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カミューとマイクロトフはハイ・ヨーのレストランに向かう途中、廊下できゃいきゃいと華やいだ声を上げている一団を見かけた。 「カミューさんの笑顔って素敵だよね〜」 「うんうん。完璧って言うの? 見てるだけでウットリしちゃう♪」 「あの優雅な物腰といい、物語に出てくる騎士様みたいよね〜」 ナナミを中心とした十代半ばの少女たちの集まりである。年頃にふさわしい話題で朝から元気に盛り上がっているようだ。 「…………だそうだ」 「ははは。まいったね」 マイクロトフの冷ややかな視線を受けてカミューはそらぞらしい笑い声を上げる。そして、これが『優雅な』の見本であるといわんばかりのしなやかな足取りで集団に近づくと、柔らかい笑みを浮かべて声をかけた。 「おはようございます、レディたち。朝からずいぶんと賑やかなことですね」 「カ、カ、カ、カミューさんっ!!!」 話題の人物の突然の登場にキャーという悲鳴じみた声が上がり、少女たちは赤面して石のように硬直してしまう。 「カ、カミューさん、その……」 「お褒めにあずかり、光栄ですよ」 本人がいないところで勝手に噂話をしていてすみません、と慌てる少女たちにカミューはにっこりと微笑んだ。その優しい笑みに少女たちは、ぽわん、と見惚れるような表情を浮かべる。 「ただ、わたしはそんなふうに言っていただけるような大層な男ではありませんので……。少々恐縮してしまいますね」 「そ、そ、そんなことないです!」 「とっても素敵です!!」 力いっぱいカミューの言葉を否定する少女たちはまるで即席の親衛隊のようだ。カミューは一部の隙もない笑みでそれに応える。 「ありがとうございます。ですが、あまり過剰な期待を持たれてしまうと裏切ってしまったときに心苦しいので、ほどほどの目で見ていただけると嬉しいのですが」 「は、はい!」 すっかり見惚れている少女たちにカミューは優雅に一礼するとその場を離れ、マイクロトフの元に戻った。 「見事なたらしぶりだな」 「やだなー。俺がたらしこみたいのはただ1人だというのに」 カミューがそう言ってマイクロトフの肩を抱き寄せようとすると、マイクロトフはその手を容赦なくはたく。まだ少女たちの目もあるというのにそんな軽はずみな真似を許すはずがなかった。 「カミューさん、素敵すぎー!」 「もうもう、あの笑顔っていったら完璧だよね〜」 目の前からカミューがいなくなると、とたん活気を取り戻す少女たち。まったく元気なものである。 「完璧、というより鉄壁だがな」 一見、人当たりがいいようで、一定の距離以上は踏み込ませない絶対不可侵の壁。 昔から嫌というほど近くで見てきたマイクロトフが呆れたように眉間に皺を寄せると、カミューは的を得たり、とばかりにニヤリと笑った。 「さすがマイクロトフ。誰よりも俺のことをわかっているね」 |