ブリーダーのモラルについて


犬の社会では、プロのブリーダーと、アマチュアのブリーダーの区分がある程度はっきりしていると思いますが、猫のブリーダーって何でしょう??

良い猫を所有したら・・・・・ブリーダー???
ブリーダーとコレクターは違うのにね・・・・

言葉が少ないと誤解されそうですが、 猫と接する気持ちは、いつまでもホビーであってほしいと思っています。



猫のブリーダーって何だろう?

呼び方は違いますが、競走馬も牛も豚も、生産者と言うブリーダーです。生産者は学び、努力し、実行します。 例えば、競走馬のサラブレッドは、より早いことを求められて徹底的に改良されています。もし、骨格的に欠陥があれば馬自身が生き残れないし、遅いことがはっきりすれば淘汰されるのです。

猫をこれらの経済動物と並べて語るのには無理がありますが、犬の世界ではブリーダーは確立された職業になっています。優秀な成績をあげれば・・・健康でよい性格の犬を繁殖すれば、経済面での答えが返ってきます。しかし、片睾丸や欠歯、骨格異常などを出そうものなら・・・たちどころに消えていくだけです。

ボクが指摘したいのは、猫のブリーダーって、ちょっとばかり甘すぎるんじゃないのかな?ってことです。 欠歯は当たり前で問題にもならないし、片睾丸や尻尾の異常、顔面のゆがみまで・・・「気が付かなかった」で責任を回避します。

新しく猫を求める人も、問題にぶつかると「何にも知らない」ことを理由に、被害者意識だけを振り回します。 迷惑するのは、いつも猫、みんなちょっとだけ猫になって考えようよ。猫は生きてるのですよ。



猫のブリーダーって大切な役割をしていますよ!

これは韓国に行って気が付いたのですが・・・韓国にはキャットクラブも無いし、ブリーダーと呼ばれる人もいません。

ペットショップで売られているのは、毛の長い猫と毛の長い猫から生まれた「毛の長い猫」です。もちろん、数少ないのですがアメリカンSHやロシアンブルー、アビシニアンもいますが、血統書が無いのですから、アメショーはアメショーと、アビはアビと交配されても、それがどのような組み合わせか分からないのです。キャットショーで競うことも無いので、レベルは下がる一方です。

考えてみると、これは血統猫の繁殖の問題だけのようですが、猫に関しての全ての知識の普及に影響しています。

飼育環境のこと、食事のこと、手入れのこと、避妊去勢のこと、病気のこと、猫の本なんて出版されないのですから、猫に関しては何から何まで分からないままです。

分かったことは、韓国の猫好きも、日本の猫好きと同じだけ「猫が大好き」なのです。

ボクは日本のブリーダーの意識改革だけでも時間がかかると思っていましたが、八重子さんは、もっとグローバルな考えで、アジアの人々に「猫について知ってもらおう」とがんばっているのです。

ボクは韓国に行って、猫のブリーダーが「猫の知識の普及」に大きな貢献をしていることを自覚しました。

生き物に対して責任を持つことは、好きなだけではいけないのです。

あなたは、どう考えますか???



ブリーダーの責任!!
片睾丸の猫の場合(口元のゆがんでる猫、審査員から失格を告げられた猫は全て同じです)

最近、片睾丸の猫の売買でトラブルになることが多いようです。 もし、あなたが猫のブリーダーならば、片睾丸が分からなかったと言うのは逃げ言葉でしかありませんし、その猫を売買するときは「去勢手術済み」にするのが最善の策ですが、少なくとも「ペットとしての売買と去勢手術の約束」を口約束ではなく、文章で取り交わすようにしましょう。

こんな話を聞いたことがあります。「オスが3匹生まれて2匹は何でもなかったが、1匹だけが片睾丸だった。だから、次も同じ組み合わせをする」と言う内容ですが、ボクにはビックリです。繁殖上の問題から問えば、片睾丸の1匹の猫は繁殖をとめることができますが、正常に見える2匹の兄弟猫は、その遺伝因子を拡大することが考えられます。すなわち、正常に見える猫の方が問題が大きいのです。

「片睾丸の猫」を繁殖したことはキャッテリー全体の不名誉なことなのです。しかし、善意のブリーダーであっても間違いの起こることはあります。もし、そのような問題に直面したら、ブリーダーとしての明確な責任をとらなければなりません。どうするかは当事者同士の話し合いですが、目安になることをお話しましょう。

  1. その猫を引き取って次の猫に代替する。または代金の全額を返却する。
  2. その猫を去勢してもらい、代金の一部?を返却する。(猫の代金は8万円以内が妥当)
  3. その猫を去勢してもらい、次の猫を無料で提供する。(新しいオーナーが物分りがよければ2〜3万円は包んでくれるでしょう)


自分のことでは無いのに、余計なアドバイスをすることに、ちょっとうんざりしています。「猫ヒゲは猫を物品の売買のように考えているのか、」と思う方に対しても何の言い訳もできないのです。

猫ヒゲが残念なのは、子猫を売った人も買った人も大の猫好きなのです。縁があったから知り合えて、笑顔で子猫をトレードしたのです。その猫の大好きな人同士が争うなんて、まっぴらゴメンです。言っても言わなくても「猫ヒゲがこう言った」と悪用されるよりも、はっきり物を言わなければと思っています。

あなたは、どう考えますか???



ホビー???

ホビーであることを唱えることがネコ社会の通例のようですが、ブリーダーはある一面において、ホビーであってはいけない ・・・・と思っています。

もし、ホビーという言葉が金銭問題だけを指摘するのなら、価格の高い安いに関わらず、血統猫には何らかの価値が授けられます。安い高いは結果論でしかありません。いわゆる一般の猫愛好者は、ブリーダーはプロだと思っていますよ。

ここでは長く説明はしませんが、ホビーという言葉が代名詞になって、それが大きな誤解やねたみの原因になるのかも知れません。

ホビーという言葉に隠れて、無責任になってはいけないのです。

あなたは、どう考えますか???



血統猫のブリーダーとして認められる条件

  1. 猫種のスタンダードを学び、スタンダードを目指して繁殖する人。
  2. 優秀だと認められる猫を繁殖した実績のある人。(優秀な猫を持っている人ではありませんよ)
  3. 血統のバックグラウンドに、父、祖父、曽祖父、または、母方の血統ラインに、自らのキャッテリーネームが記された猫がいること。(3代以上の自らの繁殖した血統が続いていること)
  4. 究極の目標は、後世に伝えられる名猫を繁殖することです。



いろいろなブリーダー???

避妊去勢をしないオス猫とメス猫が出会えば、子猫を生むことになります。中でも血統猫は飼育者が管理して交配するのですから、その出生には責任があります。生ませることがブリーダーではないと言うことはお分かりいただけると思います。

昨年、台湾での猫セミナー後の食事会で、「私は450頭の猫で繁殖している」と左となりの人が自慢そうに言うのでビックリしていると、一つ置いた右となりの人が「私のところは600頭だ」と涼しげに言いました。「ノミや風邪を防ぐのに良い手段は無いか?」との質問に、「ちょっと無理でしょう」と答えるのが精一杯でした。

それで驚いていると「香港の〜〜さんは1000頭飼育している」と続きます。

はたして、ブリーダーの管理できる適正な飼育頭数は?????

ボクの目安は、長毛なら8頭、短毛なら10頭が区切りだと思うよ。