト文庫
うふふ。 あー、もう、由乃さん、素敵です。って本題については語りません。読んでね。

ジャコ・パストリアスの肖像 : ビル・ミルコウスキー(著), 湯浅恵子(訳), リットー・ミュージック
何度目かの再発でようやく買いました。データはちゃんと新しくなってるようです。

◇ 2003 Dec. 31 登録分


バカの壁 : 養老孟司, 新潮新書
ベストセラーだから読んだ、というわけでもないのですが。
養老先生の語り口(文字通り語ったものを、編集者がまとめたものです)は相変わらず独特。人間同士なら必ず解り合える、と無邪気に信じてるはあまりいない んじゃないか、と個人的には思うわけですが、養老先生の授業の様子などTVで見ていると、どうも思考の癖みたいなものが邪魔になるということは大いにあり 得るのだな、と感じます。他者を見ること、他者と関わりを持つことが、結局は自分の考え方を基にせざるを得ないということは、改めて確認しておくべきこと なのだな、と漠然と感じます。

メタファー思考 - 意味と認識のしくみ : 瀬戸賢一,講談社現代新書 1247
メタファー、見立てですね。日本文化は見立てで成り立っている、というのを何処かで読んだ記憶があります。それはともかく、”目玉焼き”と か”メロンパン”とか、日常的に目にしてはいる言語表現なのですが、立ち止まって考えると、人間の認識のしくみとか、意味の形成とか、様々なことを考える 良い機会になります。

ザヴィヌル - ウェザー・リポートを創った男 : ブライアン・グラサー(著)/小野木博子(訳),音楽之友社
こちらは以前挙げておいたIn A Silent Way - A Portlait Of Joe Zawinul, Brian Glasser の翻訳です。やっと出た、というところですか。ここで、これならもう二年前に原書を読んでるんだけど、一 応。とか書くと嫌みったらしくて素敵なんでしょうが、残念ながら1/3程しか読んでませんでした。本書は翻訳がとても良いので、殆ど違和感なく読めます。 内容も勿論素晴らしい。ザヴィヌルの意外な(知らなかっただけですが)一面とか、音楽的なバックグラウンド、考え方、創造への尽きることのない意欲とそれ を支える気力・体力等々。音楽ファンには是非ともお奨め。ザヴィヌルのファンではなくとも興味深く読めるでしょう。

言語学とは何か : 田中克彦, 岩波新書 303
20世紀言語学入門 - 現代思想の原点 : 加賀野井秀一, 講談社現代新書 1248
言語 - ことばの研究序説 : エドワード・サピア(著)/安藤貞雄(訳), 岩波文庫 青686-1
言語・思考・現実 : B・L・ウォーフ(著)/池上嘉彦(訳), 講談社学術文庫
■言語の脳科学
- 脳はどのようにことばを生みだすか : 酒井邦嘉, 中公新書
言語関係をまとめて。
サピア-ウォーフなんてもう古典になってしまってます。が、言語相対論は今だ有効ではあるのでしょう。
印欧語の樹状系統図が,、遠くは聖書のバベルの塔説話に基づき、実践的にはダーウィンの進化論を援用した、あまりにも素朴な論であるにも関わらず、一定の 成果を挙げたことに対し、言語の相対化を成し得たのは、アメリカという、過去の歴史の柵に束縛されない状況の中で、アメリカ原住民の言葉に出会ってしまっ たからでしょう。

上掲書の中では、『言語の脳科学』が異色です。少壮の学者さんらしく、熱意が先行している感は否めませんが、極めて実証科学的なアプローチ で、心理学から哲学から脳科学から、学際的な研究の必要性を述べていて、とても明晰な論証が素晴らしいです。拙輩は、昔から何故哲学系の学者が解剖学や医 学等、所謂理系の学問の知識を一顧だにしないのか、疑問に思っていて、本書のような研究が今まで無かったのが不思議なくらいです。脳科学が充分発達してき て、機は熟したという、現在はちょうどそんな時期なのでしょうか。

呼吸する民族音楽 : 小泉文夫, 学習研究社 小泉文夫著作選集 2
日本の音 - 世界のなかの日本音楽 : 小泉文夫, 平凡社ライブラリー
小泉文夫先生といえば、私的には何と言っても民族音楽への興味を開いてくれた人です。中学生の頃、FMでやっていた小泉先生の番組でガムラン やケチャ、アフリカの音楽を聴いていたのを思い出します。文章は多少解りにくいし、図版もないので今ひとつ理解できないところもありますが、ともかく小泉 先生の日本音楽に対する考え方、民族音楽への思いなどがひしひしと伝わってくる本です。また、来るべきフュージョンについての肯定的な態度など、先生の慧 眼が窺えて楽しく読めます。

哲学の小径 : 冨増章成(著)/佐藤竹右衛門(絵),講談社
2000年を40分で。もの凄く簡単に哲学史を解説しています。一応近代まで。詰まるところよく解らん、ということで、投げっぱなし。著者は 例の富増章成氏なので、やっぱり笑いながら読めます。しかし、これだけのことを軽ーくすっ飛ばしてしまえる、というのは凄い才能だよな。いやはや。

マリア様がみてる バラエティギフト : 紺野緒雪,集英社 コバルト文庫
この本は、雑誌コバルトに掲載した作品をまとめて、間に”バラエティギフト”というつなぎの章を挟み込んだ構成になっています。いつもの麗し い世界をどうぞ。

◇ 2004 Feb. 22 登録分


世界楽器入門 - 好きな音 嫌いな音 : 郡司 すみ, 朝日選書
音楽や楽器の定義から始まります。改めて言われてみると、楽器とそうでないものとの境界は、とても曖昧であることに気付きます。
一口に西洋音楽と言っても、我々が馴染んでいるのは17世紀以降の西ヨーロッパ音楽、即ち音楽が定量化された、いわゆる近代五線譜以降の音楽であり、非 ヨーロッパのみならず、ヨーロッパにさえ随分知らない音楽がある、などということもわかります。(下記の小泉さんの著作集と併せて読むとそのあたり更にわ かりやすくなると思います)
また、「メディアとしての楽器」の章では、楽器が音を出すこと以外に果たす機能(例えば権威であるとか)を分析していて興味深いものがあります。

学習研究社, 小泉文夫著作選集
1.人はなぜ歌をうたうか - 小泉文夫フィールドワーク
2.呼吸する民族音楽
3.民族音楽紀行 - エスキモーの歌
4.空想音楽大学
5.音のなかの文化

(2.は再掲です)

先に読んだ2.が面白かったので、全巻揃えて読んでみました。世界の音楽を実体験しつつ、日本音楽について語る(小泉さんは「語る」人であ ると巻末の解説にあります)姿勢が一貫していて、軽妙な文章、優しい語り口にもかかわらず、むしろ迫力があります。明治以来の西洋音楽一辺倒の音楽教育を なんとか変えようとする努力をされていたこと(ようやく学校でも邦楽器を教えることになりましたね。小泉さんがご存命ならどう思われたでしょうか)や、イ ンド留学中の話、中東でのフィールドワークの逸話、どれもこれもまさに実践、行動する人としての小泉さんの魅力に溢れています。

◇ 2004 Jun. 13 登録分

アフリカの音の世界 - 音楽学者のおもしろフィールドワーク : 塚田健一, 新書館
アフリカでのフィールドワーク体験記、というか随筆風の解説書、と行った趣の本。音楽そのものよりもむしろ音を作る人、支える人との関わりの なかでの発見とか考察が興味深い。しかし、初めてフィールドワークに行った地で聞いたコーラスが、西洋音楽そのもので衝撃だった、というエピソード、キリ スト教畏るべし、という感じですね。楽しく読める本です。

攻殻機動隊 : 士郎正宗, 講談社
攻殻機動隊2
攻殻機動隊1.5
まぁ、その、何というか、イノセンスのCF見てたら面白そうだったので、元ネタをということで。結構面白く読みました。兵器マニア、解説好 き、スケベ、ディテールに対する拘りとか、いわゆる同人オタクそのものですね(笑)(貶してる訳じゃなくて、こういうの結構好きなんです)

アップルシード (1) : 士郎正宗, 青心社
アップルシード (2)
アップルシード (3)
アップルシード (4)
アップルシード総集編- コミックガイア版
で、更に遡ってみました。こちらも面白く読みました。ところどころ意味不明ですが、マニアには受けるんでしょう、いろいろ「解釈」して語る余 地がある、ということで。

マリア様がみてる チャオ ソレッラ! : 紺野緒雪,集英社 コバルト文庫
イタリアへ修学旅行です。黙って読みましょう。

知ってるようで知らないものの数えかた
ものの数え方解説本、って最近何種類か出てるようですね。何を数えるにも1個、2個、では如何かと思いますが、きちんと覚えようとするとこれ がまた結構複雑。羊羹って、どう数えるかご存じですか?

ことわざハンドブック : 池田書店
これは、まぁタイトルそのまんまです。出張のおりに機中暇潰しのために買ったもの。こんなのばっかり読んでると、蘊蓄オヤジになって煙たがら れそうですが、たまに読む分には面白いですね。

養老孟司の<逆さメガネ> : 養老孟司,PHP新書
いわゆる常識とか社会の暗黙の合意とかをひっくり返してものを言う、いつものというスタイルで、教育論。団塊の世代に対する違和感の件はかな り納得。

単なる天の邪鬼やお笑い芸人のツッコミネタにならないのは流石と言うべきではあろう。最近では”ナントカの壁”と称するまがい物まででてる ようだ。単に真似してるだけだったら、それこそバカだろう。
では養老先生のものがこれほどまで称揚されるのは何故なのだろうか。実際に面白い、「目から鱗」であるのは措いておくとして、ひとつには、東大の解剖学教 室の教授、という権威と科学的色彩をまとっていたからではなかろうか、とも思う。勿論、本人はそんなことは思っていないだろうけど、世間の見方としてはど うなんでしょうね。

漢詩の名句・名吟 : 村上哲見, 講談社現代新書 1026
思い切り江守徹とか中村吉衛門の声が聞えてきそうですが。漢詩を読んでいると、何か静謐な気持になります。白文ではなかなか難しいのですが、 読み下し文のリズムが良いと、気持良いですね。
この本は、テーマ毎に著者が選んだ名作を紹介、解説したものです。ある程度漢詩に親しんでいないと、ちょっと戸惑うところがあるかも知れませんね。

桜の文学史 : 小川和佑, 文春新書
文学の中の桜の描かれ方、桜に対する感性がどのように変遷してきたか、など。例によって桜と死に対する感性についても。

夢の宮〜竜のみた夢〜 : 紺野緒雪, 集英社コバルト文庫
夢の宮〜諸刃の宝剣〜
夢の宮〜古恋鳥〜(上)
夢の宮〜古恋鳥〜(下)
夢の宮〜奇石の侍者〜
夢の宮〜薔薇の名の王〜
夢の宮〜亞心王物語〜(上)
夢の宮〜亞心王物語〜(下)
夢の宮〜十六夜薔薇の残香〜
夢の宮〜神が棲む処〜
夢の宮〜叶の果実〜
夢の宮〜薔薇いくさ〜
夢の宮〜海馬をわたる風〜
夢の宮〜王の帰還〜(上)
夢の宮〜王の帰還〜(下)
夢の宮〜月下友人〜(上)
夢の宮〜月下友人〜(下)
夢の宮〜蛛糸の王城〜
「マリみて」の著者のメジャーデビュー作。中華風王朝ノベル、と言えば良いのかな。最初の何作かはどうも硬いし、『十二国記』ほどの精緻さも 無いのだけれど、中盤以降、特に元気なお嬢ちゃんが活躍する話は如何にも活き活きとしていて楽しい。

世界の中心で愛を叫んだけもの : ハーラン・エリスン(著)/ 浅倉久志+伊藤典夫(訳),ハヤカワ文庫
例のベストセラーのタイトルのネタになった古典。1960年代SFであります。短編集ですが、どうも作品のレベルが一定していないような気が します。総じて暴力SF(随分なまとめ方だけど)だけど、60年代的空気感が今読むと濃厚ですね、やっぱり。

たったひとつの冴えたやりかた : ジェイムス・ティプトリー・ジュニア(著),浅倉久志(訳),ハヤカワ文庫
ペンネームからは判らないのですが、女性作家です(もう他界されてますけど)。こちらもSFですが、やはり表題作の元気なお嬢ちゃんが活躍す る話が良いです。”黄色い髪、ダンゴ鼻にソバカス、人の顔を穴のあくほど見つめる緑のひとみ、金持ちのはねっかえり娘、当年とって十五歳”が買ってもらっ たばかりの小型スペース・クーペに乗って、外宇宙を目指す(勿論親には内緒)、なんてわくわくしますね。ただ、終わり方はシビアですよ。その他、宇宙の流 れ者青年の話など。

◇ 2004 Nov. 21 登録分

■文化記号論 - ことばのコードと文化のコード - : 池上嘉彦、他(著),講談社学術文庫
(TBD)

セメイオチケ(1) : ジュリア・クリステヴァ(著)/原田邦夫(訳),せりか書房
セメイオチケ(2) : ジュリア・クリステヴァ(著)/中沢新一(訳),せりか書房
(TBD)

ソシュール : 加賀野井秀一,講談社選書メチエ
(TBD)

カイエ・ソバージュ : 中沢新一,講談社選書メチエ
(1)人類最古の哲学
(2)熊から王へ
(3)愛と経済のロゴス
(4)神の発明
(5)対称性人類学

おもかげの国 うつろいの国 : 松岡正剛,日本放送協会出版協会(NHK人間講座テキスト)
(TBD)

私のジャズ物語 ロング・イエロー・ロード : 秋吉敏子,日本放送協会出版協会(NHK人間講座テキスト)
(TBD)

The Official Politically Correct Dictionary And Handbook : Henry Beard & Christopher Cerf,Villard Bokks
(TBD)

マリア様がみてる プレミアムブック : 紺野緒雪,講談社コバルト文庫
(TBD)

悪魔に仕える牧師:リチャード・ドーキンス(著)/垂水 雄二(訳),早川書房
(TBD)

マリア様がみてる 特別でないただの一日 : 紺野緒雪,集英社 コバルト文庫
(TBD)

図解雑学 構造主義 : 小野功生,ナツメ社
(TBD)

メルロ=ポンティ 可逆性 :鷲田清一,講談社
(TBD)

平安京 音の宇宙 サウンドスケープヘの旅 : 中川真,平凡社ライブラリー
(TBD)

怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか : 黒川伊保子,新潮社
(TBD) 

 


◇ 2005  Apr. 12 登録/更新

哲学の歴史 : 新田義弘, 講談社現代文庫
(TBD)

デカルト哲学のすすめ : 小泉義之, 講談社現代文庫
(TBD)

はじめてのインド哲学 : 立川武蔵, 講談社現代文庫
(TBD)
レヴィ=ストロース 構造: 渡辺公三, 講談社
(TBD)
マリア様が見てる イン ライブラリー: 今野緒雪, 集英社コバルト文庫
(TBD)

クリプキ ことばは意味をもてるか : 飯田隆,NHK出版,シリーズ・哲学のエッセンス
(TBD)

サブカルチャー スタイルの意味するもの : D・ヘブディッジ(著)/山口淑子(訳), 未来社
(TBD)

精霊の王 : 中沢新一, 講談社
(TBD)

footprints  The Life and Work of Wayne Shorter : Michelle Mercer, Tarcher/Penguin
(TBD)
analog days The Inventi9on and Impact of The Moog Synthesizer : Trevor pinch / Frank Torocco, Harvard  University Press
(TBD)
マリア様が見てる 妹オーディション: 今野緒雪, 集英社コバルト文庫
(TBD)
サンタクロースの秘密 : クロード・レヴィ=ストロース/中沢新一, serica books
(TBD)
◇ 2005  Oct 18 登録/更新
脳と創造性 「この私」というクオリアへ : 茂木健 一郎,PHP研究所
脳と仮想 : 茂木健一郎, 新潮社
同じ川を対岸から眺めているような、と言えばあまりに不遜かつ我田引水だろうか。ともかくそのような印象を持った。かれこれ30年近く心身問 題についてぼちぼち考えているのだが、ようやく自分の感覚にマッチする本に巡り会えた、という感じである。両書とも、脳科学に基づく評論であり、あくまで 自然科学の基 盤に脚を据えて人間の創造性、私というもののあり方を述べているところが非常に清々しい。
さて、心脳問題、自分に馴染みの表現で言えば心身問題であるが、本書では哲学的には取りたてて新しいことを言っている訳ではない。著者が引く、「エラン・ ヴィタール」はベルグソンが著した言葉であるし(*1)、意識の志向性は現象学徒にはなじみの言葉だ。いずれも20世紀初頭に書かれたもの。誤解しても らっては困るが、著者がそのような前時代の哲学を引くことが問題なのではなく、哲学が100年もの間、この件については何も新しい答を出し得てていない、 ということにこそ驚くべきなのだ。
哲学はこの間、この種の問題を、「既に解決済み」としてか、または「間違った問い」として、何処かに置き去りにしてきてしまったのだ。かつての思潮、大き な物語の終焉などとリオタールの言葉を引くまでもないが、一方の主流であった、真理主義、イデア実在論に繋がるとみなされる思想傾向は、その対極である観 念論、 主知主義ともろともに、悉く語るべきではないことになってしまった感さえある。

世界は数学の言葉で出来て いる − ガリレオ・ガリレイ

科学は一般に、定量的に計測可能なものを相手にする。言いかえれば、定量的に把握できないものは相手にしない。つまり、精神、とか意識とか、 超越的実在などは、伝統的な自然科学の対象ではない。
デカルトの思想も、当時の自然科学の発展に対する、哲学からの答えであったわけだが、結果として自然科学は対象領域を画定し、余計なもの -   魂とか イデアとか - に煩わされることなく、定量的な操作が可能になった。
ガリレイは発見する天才で あると同時に隠す天才でもある − フッサール

しかしながら、一方で「隠されたもの」つまり科学がその対象としないものの領域について、別の体系として考えてしまうということにもなってし まった。悪しき二元論の元凶と言われる所以である。

しかるに、著者がクオリアという、一見定量的にはハンドリングが不能と思えるものを、脳科学の中で扱っているというのは、ある意味非常に冒険 的なことではないかと思う。しかも、あくまで脳の物理過程を前提とすることにはいささかのゆるぎもない、という明確な意図をもってする、という点に感銘を 覚える。この辺りのハンドリングを間違うと、怪しげなニューエイジ、一部の似非科学スピリチュアルに容易に結びついてしまう危うさを孕んでいるのだが。

現象学で原的直観ということろのもの、意識にありありとリアリティをもって現われるものをクオリアという語に置き換えて考えてみると、現象学 の構成理論にとても近い、あるいは並行しているように感じる。
脳という、言ってみれば独我論的実体から始めて、宇宙すらその対象としてしまう、著者の強靭な思考に敬服する。

ただし、心が脳から生まれる、という言い方には注意が必要であろう。脳という物理的実体が、心という精神的実体を生成する、ということではな いのは明確である。この場合の「生まれる」は、例えば分「子運動から熱が生まれる」、という場合の「生まれる」と同義と解しておかないと、また心身二元論 の罠に絡め取られてしまうであろう。

クオリアのありかたが、脳科学によってより明らかになった時、例えばメルロ=ポンティの言う両義的存在としての身体、はまた別の様相をもって 眺めることができるであろうし、哲学として語るべきこともまた変わるであろう。科学も、哲学も漸進的知識体系であるということを、ともすれば忘れられがち であるが、相補的なあり方として、共通の知識、認識をもって話せるようになれば良いのだが、と素朴にも考えてしまう。

(Oct.18, 2005)

◇ 2005  Oct 23 登録

マリア様が見てる 薔薇のミルフィーユ: 今野緒雪, 集英社コバルト文庫
(TBD)

うわさの神仏 日本闇世界めぐり : 加門 七海, 集英社文庫
(TBD)

うわさの神仏 其の二 あやし紀行 : 加門 七海, 集英社文庫
(TBD)

30ポイントで読み解く「禅の思想」 : 長尾 剛, PHP文庫
(TBD)

心理学化する社会 なぜトラウマと癒しが求められるのか : 斎藤 環, PHP研究所
(TBD)
◇ 2006 Feb 11 登録
■アースダイバー : 中沢新一,講談社
(TBD)

マリア様が見てる 未来の白地図 : 今野緒雪, 集英社コバルト文庫
(TBD)

■マリア様がみて候 いばらの城 : ヘッド
■紅き唇 : ヘッド
(TBD)

■MIND HACKS : Tom Stafford, Matt Webb(著)/夏目大(訳)
(TBD)

■メルロ=ポンティ入門 : 船木亨, ちくま新書
(TBD)

■メルロ=ポンティ 哲学者は詩人でありうるか? : 熊野純彦, シリーズ・哲学のエッセンス NHK出版
(TBD)

■プラグマティズムの思想 : 魚津郁夫, ちくま学術文庫
(TBD)

■ハザール事典 (男性版/女性版) : ミロラド・パヴィチ/工藤幸雄(訳)
(TBD)
■ゲーデルの哲学 不完全性定理と神の存在論: 高橋昌一郎, 講談社現代新書 1466
(TBD)
◇ 2006 Apr 9 登録

■君はレオナルド・ダ・ヴィンチを知っているか: 布施英利, ちくまプリマー新書6
ダ・ヴィンチ・コードを読んだ勢いで。平易な解説で簡単に読める。ダ・ヴィンンチ全仕事概略というところか

 
■ダ・ヴィンチ・コード(上)(中)(下): ダン・ブラウン/越前敏弥(訳), 角川文庫
言わずと知れたベストセラー。文庫になったので読んでみた。
この種の話題で特に新しい発見はないものの、ルーブルに行くのが少し楽しみになってきた。 あ、別に近々行くわけではありませんが。

■京都百話: 奈良本辰也(編), 角川文庫
文字どおり、京都のあちこちの話。観光案内としては少々硬く、評論としては物足りず、といった感あり。視点はところどころで多少面白い、か も。

■レックス・ムンディ: 荒俣宏, 集英社文庫
こちらはダ・ヴィンチ・コードと同じ<聖杯伝説話だが、荒俣さんらしく風水にレイラインの方角から。小説としては、〜コードよりもこ ちらの方が好きだな。

◇ 2006 Oct 2 登録
■ゲド戦記 1 影との戦い
■ゲド戦記 2 こわれた腕環
■ゲド戦記 3 さいはての島へ

■方丈記

■マリア様がみてる―くもりガラスの向こう側
■マリア様がみてる (仮面のアクトレス)

■京の音―音で体感、京の風景
■日本音楽の再発見
■JOE ZAWINUL on the creative process―ウェザー・リポートの真実

■恋の技法
■バートン版 カーマ・スートラ

■謎の哲学者ピュタゴラス

■神話と意味
■グノーシス―古代キリスト教の“異端思想”

■知の教科書 批評理論
■批評理論入門―『フランケンシュタイン』解剖講義

◇ 2007 Jan 8 登録

■マリア様がみてる―大きな扉 小さな鍵
■言葉と物―人文科学の考古学
■ウィトゲンシュタイン―言語の限界
■双子座ピアニストは二重人格?―音をつづり、言葉を奏でる
■暗闇のスキャナー (1980年) [古書] by 飯田 隆昭
■暗闇のスキャナー by 山形 浩生; フィリップ・K・ディック
■音楽のエゾテリスム―フランス「1750‐1950」秘教的音楽の系譜
■大人になると、なぜ1年が短くなるのか?
■西洋音楽史―「クラシック」の黄昏
■おもしろく学ぶ楽典―音楽指導ハンドブック
■音楽の基礎
■マリア様がみてる (クリスクロス)
■星界の音楽
■フーコー シリーズ哲学のエッセンス
■デリダ  シリーズ哲学のエッセンス
 
■マルドゥック・スクランブル(The First Compression - 圧縮 / The Scond Combustion - 燃焼 / The Third Exhaust - 排気): 冲方丁, 早川書房 ハヤカワ文庫JA
ハイレベルのエンターテイメント。アイディアに新しいものは無いが。例えば事故で死んだ人間を改造して戦士に仕立てるのはサイボーグ009 (スクランブル-09などという呼称からしてそれっぽい)。
知能ネズミ ウフコックは楽俊だし、そのウフコックが変形する大口径の拳銃なんて、映画マスクだ。人間−機会融合とそのインタフェースによる電 脳ハックは(流石にハックという単語は使わずに”スナーク”と言っているが)は攻殻機動隊。で、主要な登場人物が(敵のシェルやボイル ド、主人公ルーン=バロットからウフコック、カジノのディーラー、ベル・ウィングまで)皆して「自分探し」状態である。更に念の入ったこにと主人にバロッ トは15歳の娼婦である。昨今の社会病理そのまんまだ。
にもかかわらず、である。
SFとしては一番つまらないであろう、長大なカジノのシーンから目が離せなくなるのだ。ひとえに筆者の力量の凄さ、描写の巧みさによるものだ ろう。
◇ 2007 Aug 10 登録

■はじめての<超ひも理論> − 宇宙・力・時間の謎を解く

■時間はどこで生まれるのか

■The Twelve Kingdoms 1

■魔術と錬金術

■フーコー − 知と権力

■マリア様がみてる − あなたを探しに

■論理哲学論考
■現代思想の遭難者たち(増補版)

■知の教科書 フロイト=ラカン
■ラカンの精神分析
■精神分析学を学ぶ人のために
■生き延びるためのラカン
■ラカン

■音のなんでも小事典 − 脳が音を聴くしくみから超音波顕微鏡まで (ブルーバックス)
■音楽と言語 (講談社学術文庫 (1108))
■ゼロ・ビートの再発見 − 「平均律」への疑問と「古典音律」をめぐって
■ゼロ・ビートの再発見 技法編 −古典音律の解釈と実践のテクニック
■音のしくみ (図解雑学)
■響きの考古学 藤枝守
■新版 楽器の音響学

◇ 2007 Oct. 6 登録

■哲学の謎 : 野矢茂樹
■これが現象学だ : 谷徹
■認識と文化 − 色と模様の民族誌
■方法序説 : ルネ・デカルト,  岩波文庫
■マリア様がみてる  フレームオブマインド (コバルト文庫 こ 7-54)
省察 : ルネ・デカルト (ちくま学芸文庫)
マリア様がみてる 薔薇の花かんむり (コバルト文庫 こ-7-55)
■形而上学〈上/下〉 :‘アリストテレス  (岩波文庫)
◇ 2008 Frb. 23 登録

■アウグスティヌス
■レヴィナス
■ベルクソン

■「複雑系」とは何か
■ソシュールと言語学

■音律と音階の科学―ドレミ…はどのようにして生まれたか (ブルーバックス 1567)
■和声の歴史 (文庫クセジュ 448)

■マリア様がみてるキラキラまわる (コバルト文庫 こ 7-56)
■夜は短し歩けよ乙女

◇ 2008 Mar. 16 登録
■シビュラの目―ディック作品集 (ハヤカワ文庫SF)
■最後から二番目の真実 (創元SF文庫 テ 1-18)
■まだ人間じゃない (ハヤカワ文庫 SF テ 1-19 ディック傑作集)
■ゴールデン・マン (ハヤカワ文庫 SF テ 1-18 ディック傑作集)
■心と脳の関係(図解雑学)

◇ 2008 Dec. 8 登録

■悩む力 (集英社新書 444C)

■詳解ラテン文法 樋口 勝彦 (著), 藤井 昇 (著)
■はじめてのラテン語 (講談社現代新書) 大西 英文 (著)

■京都各駅停車112駅―電車で楽しむぶらり旅 (Leaf MOOK)
■キョースマ ! (京都に住まえば・・・) 2008年 08月号 [雑誌]
■京都・社寺門前名物めぐり (らくたび文庫 No. 11)
■京の仏像NAVI (らくたび文庫 No. 14)
■京都・三条通ウォーク (らくたび文庫 No.27)
■旅する京都お泊まり案内 (らくたび文庫 No. 25)
■京の建築NAVI 神社・寺院編 (らくたび文庫 No. 28)
■京の庭NAVI 枯山水庭園編 (らくたび文庫 No. 2)
■京の庭NAVI 池泉庭園編 (らくたび文庫 No. 15)
■るるぶ新楽楽 京都 (楽楽 関西 3) (楽楽 関西 3)
■京都人が書いた「京都」の本 (PHP文庫 き 21-1)
■京都街中ど真ん中―地元発行新観光ガイド決定版 (Leaf MOOK)
■中学英語で京都が紹介できる (YELL books)
■日本文化を英語で紹介する事典
■京都を英語で言ってみる
■英語で紹介する京都

■岩波講座哲学 9 技術の哲学
■岩波講座哲学 4 情報の哲学
■岩波講座哲学 2 形而上学の現在
■岩波講座哲学 13 宗教/超越の哲学
■岩波講座哲学 1  いま<哲学>することへ
■岩波講座哲学 5  心/脳の哲学

■絵巻眩暈誌BEAST of EAST
■マリア様がみてるマーガレットにリボン 今野緒雪 集英社 コバルト文庫  こ 7-57
■マイノリティ・リポート―ディック作品集
■この漢字が読めますか?
■漢字と日本人

◇ 2009 Feb. 22 登録

■ユリイカ 12月増刊号(2008 vol.40-13) 総特集 初音ミク ネットに舞い降りた天使
■日本語の作法 外山滋比古 日経BP社
■生物と無生物のあいだ 福岡伸一 講談社現代新書 1891
■神社の系譜 なせそこにあるのか 宮元健次 光文社新書 251

◇ 2009 Mar. 5 登録

■科学の世界と心の哲学 小林道夫 中公新書 1986
■暴走する脳科学 河野哲也 光文社新書 377
■マリア様がみてる 卒業前小景 今野緒雪 集英社 コバルト文庫  こ 7-59
■マリア様がみてる ハロー グッバイ 今野緒雪 集英社 コバルト文庫  こ 7-60
■お釈迦様もみてる 紅か白か 今野緒雪 集英社 コバルト文庫  こ 7-58
◇ 2009 May. 18 登録
■世界の言語入門 黒田龍之助 講談社現代新書 1959
■天使と悪魔(上、中、下) ダン・ブラウン 角川文庫
■詳解ラテン文法(新装版) 樋口勝彦、藤井昇 研究社
◇ 2009 Sep. 24 登録
■宵山万華鏡 森見登美彦 集英社
■ゼロ年代の創造力 宇野常寛 早川書房
■<創造>のレッスン 鷲田清一 NTT出版
■岩波講座哲学 3 言語/思考の哲学
■岩波講座哲学 7 芸術/創造性の哲学



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