『猫のヒゲ』   

猫とヒゲはなじみ深いもので、触毛といわれる固い毛が生えているのは、「口吻部の上」、「顎の下」、「眉毛の部分」、「頬の部分」、「前足の下肢の裏側」などなど、に見られ、口びるの縁には、細かな剛毛が数え切れないほど生えています。   

一般にヒゲと呼ばれるのは口吻部に生えた弾力のある立派なもので、鼻の下から左右に5列ほどが平行に点々と生えています。見た目で数えられる長いヒゲ(片方)は、平均的には15〜20本ですが、最多は日本猫の27本、切れたり抜けたりして左右         の数が異なることが多いようで、その生える方向は横向きだったり、斜めを向いたり、乱れていたり、かなりばらつきがあるようです。


成猫のヒゲの長さは大半が7〜9cm、ペルシャのオスの14cmが最長で、生れたばかりの子猫にも5〜7mm程度の光ったヒゲが見られます。   


猫のヒゲはアンテナとかセンサーとしての重要な役目をしていると言われ、「猫が狭いとろを擦り抜けるのは、ヒゲの先で幅を感じられるから」「猫が暗闇でも動けるのは、ヒゲがセンサーとして働くから」「猫のヒゲを切ると動けなくなる」などと信じられていますが、本当にそうなのでしょうか?  
実験しましたが、全くヒゲの重要性は証明されませんでした。

眠っている猫のヒゲの先を軽く触っても、触り方が強ければピクピクさせてうるさがるだけで、何らかのセンサーが働いている証明はされません。

ただし、全ての部分にあるヒゲは、普通の被毛よりも長く発達しているので、ヒゲとしての役割を担っています。例えば、目や口、耳に異物が入ろうとすると、それを早く感知して、入るのを防ぐようになるでしょう。
例、
何かが目に近づいたら、その部分のヒゲが察知して、瞼を閉じさせたり、しばたかせたり、顔を震わせたりすることができるのです。

猫が小さな獲物(ハエやゴキブリ)を見付けると、ヒゲの向きは鼻先に集中しますが、これも観察すると、神経を集中させるのに口元をすぼめるからで、ヒゲで距離や動きを計っているのではなさそうです。

また、ヒゲが動くのは、尾や背中の被毛が逆立つのと同じ理由で、それぞれの毛根部分にある繊細で発達した立毛筋の動きによるものです。

では、片方のヒゲを切ったり、両方のヒゲを切ってしまったら、どうなるのでしょう。

猫はヒゲを切られても痛がらないし、風呂桶の縁を歩かせたり、狭いところを擦り抜けさせても、何事も無かったように普通に行動することが確認されました。 

くれぐれもお願いします。

はっきりしたことは、猫のヒゲをちょん切ると・・・ちょっと情けない顔に見えて締まりが無くなるようで、何だか猫らしさがなくなります。くれぐれも猫のヒゲをちょん切るのは止めましょう。 


独り言


猫が行動するのには五感の全てを上手に使い分けて利用しているようですが、どの感覚も特別に発達しているのではなさそうです。(いろいろな参考文献に書かれているほど、素晴らしい機能だとは証明できないのです)

例えば、丸めた紙くずを拾ってこさせる遊びをしても、とっても惰性的で、同じ方向に投げてやれば一目散に紙くずに飛びつきますが、ちょっとでも方向を変えると、すぐにウロウロして紙くずを見失い、1m先にあるのに気が付かない場合もあります。
言うなれば、のんびり、のんびり、無駄な能力を使わないのが猫らしさでしょう。
そして、全ての機能を駆使して危険を避ける能力も高いのです。