『こんにちわ』撲滅委員会

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はじめに

言葉は変わる。いずれ「こんにちわ」が「こんにちは」よりも優勢になり、常識になる時代も来るかもしれない。しかしそんな中、あえて「こんにちは」を死守したいと考える団体が、今あってもいいのではないか。

「正しい日本語」とまで話を広げるつもりはない。当団体は「『こんにちわ』撲滅委員会」で「正しい日本語推奨委員会」ではないからだ。このサイトは「2000年代初頭」の「日本語の挨拶『こんにちは』」にこだわるという趣旨のサイトだということをまず言っておきたい。

例えば英語では Hello 、スペイン語では Holaと書く。もし日本人が、「『ハロー』と発音するから Hallo でいいじゃない」、「『オラ』だからそのまま Ola と書いても間違いじゃない」「そんなのどうだっていい」「言葉は変わるんだから」……などと言ったら、その言語を母語とする外国人は「でもそれは間違っている」と返す人が大半だろう。

母語なのに Hallo、 Ola と書いている英語圏人、スペイン語圏人をあなたはどう思うのか? 日本人なのに挨拶の言葉一つまともに書けない人をどう思うのか? また外国人に指摘されたときにどう弁明するのか?

 子供に国際化だ、英語教育だという前に、まずは自分の国の言葉で挨拶ができる人間を育てるべきなのではないだろうか。

文法的なアプローチ

日本で一番普及している辞書「広辞苑」にはこうある

こんにち‐は【今日は】
(「今日は…」と言う挨拶語の下略) 昼間の訪問または対面の時に言う挨拶語。

「こんにちは」は「今日は、よいお天気ですね」の後半部が省略された形だとされ、「今日は」は「今日(名詞)」+「は(助詞)」であるため「は」表記が正しいと言える。そもそも助詞には「わ」はないからである。「今日はどちらへ?」という挨拶も元々は疑問文であるが、相手の答えを要求しない挨拶文である。「へ」を「え」と発音するからといって「今日はどちらえ?」にはかなりの違和感を覚える。

これには反論もあろう。挨拶語は感動詞とも考えられるからだ。例えば「はじめまして」は感動詞である。これを応用すると、「こんにちわ」も感動詞であり、一語だと考えて「こんにちわ」表記が正しいとする説もある。しかし仮に感動詞だとしても、「今日は(以下略)」という成り立ちを尊重するならば、「こんにちは」(感動詞)とするべきである。以上の基礎国語文法は、小学校段階の国語で習っているはずである。

のび太少年の失敗

皆さんの中には幼い頃、「こんにちわ」と書いて小学校の作文の時間で直された経験がある方もいらっしゃるだろう。上で述べたように「こんにちわ」と書くのは小学生レベルの勉強もろくにしなかったことを相手に伝えてしまうかもしれない。相手も「こんにちわ」派の人である場合はいいが、相手によっては「大の大人が『こんにちわ』などと書いて恥ずかしくはないのだろうか?」と思う可能性があるのである。

昔読んだ藤子不二雄の「ドラえもん」にはのび太少年が「今日わ」と挨拶して、先生に「今日は」と訂正されるシーンがあった。「こんにちわ」などと書いていると、のび太少年と同じ恥をかいてしまうかもしれない。

タイプミス?

「こんにちわ」と書く人は、たまたまキーボードを打ち間違えただけなのだろうか? この答えはノーである。

キーボードで「わ」とローマ字で打つ場合は「w+a」と打ち、「は」と打つ場合は「h+a」と打つ。wとhは位置が離れている上に、正しいタッチタイピングで打つ場合は「h」は右手で「w」は左手で打つためたまたま間違えたということは起こり得ない。私もよく「以外に(「意外に」の間違い)この本は面白かった」などとやってしまうことがあるが、この手の誤字とは根本的に違うのである。

ちなみに私の使っているATOKの辞書では「こんにちわ」と打って変換すると「紺に痴話」と出てくる。ATOKで基本の挨拶が間違って変換されるなど考えられないため、このことからも「こんにちは」が正しいと言える。

【注】読者のAlumiさんから教えて頂いたのだが、「点字」の表記では、「て に を は」の「は」は、「わ」と表記するのだそうだ。つまり点字では、「私は」は「わたしわ」となるため、「こんにちは」は「こんにちわ」となるのだとか。当サイトでは、点字の表記を間違っているとするものではなく、別の表記の仕方だと考えてる。ちなみにAlumiさんは、メールやネット上の表記では「こんにちは」を使っていらっしゃるそうだ。勉強になる。(『こんにちわ』撲滅委員会会長)

意図的なものか?

ではわざと書いているのか? 私自身、文を書くときにわざわざ表記を変えて書くことはある。例えば「ハズカシー(恥ずかしい)」「ヲタク(おたく)」「をいをい、そうぢゃないよ(おいおい、そうじゃないよ)」など。

正式な文章で書くことはないが、軽いコラムや友人に向けて書くことはある。これは正しく書いたときと比べて、ある種の意味や雰囲気を強調できるからである。「ハズカシー」と「恥ずかしい」では文から受ける印象がかなり違うのでそれをわざとねらっているのである。

このようにわざわざ正しくない表記をする作家もいる。一時期の椎名誠氏、嵐山光三郎氏、南伸坊氏らが使っていた形式で「昭和軽薄体」と呼ばれた文体である。わざわざ「そうなのでR」(=そうなのである)「そーゆーふーに」(=そういうふうに)などと書いていたのだ。これは軽さや照れ、面白さなどを表現するために使われた文体であるが、「こんにちわ」はこのようにわざと書いた表現方法なのであろうか?

しかしこのような文体とは「こんにちわ」を分けて考えねばなるまい。なぜなら「こんにちわ」は、その後ろに隠れた、どうしても表現したい「何か」が薄いからである。せいぜいが「『こんにちわ』と書く方がイマドキでカワイイ」ぐらいであろうか。全体的に、「こんにちわ」と書く人には若い人が多いという。そのため「若さ」を表現しているとも言える。

「こんにちわ」派の人は初対面の人に宛てたメールやや正式な文章で「こんにちわ」と書くことは少ないと言う。もしはっきりとした主張があるならば、堂々と正式文書にも「こんにちわ」と書いてもいいはずだ。しかしほとんどの人は使い分けている。「言葉は変わる」と言っても、まだ「こんにちわ」はスタンダードではないのだ。

「こんにちわ」は損

私事になるが、私は以前趣味の読書(ミステリ)に関するメールフレンドの募集をしたことがある。女性は誰でもそうだと思うが、3日ほどで200通を超えるお返事をいただいた。もちろん全員とメール交換することはできないのでお返事をする方と、お返事できない方と分けなければならない。私が最終段階で絞る判断材料にしたのは「こんにちは」と「こんにちわ」表記であった。

毎回毎回送られてくるメールが「こんにちわ」だった場合、こちらから指摘するのも角が立つし、気になってしまって返事を出すのを躊躇してしまうのだ。私の女性の友人に聞いてみたところ、「こんにちわ」と書いてくる男性には返事を書かないという人が8人中5人いた。男性も女性からの「こんにちわ」表記のメールは首をかしげてしまうという方もきっといることだろう。

「こんにちわ」派の人は相手が「こんにちは」と書いてもあまり気にしない人が多いのかもしれないが「こんにちは」派の人間からすると「こんにちわ」はとても違和感があるのだ。

どんなに素敵な人だろうと、違和感を抱きながらメール交換をするぐらいなら、「こんにちは」派の人と心おきなくメール交換を楽しむ方がいいのである。これはまあ、たくさんメールが来る側にいるからかもしれないが(男性は返事そのものがほとんど来ないのでそんなことに構っていられないだろう)。

私のもとにこのようなメールがきたことがある。

subject:こんにちわ!  本文:はじめまして。こんにちわ。ボクはK談社に勤めている編集者です。(以下略)

ウソである。この不況時代に「こんにちわ」などと書く者を、言葉のプロである編集者として雇っておくような出版社などあるはずがない。もし本当なら私は今後K談社の本を手に取ることを躊躇するだろう。

たかが挨拶といえども、「こんにちわ」で判断されてしまうのは非常に損だと言える。どうしても「こんにちわ」と書きたければ、うち解けて親しくなってから「こんにちわ」と書けば良い。せめて初めてのメールぐらい「こんにちは」と書いてみてもいいのではないだろうか。

掲示板の挨拶問題

当委員会会員の中でも特に論議を呼んでいるのが「掲示板における挨拶」問題である。不特定多数が閲覧するサイトの掲示板では「こんにちは」と「こんにちわ」どちらを使う方がいいのだろうか?

よくあるのは掲示板で「こんにちわ」を使った書き込みに対して、誰かが当委員会のサイトアドレスを貼り付けて論争になってしまうことだ。そのこともあって当サイトはあちこちにリンクを張られ、400人以上もの会員様にご意見をいただけたのだが、他のサイトで「こんにち○問題」に関する対立が起こり、掲示板の雰囲気が荒れてしまうのは、当委員会にとって非常に不本意である。

そこで、なぜ掲示板で「こんにち○問題」がこのような論争を引き起こしやすいのか検証してみることにする。

よく「こんにちわ」派の人が持ち出す反論に「『こんにちわ』は親しみを込めて使っている。仲間内だけで盛り上がる掲示板ならいいではないか」というものがある。しかしそれに対して「こんにちは」派がある種のいらだち、不安感、違和感を覚えるのはなぜだろうか?

それはおそらく「こんにちわ」派が持つ対人関係の距離感が、「こんにちは」派の距離感と異なるからではと考える。メールの場合はまだいい。送信者は受信者が何者か分かっているので受信者との関係を考えて「こんにちは」、「こんにちわ」を選べるからだ。初めてメールを出す相手や仕事関係などでは「こんにちは」を使うだろうし、気心が知れた友人の場合などは、「こんにちわ」でも、相手も指摘しやすい。しかし不特定多数が見る掲示板では、それぞれが持つ距離感をあらかじめ想定することは難しい。

「こんにちわ」派の人は、掲示板は同じ趣味を持つ仲間として親しみを込めて「こんにちわ」と書き込むのかもしれない。しかし、掲示板には様々な人が集まる。掲示板の常連さんも、その場に初めて来た人も、馴れ馴れしく語りかけられるのを嫌う人も、誰でも気心の知れた友達のように話したい人も、いろんな人がいる。

「こんにちは」派の人は、「こんにちは」が正しいと思っていても言えない。「どうしてこの人は『こんにちわ』なんて書くんだろう」と思っても、相手の距離感がつかめないため指摘することは難しいからだ。たいした問題ではないと思いつつも、心に違和感がつもっていくため、掲示板を見るたびに気になってしまう。違和感がつのるとやがてストレスへと変わり「『こんにちわ』派は無神経にこちらの領域に踏み込んでくる」とイライラを爆発させてしまう。そしてそれを代弁している当委員会のアドレスを貼り付けて、「これが言いたかったんだ!」と怒りをぶつけてしまう……。

繰り返しになるが、当委員会は「こんにち○問題」について有意義な話し合いとなることは嬉しく思うが、他のサイトの掲示板をひっかきまわし、雰囲気を悪化させることは全く意図していない。当委員会の会員が心ない書き込みをすることは非常に残念だ。「こんにちは」は挨拶の言葉だ。「私は敵ではありませんよ」とコミュニケーションを取る意志があることを伝える美しい言葉だ。それなのにそれが争いの火だねとなってしまうのが悲しい。

これは私の個人的な意見であるが、掲示板の書き込みの挨拶について、当委員会が「こんにちわ」と書くことを阻むことは不可能であると思っている。しかし「こんにちわ」派の人々には、不特定多数の人間が見る掲示板では「こんにち○問題」に神経質になっていたり(口に出さないまでも)ある種の感情を持つ人々がいるかもしれないということを知っておいて欲しいと願っている。世の中には様々な人がいると知っているだけでも、コミュニケーションは上手くいくはずだ。

当委員会の目的

賢明なる読者の方はお気づきだろうが、この会の会員は、「『こんにちわ』は間違いではないか」と言いたいのだが相手に正面切って問うことができない、言いかえれば非常に繊細で小心、心配性な人々である。

ほとんどの会員は「こんにちわ」派の人々を吊しあげ、魔女狩りのように火あぶりにしたいとは考えていない。遠回しに上手く言う方法はないだろうかと日々悶々と悩み続けているだけなのだ。当委員会はそんな人々の心の支えになってほしいと思っている。「『こんにちわ』撲滅委員会」は武闘派の集団ではないのでそこのところをよろしく願いたい。

現在「『こんにちわ』撲滅委員会」では会員募集中である。ご賛同いただけた同志の方はぜひ入会されたし!

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