北海道の方言(その2)

2002年1月27日UP

 その1に続いて、北海道の方言その2を書いてみました。このようなことを書いていると、北海道に住んでいた子供の頃のいろんな情景まで浮かんでくるから不思議です。


はんかくさい

 ハンカチがくさいわけではない。ワープロの半角の「さい」とも関係がない。

 思慮が足りないことを言う。わかりやすく言うと「ばからしい」とか「あほみたい」というような意味に近いが、「脳味噌が足りないのではないか」というようなニュアンスがあからさまに込められている。

 ただし、この言葉を使ったからといって、必ずしも相手を罵ったり嫌ったりしているとは限らない。軽いノリで使われることも多いので、言われても、そんなにめげる必要はない。

 

あっぺくさい

 はんかくさいと並んで「くさい」シリーズの双璧をなす言葉である。これをもって北海道人は嗅覚が敏感なのではないかとの説が登場しそうであるが、そのようなことはまだ聞いたことがない。

 この言葉の意味は、「とるに足らない勝負の相手」というようなもので、ベテランが格下の新人を評価するときなどに使われる。決して、何かがにおうわけではないのである。

 

げっぱ

 順番が最後のこと。つまり難しく言うと「最下位」、やさしく言うと「ビリ」のことである。「ビリ」よりも人をおとしめるニュアンスが感じられ、それを最上級で強調したのが「げれっぱ」である。私は足が速くなかったので、小学校の運動会ではなんとしても「げれっぱ」と言われないよう、後ろから2番目を目標にして、死に物狂いで走ったことが思い出される。

 「げれっぱ」の省略形として「げれ」というのもあったが、これは子供心にも品がない言葉のように感じられた。今になって考えてみれば、どちらも同じようなものなのだが・・・。

 なお、東京育ちの子供から、げっぷをする人という意味の「ゲッパー」という言葉を教えてもらったが、これとは何の関係も見いだせなかったことは言うまでもない。

 

かっちゃく

 ひっかくこと。子供のケンカに縁の深い言葉である。ネコにかっちゃかれたことがある人も多いはず。

 身体のかゆいところを掻くときにも使うが、かゆいところを「かっちゃく」と、皮膚が傷つき、血がにじんでしまうことも覚悟しなければならない。「かっちゃく」場合は、やさしく掻くようなことは許されず、力強く掻かなければならないからである。

 それから、記憶がかなりあいまいになっているのだが、七夕かそれともお盆だったか?、子供達が近所の家を回ってロウソクをもらうようなことがあって、そこでの決まり文句は、「ロウソク出さないと かっちゃくぞ!」だったように思う。

 

ばくる

 バクのように夢を食べるという意味ではない。決して漠とした言葉ではなく、「物を交換する」というはっきりとした意味を持っている。

 物を盗む「ぱくる」とも違うので、「ばくってほしい」と言われたときは、決して一方的に盗んだりしてはいけない。相手からもらうかわりに、あなたも何かをあげなければならないのである。

 

たくらんけ

 「たくあん食え」という意味ではないので、こう言われたときに食べていてはいけない。あなたは叱られているのだから。

 「この たくらんけ!」は、「この 大馬鹿者!」というような意味なのである。

 

かしがる

 傾くこと。傾いている状態は、「かしがっている」である。かしがっている人に対して「貸しがある」人も多いことと思う。

 西域のオアシス都市で「カシュガル」というところがある。そこではあらゆる建物がかしがっているのかどうか、その地名を聞くたびに気になってしょうがない。知っている人は、是非教えてほしい。

 

じょっぴん

 鍵のこと。鍵をかけることを「じょっぴんかる」、鍵を開けることを「じょっぴんはずす」と言う。北海道の田舎では、家族全員が外出して家に誰もいなくなるときでも、じょっぴんからなかった。最近は違っていると思うが・・・。

 

はく

 靴や靴下をはくだけではなく、手袋も「はく」のである。どうして足に手袋をはかなければならないのかと心配する必要はない。手に手袋をはくのである。子供が雪遊びをしようとして外に出るときは、親に「手袋 はいたか〜?」と言われてしまうのである。

 標準語では「手袋をする」とか「手袋をはめる」とか言うが、実は、私にはまだこの言い方がなじめない。「する」や「はめる」は、もともと衣類を身につけるときに使われる言葉ではないけれど、ほかにぴったりの言葉がないからしょうがないので手袋にも使うことにして、それで十分だと思っているような、手袋の役割や存在感を軽視した言葉のように感じてしまう。「タバコする」と同じような印象を受けると言っても良い。

 北海道の冬は手袋が必須であるから、手袋を大事な「衣類」と考えて、衣類を身につける言葉(着る、かぶる、羽織る、はく)の中から「はく」を選んだのではないかと推測される。そのときに手が下半身のように扱われることまで気にしていたかどうかは、私にはわからない。そんな小さなことは気にしないのが北海道なのかもしれない。

 

ちょべっと

  「少し」とか「わずか」という意味。ほんの少ししか残っていないものを取り合って兄弟喧嘩になることはよくあることだ。特にそれが、ほんの「ちょべっと」のシャーベットだったりしたら。

 


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