G.露出について

 

G−1 レンズの絞りとシャッタースピードについて

 写真は、フィルムに届く光の量(露出)がちょうど良いときに、きれいに撮れます。光の量が多いと明るい写真になり、光の量が少ないと暗い写真になります。天気の良いとき、悪いときでレンズに入ってくる光の量が違いますし、光が当たっている部分を撮るときと陰の部分を撮るときとでもレンズに入ってくる光の量が違います。きれいに撮るためには、これをちょうど良い量に調整しなければなりません。また、フィルムの感度(ISO)によって、フィルムに届くべきちょうど良い光の量が違います。

 この光の量を調整するのが露出の調整であり、レンズの絞りと、シャッタースピードで調整します。かなり前は、露出の調整に苦労していたようですが、今のカメラは、カメラが自動的に被写体の明るさを測定して、レンズの絞りやシャッタースピードを調整してくれるので、露出のことをあまり考えずに写真を撮ることができます。小型のコンパクトカメラでもそうですし、一眼レフカメラでも、露出を自動(オートとも言います。)にセットした場合は同じことです。

 

 でも、花の写真を撮ろうとすると、露出の基本的なことを知っておいた方がいいのです。初めて聞く人にとっては少し難しいかもしれませんが、ポイントをまとめておきます。

 まず、レンズの絞りとシャッタースピードについてです。

 

   1.フィルムに届く光の量は、レンズの絞りとシャッタースピードによって決まります。

 レンズの絞りを開ければフィルムに届く光の量が多くなり、絞りを小さくすれば光の届く量が少なくなります。また、シャッタースピードを速くするとフィルムに届く光の量が少なくなり、シャッタースピードを遅くすれば届く光の量が多くなります。このため、同じ被写体を同じ明るさで撮るときでも、絞りを小さくすると、シャッタースピードを遅くしなければなりません。逆に、絞りを開けると、シャッタースピードを速くしなければならないのです。

 このように、レンズの絞りとシャッタースピードは、露出を決める二大要素であり、相互に関連しています。

 

   2.レンズの絞りを変えると、写り方が変わります。

 絞りを開けると、ピントの合う部分が狭くなります。つまり、ピントを合わせた被写体よりも遠くにある背景は、はっきり写らずに、ボケて写るので、被写体を浮かび上がらせることができます。逆に絞って写すと、ピントの合う部分が広くなり、近くから遠くまで全体的にピントが合うようになります。この効果をうまく使うと、同じ構図でも雰囲気の違う写真を撮ることができます。ただし、レンズの焦点距離や、レンズと被写体の距離によって、この効果が大きく異なります。上に書いた「ちょっとしたコツ」も読んで下さい。

絞りを開けて、背景をぼかした例

絞りを小さくして、全体的にピントを合わせた例

 (参考)絞りの表し方

  • レンズの絞りを最も開けたときの絞りはF値で表されると上で書きました。このF値は、どれだけ絞りを開けることができるかというレンズの性能を表す数字です。これに対し、実際に写すときの絞りを普通は「f値」で表します。
  • フィルムに届く光の量は、撮るときの絞り(f値)の二乗に反比例します。例えば、絞り8で撮るときは、絞り4で撮るときの4分の1の光しかフィルムに届かないことになります(8は4の2倍であり、2の二乗は「4」。4の逆数が4分の1)。
  • 絞り(f値)が光の量に比例するか、または反比例するのであれば、もう少しわかりやすいのですが、残念ながらそうではありません。慣れると問題ないのですが、最初はとっつきにくいですね。最初に絞りの表し方を考えた人が、もう少しわかりやすさを考えてほしかったと思います。

 

   3.シャッタースピードによっても写り方が変わります。

 動くものを撮るときに、シャッタースピードが速いと止まって写りますが、シャッタースピードが遅いと流れるように写ります。

 それから、シャッタースピードが遅いほど、ぶれやすくなります。シャッタースピードが遅いときは三脚にしっかり固定して写さなくてはなりません。(同じシャッタースピードでも、望遠系のレンズほど、ぶれやすくなります。)

(参考)シャッタースピードの表し方

  •  シャッタースピードは、1/125秒とか、1/250秒というように、シャッターが開いている時間の長さを秒単位で表します。シャッターが開いている時間の長さですので、厳密にはスピード(速度)ではありません。
  • フィルムに届く光の量は、このように表されたシャッタースピードに比例します。例えば、1/125秒の場合は、1/250秒の場合の2倍の光がフィルムに届くことになります。このとき、1/250秒は1/125秒よりも2倍速いとも言います。
  • シャッタースピードと呼ぶよりは、本来は「シャッター開き時間」とでも呼んだ方が正しいのだということは、実はこの文章を書いていて気づいたことです。でも、絞りのf値よりはわかりやすいでしょうか?

 

 4.上に書いたことは文章ではわかりにくいので、表にまとめてみました。

絞りとシャッタースピード

フィルムに届く光の量

写り方

絞りを開ける(f値を小さくする)

多くなる

ピントの合う範囲が狭く、背景がぼけやすい

絞りを小さくする(f値を大きくする)

少なくなる

ピントの合う範囲が広く、近くから遠くまで全体的にピントが合いやすい

シャッタースピードを速くする(シャッターが開いている時間を短くする)

少なくなる

動いている物が止まって写る

シャッタースピードを遅くする(シャッターが開いている時間を長くする)

多くなる

動いている物が流れているように写る。

(カメラのブレに注意が必要。)

 

 それから、絞りとシャッタースピードの組み合わせの例を下に示しますが、AもBもCも、同じ明るさに写ります。ただし、ピントの合う範囲はAが最も狭く、背景がぼけやすくなります。Cは、手前から遠くの方までの広い範囲でピントが合い、AやBよりも背景がぼけません。

絞り

シャッタースピード

(f値の二乗の逆数)×(シャッタースピード

f4

1/500秒

1/(4*4) *(1/500) = 1/8000

f8

1/125秒

1/(8*8) *(1/125) = 1/8000

f16

1/30秒

1/(16*16) * (1/30) = 1/7680

(ちょうど8000にはなっていませんが、気にしないで下さい。)
注意:

 この表は、絞りとシャッタースピードの関係をわかりやすく説明するための例を示すものです。当然ながら、(f値の二乗の逆数)×(シャッタースピード) として適当な値は、フィルムの感度によって異なりますし、写す人の意志(明るく写したいか、暗く写したいか)によっても異なります。

 いろいろと難しいことを書いてますが、次のG−2に書いているように、実際にはカメラが自動的に調節してくれるので、いちいち計算する必要はありません。

 

5.フィルムの感度(ISO)との関係

 適切な絞りとシャッタースピードの組み合わせは、フィルムの感度によっても異なります。感度(ISO)が高いフィルムほど、少ない光の量で良く、逆に感度(ISO)が小さなフィルムは、たくさんの光を必要とします。

 例えば、ISOが50のフィルムは、ISOが100のフィルムに比べて、2倍の光が必要です。ですから、絞りが同じであれば、ISO50のフィルムで撮るときは、ISO100のフィルムのときに比べて、シャッタースピードを2倍遅くしなければなりません。というわけで、ISOが小さなフィルムを使うときはブレやすくなるので、注意が必要です。

 

G−2 露出の決め方

 普通の一眼レフカメラでは、レンズから入ってくる光の量をカメラが測ることができ、そのときに使っているフィルムの感度に合わせて、適切な絞りとシャッタースピードを自動的に調節してくれます。 

 しかし、上に書いたように絞りやシャッタースピードによって写り方が変わるので、使う人が決めることもできるようになっています。

 普通は、次のような露出の決め方があり、使う人が自由に選ぶようになっています。

自動モード(プログラムオート)

カメラが絞りとシャッタースピードの両方を自動的に決める。(普通のコンパクトカメラと同じ。)

絞り優先モード

使う人が絞りを決め、その絞りに対応して、カメラが適切なシャッタースピードを自動的に決める。

シャッタースピード優先モード

使う人がシャッタースピードを決め、そのシャッタースピードに対応して、カメラが適切な絞りを自動的に決める。

マニュアルモード

使う人が絞りとシャッタースピードの両方を決める。

 自動モードは、カメラまかせで良いので楽です。私も、スナップ写真のときは自動モードを使うことが多いです。

 花の写真のときは、背景のぼけ方を絞りで調整しながら撮るので、絞り優先モードを使っています。

 

G−3 露出補正について

 カメラが自動的に決める露出は、万全ではありません。簡単に言うと、カメラは、明るいものも、暗いものも、平均的な明るさに写そうとするのです。つまり、真っ白な被写体を画面一杯に撮ると灰色に写り、真っ黒な被写体を画面一杯に撮るときも灰色に写ります。このため、カメラを使う人が調整する必要があるのです。

 例えば、被写体が白っぽくて明るい場合や背景が明るいときは、カメラがその明るさにだまされて被写体を実際よりも暗く写してしまうので、明るく写るようにするための露出の補正(プラスの補正)を行います。被写体や背景が暗い場合はその逆で、マイナスの補正が必要になります。

 これは、カメラがちょうどよいと判断した露出に対し、「もっと明るく写しなさい」とか、「もっと暗く写しなさい」とカメラに命令しているようなものです。どの程度明るく又は暗くするのかも命令します。

 私の場合は、念のために、同じ構図で、露出を補正しながら2〜3枚撮ることが多いです。このことを「段階露出」と呼びます。段階露出を自動的に行うため、1回シャッターを押すと自動的に露出を変えて3枚撮ることができるカメラもあります。(このとき、絞り優先モードの場合は、絞りは一定ですが、シャッタースピードが自動的に変化しています。プラスの補正ではシャッタースピードが遅くなり、マイナスの補正ではシャッタースピードが速くなっています。)

 ネガフィルムの場合は、明るさをプリントで調整できますので、このことはあまり気にしなくても結構です。しかし、リバーサルフィルムの場合は、ちょうど良い露出で撮らなければならないので、カメラが自動的に設定した露出を、写す人が微妙に補正する必要がでてくるのです。

 

 (参考)露出補正の表し方

  • カメラが自動的に決めた露出を基準として、フィルムに届く光の量を2倍にするときは+1、さらにその2倍(結果として4倍)にするときは+2、またさらに2倍(結果として8倍)にするときは+3です。
  • 逆に、光の量を半分にするときは−1、そのまた半分にするときは−2というふうになります。
  • 実際にはもっと細かな調整が必要なため、1/2又は1/3きざみで調整します。1/2きざみか、1/3きざみかは、カメラの種類によって異なります。私が持っているカメラは1/2きざみですが、それで十分のように思います。

 

 参考として、露出補正の例をいくつか示します。

写真の例

露出補正量

説明

+1.5

 桜の花が白くて明るいうえに、背景の花畑に陽が当たってさらに明るい。

 カメラは平均的な明るさに露出を調整しようとするので、そのままでは実際よりも暗く写ってしまう。そこで、プラス側に大きく補正。

+1

 背景の紅葉が逆光になっていてとても明るい。

 その背景を明るく撮ろうとしてプラス側に補正。この場合、背景の方がメインなので、手前の葉は多少暗くなってもかまわない。

−1.5

 被写体の大部分をしめる木の幹が黒くて暗い。

 カメラは平均的な明るさに露出を調整しようとするので、そのままでは実際よりも明るく写ってしまう。そこで、マイナス側に補正。

−0.5

 ポピーの明るさに比べて、背景が暗い。

 そのままでは、背景の暗さに影響されて明るく写りすぎるので、マイナス側に補正。

−0.5

 光っているトンボの羽を強調しようとして、マイナスの補正で背景を暗くしたもの。

 写っているトンボが小さいので、リンク先の大きな写真を見てもらった方がわかりやすいと思います。