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夢も見ないような深い眠りに身を委ねていたマイクロトフは、不意に身震いし、その拍子に目が覚めてしまった。ぼんやりと目を開けると目の前には見慣れた整った顔。いい夢でも見ているのか、どこか幸せそうな表情を浮かべて寝入っている。 辺りはまだ真っ暗で、今が何時頃なのか時計も見えない。暗さだけでいえばまだ真夜中のような感じだが、冬は日が昇るのが遅いため、一概にそうとは言えなかった。目が覚めた感じからいって、あと1時間もすればいつも起きている時間になるのではないか。 そんなことを考えていると、再び身震いがマイクロトフを襲った。そして、ようやく自分の置かれている状況に気付く。何も着ていないというのに毛布がすっかりはだけてしまっていて、肩から背中にかけて冷たい外気に晒されていたのだ。どうりで寒いはずだ、と眉を寄せていると、もぞ、と向かいの男が身じろぎした。その拍子に毛布がさらにずり下がる。 原因はこれか……。 自分を抱き込むようにして寝ているのだから、カミューが動けば毛布も動くのは当然のことだった。しかし、カミューのほうが外気に触れる部分が多いはずなのに、当の本人は実に平和そうな寝顔を浮かべている。 「風邪引くぞ、馬鹿……」 マイクロトフは悪態をつきながらも、相手を起こさないように慎重に最低限の動きで毛布を肩まで引き上げた。しかし、ようやく外気から遮断されてもすっかり冷えてしまった身体は氷のように冷たい。マイクロトフはすっかり粟立ってしまった腕を何度かさすったが、冷たい手でさすったところで少しの熱も生まれなかった。 絡み合って……いや、正確には絡め取られてしまっている足はこんなにも温かいというのに。 マイクロトフは憮然と眉を寄せ、目の前の男を睨みつけた。だが、寝汚い男はマイクロトフの眼力をもってしても目を開けることはない。マイクロトフはため息をひとつ吐き、意を決すると、冷たい背中に腕を回した。氷を抱いているようだったが、一人で震えているよりはこうして触れ合ったほうが、ぬくもりが生まれるのは早いはずである。しばらくは我慢するしかない。 目が覚めてしまったばっかりに、自分だけ寒さを我慢して眠りにつかなくてはいけないことに不満を感じつつ、マイクロトフは再び目を閉じた。 少しでもこの冷たさを味わえ、とわずかな隙間も埋めるように冷え切った身体をぴったりとくっつけてやると、カミューの腕が無意識のままに動き、更に抱き寄せてくる。意趣返しにならなかったことを悔しいと思ったが、マイクロトフの身体が離れることはなかった……。 |