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「ねー、マイクロトフー、もう止めようよ。キリがないよ」 「キリがないからといって止めたらますます降り積もるだけだろうが」 「もう少しさ、雪が止んでから、とか状況を見たほうがいいって」 「飽きたのならおまえはもう部屋に戻ってろ」 自分の言うことにまったく聞く耳を持たないマイクロトフに、カミューは地面に突き刺したスコップの柄に顎を乗せ、はあ、とため息をついた。 昨夜は稀に見る大雪が降った。いや、夜が明け、昼になった今でもまだ降り続いている。 ロックアックス城の周りの雪かきはカミューたち若手騎士の役目であり、カミューとマイクロトフも引き受けた箇所をせっせと雪かきに励んでいたのだが。寄せても寄せても降り続く雪にカミューが根を上げた。 防寒着に雪が積もるのも気に留めず、一心不乱にスコップを動かし続けているマイクロトフをカミューは呆れたように見つめていた。真面目なのはいいことだが物事には限度というものがある。臨機応変に動けなくては必ず壁に突き当たる、というのがカミューの持論だ。 「ねえ、いいかげん寒いだろう? 止めようよ」 カミューはもう一度説得を試みた。しかし、 「身体を動かしているんだ。寒いはずがないだろう」 と、即座に反論される。確かに動いているのだから身体は暖かい。だが、手や足の先まではその熱が行き当たらず、かじかんだままである。肌が白いマイクロトフは寒風に晒された頬や鼻の先が真っ赤になっていて、そこが氷のように冷えているのは疑うべくもなかった。自分が無理にでも中断させないとマイクロトフは意地を張っていつまでも雪かきを続け、終いには体調を崩してしまうかもしれない。 カミューは嫌な顔をされるのを覚悟でさらに説得を続ける。 「けど、手や足は冷たいよー」 「俺は冷たくない」 マイクロトフのにべもない態度にカミューは、ぷう、と頬を膨らませた。しかし、すぐ、にやっと人の悪い笑みを浮かべるとそっとマイクロトフの背後に近づく。 「マイクロトフ」 「なんだ?」 呼ばれて振り返ったマイクロトフの視界いっぱいにカミューの顔があった。 「?!」 ちゅ。 「ほら。唇はこんなに冷えてるよ」 「〜〜〜〜〜〜〜っ! カミュー!!」 雪かきは雪上追いかけっこに変わり、暖かい部屋に逃げ込んだカミューの作戦勝ちとなる。 おわり |