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カミューは不思議に思っていた。 女の子は可愛いし、柔らかいし、気が利いていて優しい。この顔なら大抵の子は好きになってくれるし、なんの苦労もなく付き合っていけるはずだ。 それなのに。 どうしてこの男を選んでしまったんだろう……。 「カミュー? どうかしたのか?」 物思いに耽っている間、相手の顔を凝視していたらしい。食事の手を止め、首を傾げるマイクロトフにカミューは曖昧な笑みを浮かべた。 「ううん。なんでもないよ」 「そうか」 曖昧な笑みに少し力ない言葉。思わせぶりな態度を取ったつもりでもマイクロトフは気付かず、ひとつ頷くと食事を再開させた。 ほら。こんなふうに鈍いし、優しさが足りない。 カミューは軽い失望をおぼえる。何せ、この男は立派な騎士になることにしか興味がないのだから、自分が多少様子がおかしかったところで、心配するような細やかな気配りなどできないのだ。 見事な食べっぷりで目の前の料理を次々と平らげていくマイクロトフをカミューは頬杖をついて見つめる。 抱きしめてみても自分と同じごつごつとした身体だし、唇を合わせてみても少しかさついた荒れた唇だし。 いったい何が良くてこの男と付き合うことを望んでしまったのか。 改めて考えてみるともっともな疑問が次から次と沸き起こってくる。自分はひょっとして何かを間違えたのではないだろうか。 男を選んだ時点で相当間違っているのだが、それでもカミューは彼しかいないと思ったのだ。彼だけが欲しくて、今までにないくらい格好悪くがむしゃらに求めた……はずだった。それなのに、どうしてこうも不満があるのか。いや、不満ではなく、不安なのだ……。 カミューが悶々と考えを巡らせマイクロトフの顔を見つめたまま黙っていると、マイクロトフは再び手を止めた。 「カミュー」 名を呼ばれ、カミューはドキッとする。ひょっとして自分の異変に気付いてくれたのだろうか。淡い期待が再び胸をよぎった。 「腹でも痛いのか?」 ほら。もう気が利かないとかいうレベルじゃないじゃないか。 カミューは完全にふてくされ、明後日の方向を見ながら自棄気味に口を開く。 「あのさあ、マイクロトフ」 「なんだ?」 「これって、デートだよね?」 付き合っている者同士でご飯を食べているのだから。たとえ、相手が食べることに夢中でも、自分が付き合っていることに疑問を持ち始めているのだとしても。 そう思い、嫌味たらしく言ってやった。きっとくそ真面目な彼のことだから、「何を言う!」とうろたえるか、最悪、「馬鹿なことを言うな!」と怒り出すのではないかと思ったが、テーブルには沈黙が下りた。あれ、と思い、正面に視線を戻すと、なんと、マイクロトフは茹蛸のように真っ赤になっていた。う……、とか、あ……、とか声にならない呻き声を洩らしてしたかと思うと、俯いて、 「そ、そうなるのだろう……」 と、蚊の鳴くような声で応えた。カミューはその姿にあんぐりと口を開けたが、すぐ我に返るとにっこりと笑みを浮かべる。 「そうだよね。大好きだよ、マイクロトフ」 前言撤退。めちゃくちゃ可愛い。 |