〜任務〜




 荷物をバッグに詰めていたマイクロトフはノックの音に手を止めた。誰何しなくてもわかる相手に、短く「入れ」と告げると間もなくドアが開く。
「やあ、準備は終わったかい?」
 ひょっこりと顔を覗かせたカミューの問いにマイクロトフは「だいたいな」と答えた。
「終わったら俺の部屋においでよ。軽く飲もう」
「ああ」
 マイクロトフは言いながらバッグのファスナーを閉めると最後にぽん、と軽く叩いて立ち上がる。
「終わったぞ」
 そのタイミングの良さにカミューは思わず笑みを浮かべた。声だけかけたら荷造りの邪魔をしないように部屋に戻っていようと思っていたのだ。
「じゃあ、行こうか」
 カミューは親しげにマイクロトフの肩を抱き寄せ、廊下へと促す。普段なら誰に見られるとも知れないこんな場所でこんなことをすれば怒るマイクロトフだが、今日は黙ってしたいようにさせていた。


 カミューがワインとグラスを用意している間、ソファに腰掛けたマイクロトフはなんとなく部屋を見渡していた。もちろん初めて来たわけではない。それどころか自分の部屋のように勝手を知っている。
「何かめずらしいものでもあったかい?」
 そんなマイクロトフにからかいの声がかかった。マイクロトフが声のほうに顔を向けると声の主・カミューは、ことり、と2つのグラスをテーブルに並べてマイクロトフの隣に腰を下ろす。穏やかな笑みを浮かべて自分の顔を見つめるカミューにマイクロトフは照れたように目を細めた。
「……いや、この部屋もしばらく見納めだと思うとな」
 その口調はどこか感慨深げで。カミューはそれには応えず、マイクロトフにグラスを差し出した。マイクロトフがそれを受け取るとカミューも自分の分を持ち、かちん、と軽く触れ合わせる。
「1年か……」
 グラスにかたちばかりに口をつけたカミューが目を伏せてぽつり、と呟いた。

 青騎士団・第2部隊の統括副隊長であるマイクロトフがハイランドとの国境付近の警備隊の副隊長に命ぜられ、赴任することになった。
 その期間1年。
 ハイランドとの小競り合いが続いている不安定な情勢を考えれば、22歳のマイクロトフにとって、今回の異動はまぎれもない出世コースである。目覚ましい活躍をすることができれば帰ってきたときには位が1つか2つは上がるだろう。ただ、それだけに危険を伴う任務ではあった。

「まあ、1年などあっというまだ」
 グラスを一気に煽りながらマイクロトフが言う。が、軽い調子で言ったつもりがどこか自分に言い聞かせるかのような口調になってしまい、渋い顔になった。カミューが空になったグラスにワインを注いでやりながら、確かにね、と同意する。
 マチルダ騎士団に入団して7年が経つ。だが、入団試験の日ことでさえ容易に鮮明に思い出せるほどあっという間に過ぎた日々だった。互いに3ヶ月ほどの遠征に出たこともある。それを思えば確かに1年という月日は決して長いとは言えない。
 しかし……。
「1年も離れているとおまえがどこぞの令嬢にたぶらかされて浮気しやしないかって気が気でないよ」
 カミューがわざとらしくため息を吐きながら言うと、
「あんな山奥のどこに令嬢などいるのだ! だいたいそれを言うならおまえのほうだろう。人肌恋しさに夜な夜な街に出歩くんじゃないのか」
 マイクロトフは片眉を上げて反論した。
「まさか。愛しいおまえがいるというのにそんな真似するはずないだろう。せいぜいおまえの顔を思い出して1人でしてるさ」
「っ!!」
 涼しい顔をしてとんでもないことを言うカミューにマイクロトフは反射的に怒鳴ろうとしたが息を吸い込んだはずみで気管に酒が入り込み、げほげほと激しく咽てしまう。
「お、おまえな……」
 ようやく発作がおさまったマイクロトフは咽たせいで涙がうっすらと滲んだ瞳で、背中をさすっているカミューを睨みつけた。しかし、てっきりからかうように笑っていると思ったその顔は思いがけず真剣なもので、マイクロトフは思わず息を呑む。そんなマイクロトフの肩に手をかけたカミューは、
「だって……。寂しいよ、マイクロトフ……」
 と呟きながらそのまま顔を埋めた。
 そう。今まで過ごしてきた時間を思えば1年という月日はそれほど長くないものかもしれない。だが、それらの時間は互いの存在が常に傍にあり、一緒に過ごしてきているのだ。こんなふうに長い間離れて過ごすことになるのは初めてのことだった。
 マイクロトフは、肩に顔を埋めたままじっと動かないカミューに対して返す言葉に迷う。自分とて同じ気持ちだが、それを認めてしまうのは女々しい感じがしたし、一旦口にしてしまえば歯止めが利かなくなるのでは、という危惧する思いがあった。
 任務に対する不安はない。だが、カミューが傍にいない、ということがどんな事態を生むのかを考えるとどこか胸がざわめくのも事実である。いつも気が付けば隣にいて支えてくれていたような存在なのだから。
 マイクロトフはそんなことを思いながらカミューの手に自分の手を重ねた。
「1年などあっという間だ」
「うん……」
 結局同じことを言うことしかできない自分がもどかしい。マイクロトフは自分の口下手をこれほど呪ったことはなかった。
「……たまには手紙を書くから」
「うん。毎日書いて」
「毎日なんか書けるか!」
 ただでさえ筆不精だというのに。自分から書くと言っただけでも褒めてほしいくらいだ、とマイクロトフは思った。カミューはくすくす笑ってようやく顔を上げる。乱れた髪をかきあげて整えながら、やっとカミューらしい柔らかい笑みを浮かべた。
「ありきたりのことでいいからなんでも書いてくれ。楽しみに待ってるよ」
 マイクロトフは真面目な顔つきでひとつ頷く。夏休みに課題を抱えた学生の気分だ。
「帰郷休暇が取れたら事前に知らせるから」
「うん。俺はおまえに会いにいけるほどの長期休暇なんか取れないからね……」
 マイクロトフが赴任する国境付近の砦までは馬でも3日かかる。となれば、会いに行くだけで1週間もかかってしまうのだ。交代制である騎士たちは、何かのやむをえない事情でもないかぎり、1週間の休暇など取れるはずがなかった。それに対してマイクロトフたちのほうは帰郷するための長期の休暇を許される。それは数ヶ月に1度くらいの頻度だが、マイクロトフが帰ってくるのを待つしかなかった。
「あまりにも煮詰まっちゃったら、親戚に不幸があったとでも言って休みをもらおうかな」
「馬鹿者! 不謹慎だぞ!!」
 グラスランドに帰る、といえば3週間くらいの休みはもらえそうである。カミューにしてみればあながち冗談ではなかったのだが、案の定、マイクロトフに怒鳴られた。ぺろり、と舌を出すとマイクロトフはふっと怒りの表情を解く。
「俺が居なくても寝坊しないでちゃんと起きろよ?」
 くしゃり、と前髪を撫でられてカミューは猫のように目を細めた。
「うん。マイク以外に起こされたくないし」
 がんばるよ、と頷いてから、カミューは、にやり、とからかうような笑みを浮かべる。
「まあ、夜更かしの原因であるおまえがいないのだから、大丈夫かな」
「なっ……!」
 カミューの色を含んだ視線にマイクロトフは絶句したかと思うとグラスの酒を一気に呷った。ガツッっとグラスが割れんばかりに乱暴にテーブルに叩きつける。
「ならば、もう帰ってこん!!」
「ああ〜! 嘘だってば! なるべく早く帰ってきてくれよ〜」
 背中を向けたマイクロトフにカミューは情けない声を上げて縋りついた。
「おまえがいないと寂しくて死んじゃうよー」
 背中にすりすりと頬をすり寄せて哀願するカミューにマイクロトフは、今日でしばらく会えないというのにこんなことで意地を張るのもなんだな、とため息を吐いて怒りをやり過ごす。くるり、と身体の向きをテーブル側に戻し、手酌しようとワインに手を伸ばすと慌てたようにカミューの手が伸びてきた。一瞬早くワインボトルを手にしたカミューはマイクロトフと自分のグラスに酒を注ぐ。再び酒に口をつけながら、カミューはどこか機嫌を伺うような愛想笑いに似た笑みを浮かべた。
「なんか、おまえは俺が傍にいないほうが健康的に過ごしていそうだよね」
「そうだな。おまえに睡眠を邪魔されることもないからな」
 ちくり、とさっきの自分のセリフを嫌味で返され、カミューの笑みが引きつる。マイクロトフはそんなカミューの表情にくすっと笑みを漏らした。空になったグラスをテーブルに戻すとカミューがボトルを持ち上げ、それが空であることに気付く。
「ちょっと待ってて……」
 別の酒を取りにいこうと立ち上がりかけたカミューの行動は腕を掴んだマイクロトフによって阻まれた。その顔は酔いのためか、わずかに赤い。
「その、もう酒はいいだろう……」
「ああ、そっか。明日は早いからね」
 カミューは納得したように頷くと再びソファに腰を下ろした。そして、うつむいているマイクロトフの頬を両手で包み、そっと仰向かせるとわずかに開いている唇に口付けをしかける。吐息混じりに角度を変えながら何度か柔らかく食み合い、深く口付けたところで舌を口内にしのばせた。口腔はアルコールのせいか酷く熱く、カミューは眩暈に似た酩酊感を覚えつつ舌を動かす。舌を絡め合い、口内をまさぐり、ひととおり熱を堪能すると夢中になりそうな自分に慌ててブレーキをかけ、ゆっくりと唇を離した。
 それでも離れがたくて、こつん、と額を合わせて睫毛が触れそうな距離で見つめると、目元を赤く染めつつも逸らされない漆黒の瞳に内心、どきり、とする。
「俺のいないところで無理するんじゃないよ。助けに行きたくてもすぐには飛んでいけないんだから」
「ああ……」
 濃厚な口付けによって酒が回ったのか、どこか潤んだ瞳で頷くマイクロトフに、カミューは身体が反応しそうになるのを感じて慌てて身体を離した。
「カミュー……?」
「よし! じゃあ、明日から頑張ってきてくれたまえ、第1警備隊副隊長どの」
 おどけたようにウィンクしてみせると、カミューは未練を振り切るように勢いよく立ち上がった。そして、マイクロトフを立たせようと手を差し出す。しかし、その手を掴んだマイクロトフは立ち上がらなかった。
「マイクロトフ?」
 カミューが不思議そうに名前を呼ぶと、マイクロトフはどこか困ったように眉を寄せ、カミューをじっと見上げていた。カミューは注意深くその表情を見つめる。決して言葉が多いとはいえないマイクロトフが何か言いにくいことを訴えたいときに、こんなふうに無言で見つめてくることがある。それは無意識の行動なのだろうが、自分なら理解できると思っていてくれているようで嬉しい。だからこそ、マイクロトフの意思を読み間違えるわけにはいかなかった。
 そう思って視線を合わせていたカミューだが、ひょっとして離れがたいと思っていてくれているのでは、という結論に辿り着く。少々虫がいいかもしれないが、どこか甘えるような色を感じ取ったのだ。
「マイクロトフ」
 カミューは、自分の予想が当たっていればいい、と思いながら身を屈め、座ったままのマイクロトフの頬に手を添えた。
「今夜……よかったら一緒に寝ないか?」
「……一緒に?」
 ぴくり、とマイクロトフの身体が強張ると、カミューは慌てて首を振る。
「あ、さすがに今夜は何もしないから。ただ、今夜かぎりでしばらく会えないと思うと少しでも長く一緒に居たいんだ。だめかな?」
 マイクロトフは考え込むようにうつむいてじっとしていたが、やがて、ぼそり、と呟いた。
「その……、しない、のか?」
「え? ああ……」
 マイクロトフのセリフにカミューは苦笑する。先程のキスで身体が反応してしまったのがばれてしまったようだが、さすがに今夜は無理をさせるわけにはいかない。
「今日はしないよ」
 正直にいえば、これから長い間、肌を重ねることがないと思うと、忘れられなくなるくらい激しく、熱く彼を抱きたいという衝動がある。だが、明日から3日間も馬に乗って移動し、休む間もなく新しい土地で新しい環境で任務に着くマイクロトフにそんなことができるはずがなかった。こうやって気遣ってくれるだけでも充分嬉しいではないか。理性を総動員してでも今夜はただ抱きしめて眠りに就きたい……。
「明日は早朝の出発だろう? だか……」
「いい……」
 少々早口に気遣う必要はないと伝えようとしたカミューの言葉をマイクロトフの呟きが遮った。
「え?」
 聞き取れず、いや、聞こえたのかもしれないがあまりにもありえない言葉に眉を寄せるカミューに、マイクロトフは顔を上げて怒鳴るように繰り返す。
「いいって言ったんだ!!」
「え? え? ほ、本当に……?」
 思わぬ展開に目を瞬かせるカミューにマイクロトフは痺れを切らしたかのように立ち上がった。
「おまえはどうかは知らんがな! 薄情な俺は1ヶ月もしたらおまえのことなど忘れるぞ!!」
 これ以上はないというほど顔を真っ赤にしたマイクロトフの叫びにカミューの理性は瞬時に吹き飛び、次の瞬間には力強く抱きしめていた。
「だめ……。忘れないで。忘れられたら生きていけないよ……」
 苦しいくらいの抱擁に、耳が燃えそうなほど熱い吐息にマイクロトフは力が抜けそうになるのを唇を噛むことでこらえながら、唸るように応える。
「だったら……」
 睨むように合わせた視線でカミューにはすべて伝わった。噛みつくように下りてくる唇を受け止めながらマイクロトフは余計な感覚や思考をすべて閉ざす。

 忘れられない夜を過ごすために。


「じゃあ、いってくる」
 身支度を整えたマイクロトフは、ベッドに横たわったまま準備を見つめていたカミューに声をかけた。カミューはけだるげな様子で腕を枕にしながらひとつ頷く。
「身体は……大丈夫?」
 気遣わしげな声音にマイクロトフの頬がわずかに染まった。
「……おまえと違って毎日鍛えているからな」
「そう」
 昨日の行為を思えば少々強がっているのかもしれないが後悔している感じは受けない。カミューは内心ホッとしながら相好を崩す。
「さすがだよね〜。俺はもうちょっと鍛えないとダメだなぁ」
 そんなことを言いながらわざとらしく腰をトントンと叩いてみせるカミューに、マイクロトフは真っ赤になったかと思うと、ツカツカと足音も荒くベッドに歩み寄ってきた。そして、拳を握り締めるとそれを亜麻色の髪に体重をかけてぐりぐりと押し付ける。
「痛い! 痛い!!」
「おまえは俺がいない間にその減らず口をなんとかしろ!!」
 「禿げる〜〜」と悲鳴を上げながらじたばたと暴れるカミューを、まったくこの男は! と怒り半分、呆れ半分押さえつけていたマイクロトフはふと視界に入ったものに思わず手を止めた。突然押さえつける力が緩んだのを、カミューが不思議に思いながらそろそろと顔を上げると、マイクロトフはなぜか真っ赤になりながら、じっと己の胸のあたりを凝視している。その視線を追うように目線を下げて、ああ、とようやく納得がいった。
「これで俺のことは忘れずにいてくれるかな?」
 からかうような口調で己の心臓のあたりを指で撫でながら言う。そこは鬱血したように赤黒く変色していた。夕べ、マイクロトフがつけた痕である。そして、今は制服に隠れてしまっているが、マイクロトフの同じ箇所にも同じように痕が残っている。いつもより念入りにつけたとはいえ、1週間もしないうちに消えてしまうだろう。だが、命の源である箇所に恋人によって施された印は、消えてしまっても、ふとした拍子で思い出すことができるはずである。
「まあ……、半年くらいはな」
 暗い中での行為だったため、まさかこんなにくっきり痕になっているとは思わなかったマイクロトフは、己の胸にも同じものがあると思うと顔から火が出そうだった。それを隠すようにぶっきらぼうに告げたセリフにカミューは目を細める。
「じゃあ、半年以内に帰っておいで」
 引き継ぎやら何やらで落ち着くには2、3ヶ月はかかるだろうが、半年の間には一度か二度は帰って来られるはずである。遠回しだが可愛いことを言ってくれるマイクロトフにカミューは艶やかに微笑みながら上半身を起こした。そして、手を伸ばしてマイクロトフの右手を取ると、何かを呟いてから優雅なしぐさで甲に口付ける。貴婦人に対する所作のようだったが、目を閉じた表情がどこか真剣で、マイクロトフは何も言えずにそれを受けた。
「ダンスニーを貸してくれるかい?」
 じっとしているマイクロトフにカミューは上目遣いに請う。我に返ったマイクロトフは言われるがままに腰に佩いた愛剣を鞘ごとカミューに渡した。カミューはすらり、と鞘からダンスニーを抜くと、またも何かを呟いてから刀身に口付ける。そして、剣を鞘に戻すとマイクロトフに差し出し、受け取ったマイクロトフは再び剣を佩いた。
 口付ける前に呟いていたのはカミューの母国語だったようで、何を言っているのかはわからなかった。だが、カミューのことだから自分の無事を祈ってくれたのだろうと思う。
 礼を言おうかと口を開きかけたマイクロトフだったが、カミューの右手が心臓のあたりに触れてくるのが先だった。
「どんなに離れていても、いつもおまえのことを想っているよ」
 気のせいなのだろうが、夕べカミューが何度も口付けたそこが酷く熱く感じた。マイクロトフも同じように右手を伸ばしてカミューの心臓のあたりにあてる。むきだしの肌越しに力強い鼓動が感じられた。
「俺も……遠く離れた場所でおまえの……活躍を祈ろう」
 カミューと同じように、想う、とは照れくさくて言えなかったマイクロトフの右手に左手を重ねたカミューはニッと笑う。
「どうせなら恋しく想ってほしいものだね」
「馬鹿」
 言葉を濁らせた理由などお見通しのくせして意地の悪いことを言うカミューから逃げるように、マイクロトフは一歩下がって距離をとるとキッと睨みつけた。しかし、赤らめた顔では効果はないに等しい。そんなマイクロトフをカミューは眩しいものを見るかのように目を細めて見つめていたが、やがてぽつりと言う。
「いってらっしゃい」
 優しく、それでいてどこか切なそうに笑うカミューに、マイクロトフは気がつけば一歩踏み出して距離を再び詰めていた。不思議そうに見上げるカミューの両肩に手を置き、ゆっくりと口付ける。
「……いってくる」
 触れるだけで終わったキスの後にマイクロトフはぼそりと呟くと、くるりと背中を向けてドアに向かった。
 バタン、とドアが閉まるとカミューはのろのろと腕を上げ、己の唇に触れる。マイクロトフが残してくれたわずかなぬくもりを感じ取るとぎゅっと拳を握った。

 右手の紋章には主の命を奪うことのないよう。
 彼の愛剣には主の命を守るよう。

 故郷に伝わる古い言葉で祈りを捧げた。

「早く……帰ってこいよ」






長くてすみません……でも、まだ続きがあるのでそれは違うお題で。

2004/7/8


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