勝利の女神は誰に微笑む?!〜青騎士VS赤い悪魔〜




 朝は青騎士たち(「青騎士団長の幸せを守る会」)にとって至福のひとときである。
 麗しい団長は朝からさわやかだし、にっくき天敵もめったに姿を見せない。


「脇が甘い!!」

 びしっ!!

「ぐっ……」
 ……団長はけっこう容赦ないがそれも愛のムチ。こうして1対1で剣の稽古をつけてもらえるのも幸せのうちだ。

「大丈夫か?」
 吹っ飛んでしまった青騎士にマイクロトフは手を差し伸べる。吹っ飛ばされた青騎士はどきどきしながらその手を取り、ひっぱり起こしてもらった。剣だこが何箇所かできていて少しごつごつしているが、意外なほどなめらかな手触り。
「おまえの場合はこうしたときに右ががらあきになるんだ。だから、こうして……」
 さらに手取り足取りおしえてくれる。ふわり、と清潔な石鹸の香りが鼻孔をくすぐった。指導してもらってる青騎士は思わぬ至近距離に鼓動が高まる。顔がにやけそうになるのを必死にこらえていた。

「聞いているのか? 戦場では命取りになるぞ」
「はっ、はいっっ!! こ、こんな感じですか?!」
 慌てて顔を引き締め、おしえてもらったように素振りをしてみせる。と、マイクロトフは目を細めた。
「そうだ。その型を忘れるな」
「はいっ! ありがとうございます!!」
 頬を上気させて応える青騎士にマイクロトフは笑みを浮かべたまま頷く。次の相手を指導するため背中を向けたマイクロトフを青騎士はうっとりとした表情を浮かべて見送っていた。

 今日の制裁はあいつだ……。

 数カ所から殺気が発せられてたことにも気づかず、彼は幸せそうだった……。


「本日の朝練はここまでだ! 解散!!」
「ありがとうございました!!」
 凛とした声が朝練の終わりを告げる。
 そして、それは青騎士たちの戦いの始まりの合図でもあった。
「団長!」
 タオルで汗をぬぐっているマイクロトフを何人かの青騎士が取り囲む。
「たまには一緒にお風呂に入りましょうよ」
「お背中流します!」
 口々に誘われて、マイクロトフもちょっと思案顔になる。
「ああ……。そうだ、な……」

 よしっ! 今日はいけるか?!

 青騎士が心の中でガッツポーズをしていると、マイクロトフは何を思ったのか顔を瞬時に赤くして、
「すっ、すまない! 今日はちょっとだめだ……。またな」
 と、歩調を早める。
「ええーっ?! どうしてですか?!」
 残念そうな声を上げ追いすがる青騎士たちにマイクロトフも心苦しいものがあるらしい。
「すまない……」
 心底すまなそうな顔で謝られては青騎士たちも黙りざるを得ない。一斉にため息をついた。

 今日もだめか……。

 これだけ汗をかいたのだから、風呂に入らないわけがない。部屋でシャワーでも浴びるのだろう。そんな行動をとる原因はだいたいわかっている。だからこそ余計悔しい。
 1人が必死に言い募った。
「じゃあ、朝食をご一緒してください!」
「ん? あ、ああ。そうだな。少し遅れるかもしれないが……」

 やったーっっ!

「席を取ってお待ちしてます!」
「ああ、すまないな」
 マイクロトフはちょっと笑うと道場を出ていった。
 マイクロトフの姿が見えなくなると、誰かがつぶやいた。
「まだ第1ラウンドが終了したばかりだ」
 青騎士たちに気合いが入る。


 バンッ

「カミュー!」
 マイクロトフは自分の部屋のドアを開けると同時に、怒りを含んだ声で同室人の名を呼んだ。ベッドには布団にくるまった塊がひとつ。
 マイクロトフはずかずかと歩み寄ると乱暴に揺さぶった。
「カミュー! おいっ! 起きろ!!」
「……んー……マイク……?」
「とっとと起きろ!!」
 布団からはみでている亜麻色の髪をひっぱる。
「いっ、いたた……。何するんだい、マイクロトフ。
 いつものように優しく起こしてくれないの?」
「うるさい! 早く起きろ!!」
 あまりの勢いにカミューはしょうがなく布団から顔を出した。寝起きでまだ頭が働かない。寝ぼけ半分目を開けるとマイクロトフはなぜか顔を真っ赤にして怒っていた。
「マイク? 何を怒っているの?」
「おまえが……おまえのせいで、青騎士たちと風呂に行けなかっただろう!」
「……なんだって?」
 一気に眠気が吹っ飛んだカミューは起き上がり、ベッドに上にあぐらをかいた。片手でまだぐしゃぐしゃの髪をかきあげる。その身には一糸もまとっていない。
「青騎士たちが……どうしたって?」
 声には不穏な響きが含まれていたが、怒っているマイクロトフは気づかない。
「せっかく、彼らが風呂に誘ってくれたというのに!
 おまえがあんなことするから入れなかったじゃないか!!」
「へえ……」
 感情の読み取れない無機質な声。マイクロトフはハッとした。カミューがこんな声を出すときはかなり怒っているとき……。
 やばい、と思ってベッドから離れようとしたが、一瞬早くカミューがマイクロトフの腕を掴んだ。
「マイクは青騎士たちとお風呂に入りたかったの?」
 ベッドの上のカミューは脇に立つマイクロトフの腕を引いて顔を寄せる。そのわけのわからない迫力に押されながらもマイクロトフは、今日こそ負けるものか! とひとつ息を吸った。
「コミュニケーションをとるにはいい機会だろう! それに俺だってたまには朝から大きい風呂に入りたい!!」
「『あの』青騎士たちとコミュニケーションとる必要があると思ってるのかい?」
 カミューは冷たく言い放ったかと思うと、にやっと人の悪い笑みを浮かべた。
「それに入りたければ入ればいいじゃないか」
 あっさり言われたセリフにマイクロトフは一気に赤面する。
「っ! 入れるか! あっ、あれだけ痕をつけてっ!!」
「見せつけてやればいいだろう? 青騎士どもに」
「っっ!! できるかっっ!!」
 耳まで真っ赤にして怒鳴るマイクロトフをかわいいなぁ……と思いつつ、
「うん、まあ、彼らには見せつけるのももったいないからやめてほしいけどね。なんなら俺がこの歯型を……」
 と、自分の右肩を指す。
「うわあああああっっっ!!」
 マイクロトフは見たくないっというふうにカミューの肩を手で覆おうとする。自然、抱きつく格好となった。カミューは嬉しそうに笑いながら軽々受け止める。
「昨日はちょっと激しかったかな。でも、マイクロトフがあんまりかわいいからつい……」
「言うなっっっ!! だっ、だいたい、おまえはっ! 節操がなさすぎる!! げ、限度というものを知らんのかっ!!」
「うん……。貧乏って怖いよね」
「は?」
「俺もこれでも悩んだんだよねー。でも、マイクロトフと同室になって我慢しろってほうが酷だよ」
 ほんとは万々歳。お金がないから部屋数が足りなくて相部屋なんて最高。
「っっ!! だったら俺は他の部屋に行く!!」
「だめ」
 カミューはあっさり言うとマイクロトフをベッドの上にひっくり返した。そして手馴れた手つきでマイクロトフの前を少しはだける。カミューの所有印が散る白い肌が露となった。
「なっ、なにをっっ……!」
「マイクロトフってさー。肌が白いからずっと痕が残るかなーって思ってたんだけど、すぐ消えちゃうんだよね」
 言いながら痕を指でゆっくりたどる。
「ば、馬鹿! やめろ!!」
「痕が消えるたび俺のものじゃないんだって思い知らされてるみたいで……」
 ぽつり、と出た弱音に、マイクロトフは少し目を見開いた。

 いつも嫌味なくらい余裕たっぷりな態度だからそんなふうに考えていたなんて思いもしなかった……。

「…………馬鹿者。そんなに不安なら一生残る傷跡でもつければいい……」
 マイクロトフの言葉に今度はカミューが目を見開く。少し暗い笑みを浮かべた。
「……いいね、それ。
 でも、マイクの綺麗な肌を傷つけるのはいやだなぁ。そんなことするくらいなら周りのマイクを狙っているヤツらを片っ端から排除したほうがマシ」
「……おまえなぁ……。俺のような何のおもしろみもない人間に興味を示す物好きはおまえくらいなものだ」
 マイクロトフのあきれたような声にカミューはくすくす笑う。

 ほんとにそうあってほしいものだけどね。
 マイクは自分が思っている以上に魅力的なんだよ。

 カミューはこのおいしい雰囲気を逃す気には当然なるはずもなく、このまま……と白い首筋に唇を落とした。マイクロトフがうわずった声を上げる。
「っ! カ、カミュー! あ、朝から何する気だ?!」
「何って……ね。朝食は後で部屋に持ってきてゆっくり食べようか」
「! 朝食!! そうだ! 青騎士たちに朝食に誘われていたんだ!!」
 がばっと起きあがった拍子にカミューの頭に額がぶつかった。しかし、マイクロトフは石頭。うずくまったのはカミューのほうだった。
「っ、たた……」
「すまない、カミュー! そういうことだから俺はシャワーを浴びて先に行くぞ!!」
 あわてて前をかきあわせ、マイクロトフはベッドから降りた。あわただしくシャワールームに駆け込む。
「………………へえ」
 カミューは痛みからようやく立ち直ると恐ろしいほどの低音でつぶやいた。

 おもしろいことをしてくれるじゃないか、青騎士たちめ……。

 いっそのことシャワー室でコトにおよんで監禁してしまおうか、とも思ったが、それでは売られた喧嘩から逃げるだけだ。
 カミューは着替えとタオルを手に、シャワー室へ入っていった。驚くマイクロトフに、「自分も一緒に行きたいから」と言い、警戒するマイクロトフをよそにさっさとシャワーを浴びた。……多少のいたずらは忘れなかったが。


 食堂で青騎士たちはそわそわとマイクロトフがくるのを待っていた。と、ようやく待ち人が姿をみせる。
「あっ、団長、こちらで……」
「やあ、おはよう」
 にっこり。
 当然のようにくっついてきた元・赤騎士団長に、その場にいた青騎士が全員、呼んでねーよ! と心の中で突っ込む。その視線を真正面から受け止めるカミュー。
 見えない火花が散った。
「すまない……。遅くなって」
 はにかんだように笑うマイクロトフに青騎士たちは満面の笑みを浮かべた。
「とんでもないです! さあ、こちらにどうぞ」
 『1つ』だけ空いている席の両脇の騎士が立ち上がる。

 ……………………

 あなたの席はないんですよ!

 へえ、そうきたか。

 ばちばちっ

 火花が散る。
 その様子にまったく気づかないマイクロトフが困ったように口を開いた。
「そうか……。カミューと一緒にくるって言わなかったからな……」

 ごくっ

 全員次の言葉を待つ。このまま席に着くのか、カミューと他のテーブルに行ってしまうのか。マイクロトフの判断=結論だった。
「……カミュー、すまないが……」
 一気に表情を明るくする青騎士たち。カミューは内心キズついたが、マイクロトフの心底すまなそうな顔を見て、仕方なくこの場は引くことにした。
「ああ。かまわないよ。じゃあ、またあとで」
 あくまでもスマートに優雅に。片手を上げて他のテーブルに向かう。
 マイクロトフとしては青騎士たちの好意もムダにできなかったが、カミューなら機嫌を損ねてもあとで許してくれる、という多少の甘えもあった。カミューの知る由もなかったが。
 マイクロトフが席に着くと、隣で悲鳴が上がった。どうしたかとそちらを見ると、青騎士がフォーク片手に涙目になっていた。どうやら、椅子にフォークが『落ちて』いたらしく、それに座ってしまったらしい。
「大丈夫か?」
「は、はい……」
 その場にいた者はマイクロトフを除いて、それが『事故』とは到底思えず、

 い、いつのまに……。
 ……恐ろしい方を敵にまわしたかも……。

 と戦慄が駆け抜けた。

 第2ラウンド、辛くも勝利(?)


「……でね、こういう編成にすると、こちらが手薄になってしまうだろ?……」
「…………カミューさま……」
「……だから、こんな感じに構成してみたら、と思うんだ」
「カミューさま!!」
 大声で呼ばれて、カミューは不機嫌な様子で顔を上げた。
「なんだ? いま大事な話をしてるところだから静かにしてくれないか?」
 カミューは机に着いているマイクロトフの傍らに立ったまま、右手はペンを。左手は……マイクロトフの肩をしっかり抱き寄せていた。

 ここはマイクロトフの執務室。執務が始まったと同時にカミューが部屋に来、ずっとこの調子で話を進めている。周りには掃除当番の青騎士たち。最初は真面目な話だから、と我慢していたが、ついに堪忍袋の尾が切れたらしい。
 同盟軍には掃除をしてくれる女性はたくさんいた。しかし、元・青騎士団長は女性が苦手だから、というのと青騎士たちのたっての希望で青騎士たちが当番制で執務室の掃除にあたっている。

「ほんとは朝食の際に話せばすんだんだけどね。今日はそれも『できなかった』から」
 いけしゃあしゃあと嫌味を言い放つ。青騎士たちはぐっ、と息を呑んだが、ここで引き下がるわけにはいかない。執務室の掃除は彼らにとって大事な時間なのだ。
「そこに居られると掃除の邪魔です!」
「ふーん……。ここの掃除って一日手を抜いても汚いくらい『ヘタ』なんだ?」
 カミューとて、朝食を邪魔された怒りはかなり大きい。普段の人当たりの良さはどこへやら。ばしばし棘を飛ばしている。
 一方、マイクロトフはというと、最初はカミューの行動に驚いて振り払おうとしたが、カミューがはじめた真面目な話にすぐ引き込まれて、今の状況を忘れてしまっていた。……もちろんカミューの作戦どおりだが。
「でも、まあ……、掃除の邪魔しちゃ悪いからね」
 カミューは座っているマイクロトフの高さにあわせていたためかがんでいた体勢を戻した。

 すわっ、天変地異の前触れか?!

 と青騎士たちがおののく視線の先で、カミューはマイクロトフの腕を取った。
「行こう、マイク。私の執務室で続きを話そう」
「あ、ああ。そうだな」

 やられた!!

 普段ならまだしも、真面目な話の途中となれば真面目なマイクロトフは執務中にカミューと一緒にいるのになんの抵抗があろうか。
 立ち上がったマイクロトフの肩をまた抱き寄せ、カミューは勝利の笑みを浮かべる。
「邪魔して悪かったね。掃除、がんばってくれ」
 恨めしい視線もなんのその。ふふん、とせせら笑うカミュー。
 そして、
「あっ、と。すまない。足元をよく見てなかった」
 ガツンっ、と水の入ったバケツを蹴り倒すことも忘れない容赦ないカミューであった……。
「まあ、掃除中だからいいよね。悪かったね」
 くすくす。
 呆然としてる青騎士たちを残して悪魔は麗しの団長を連れ、優雅に立ち去った……。

 第3ラウンド、完敗。


「なんと! そんなことがあったのか?!」
「はいっ! もう、悔しくて悔しくて……」
 くうう……と本日の掃除当番だった青騎士たちは悔し涙を流す。
「恐ろしい方だ……」
「……いろんな意味でな」
 あきれたように口を開いたのは元・青騎士副団長、アドヴァン。独特の雰囲気を持つ彼は「青騎士団長の幸せを守る会」とはまったく関係ないが、なにぶん同じ青騎士。詰め所が一緒のため、いやがおうにも話が聞こえてくる。
「泣くな! 今日はとっておきの策がある!」
「な、なんですか?!」
「これだ!!」
 青騎士が手にしたのは両手で持つぐらいの大きさの白い箱。
「なんですか? これは……」
「今日はニックの誕生日だ。そこでお茶の時間は彼の誕生会とする!」
 中身はケーキらしい。

 おおおっ!!

 周りでどよめきや歓声が起こる。いつもは「天敵」とお茶してるマイクロトフもあの律儀な性格からいって部下のお祝いとなれば必ずくるはず。
「じゃあ、さっそく呼んできましょう!」
「誰が行く?!」

 ……………………

 沈黙。あの赤い悪魔からマイクロトフを連れてくるのは至難の技だ。
 一斉に視線が1箇所に集中する。視線を集めた青騎士が仏頂面で周りを見返す。
「…………なんだ?」
「アドヴァン! 頼む! 団長を連れてきてくれ!!」
「…………俺がか?」
 実はこのアドヴァン、青騎士団の中では唯一カミューが苦手としてる存在だということは青騎士団の中では暗黙の了解となっている。ただ、本人はマイクロトフに興味を示さないため(示したら示したで、赤い悪魔同様強敵となるだろうが)、協力的ではないが、非協力的でもない。
「頼む! お前しかできない!」
「……報酬は?」
「う……。カナン産のワインでどうだ?」
「2本な」
 にやりと笑いながらアドヴァンは立ち上がった。


「すまない、遅くなって」
「団長!!」
 現れた青い制服姿に全員が歓喜の声を上げる。

 さすがアドヴァン! 一筋縄ではいかない男!!

 マイクロトフの後ろから含みのある笑みを浮かべて入ってきた男に尊敬のまなざしが向けられた。しかし、彼の後にもう1つの人影……。
「やあ、おじゃまするよ」
 にこやかに挨拶する。

 ……………………

 ……さすがアドヴァン、一筋縄ではいかない男……。

「なぜ、カミュー様まで連れてきた?!」
 小声で問われれば、
「団長を連れて来い、とだけ言われたからな」
 おまけはいらないとは言われてない、としれっと答える。
 元・赤騎士団長を「おまけ」呼ばわりできるのは彼ぐらいだろう。
 つめが甘かった……と青騎士はひとつ息をついたが、彼とてまったく対策を練っていなかったわけではない。気を取りなおしてマイクロトフに向き直った。
「お忙しいところすみません、団長。今日はニックの誕生日ですので、ささやかですが茶席を設けまして……」
「ああ。そうらしいな。しかし、俺がいるとかえって気を使うのではないか?」
 これはさきほどカミューに言われたセリフである。それもそうだ、と遠慮しようとしたマイクロトフをどういう手を使ってアドヴァンは連れてきたのかは企業秘密。
「とんでもないです! どうぞ、こちらへ。
 ……ですが、ケーキは人数分しか用意してなくて……」
 マイクロトフに席を促しながら、ちらっとカミューの方を見やる。カミューは苦笑いした。

 なるほど……。

 朝の再現。
 カミューは、マイクロトフにまたあんな顔をさせるくらいなら……と敗北を認め、自ら出て行くことにした。
「なるほど。では私は失礼しよう」
「カミュー?」
「じゃあ、マイク。またあとで」
 片手を上げて詰め所を出ようとするとマイクロトフに呼び止められた。
「カミュー。出て行く必要はない」
「マイク?」
 怪訝そうに振り返るカミューの目の前でマイクロトフは自分用に盛られたケーキをフォークで2つに分けた。そして空いてる皿に片方を移す。
「これでいいだろ?」
 にこり、と子供のように笑う。カミューは一瞬呆然としたが青騎士たちよりも早く立ち直ると、
「ありがとう。では、ご馳走になろうかな」
 と、とびきりの笑顔を浮かべ、マイクロトフの隣の席に着いた。

 まったく……かなわないな。



 おわり




本館で1111HITしてくださった蓮城はるか様からのリクエストで
「鬼畜」もしくは「悪魔」なカミューさんとのことだったんですが、
悪魔じゃないですね……(汗)蓮城さま、ごめんなさい。。。
ちなみに副団長のカレは「賭け」に出てきたカレです。


−back−