「凄いわね、この変わりよう…。」
   SOS団のメンバーは、この世界、少なくとも学園内にはいない。
唯一の手掛かりであるみくるは、物騒な事件で行方不明。
   「…私一人だけで驚いてるんじゃ物足りないわ!
一緒に感動を分かち合える子がいないとダメねっ!」
   よく解らない世界を相手に、後手後手にまわるのなんて面白くない!
SOS団も、なくなってしまったんじゃない。
自分(涼宮ハルヒ)がいる。
新しい団員は、また募集すればいい!
もうすぐ下校時間。
そう思ったハルヒは、すぐ様チラシを作り、
バニーガールの格好をし、校門前でチラシを配り始めた。
「イレブンのくせに」と罵られたって、ハルヒはくじけなかった。
   「私はイレブンじゃなくて、涼宮ハルヒ!SOS団の団長よ!」
   「な、なによ…あれ?」
   そこへ、だいぶ遅刻して学園へやってきたのは、
聖杯戦争に参加している魔術師、遠坂凜である。
彼女もまた、この異変が起きた世界へ‘やってきた’一人だった。
アーチャーの気配は消え、士郎やセイバーはいない。
いち早く異変に気づき、手がかりを求め学校に足を運んだ。
そこで、校門前でチラシを配る涼宮ハルヒと出会ったのである。
   「世界をおおいに盛り上げる為の、涼宮ハルヒの団…ですって?」
   凜は、昨日まで明らかにいなかった異質な女生徒の存在に、
なにか大きな異変を感じずにはいられなかった。
昨日までもこの学校に通ってた?と尋ねると、
通ってないという返事をするハルヒ。
   「ちょっと来なさい!」
   ハルヒの手を強引に引っ張り、凜は生徒会室へ。
生徒会長の一成に事情を聞くためだ。
しかし、おおよそ生徒会室とは思えない豪華な部屋にいたのは…
   「…色んな制服を見たいから、
制服っぽければ何着てきても自由☆
っていうのがそんなにダメ?堅いわね〜かなちゃんは」
   「…変な呼び方は止めて下さい。誰かに聞かれたじゃない…!」
   ご陽気そうな外人だった。
誰かと揉めているようだったので、よそをあたる。
あのハルヒを引っ張る強引さは、何が為せる技か。
弓道部には、幸い知人がいた。
友達の綾子と、勝手にライバル視してくる迷惑なクラスメート、慎二である。
   「…どうしたんだい?衛宮は、綿流しの夜に殺されたじゃないか」
   「え…?」
   凜が開口一番に訊ねたのは、何故か衛宮士郎の事。
しかし、返事は最悪なものだった。
   「また綿流し…?一体何なのよ…」
   みくるを行方不明にした綿流しの名が、また。
一方、凜は綾子が部長ではなく、
慎二が部長である事に腹を立て、喧嘩を売っていた。
士郎が死んだと聞いて、
腹を立てているという自覚があるのかないのかは定かではないが。
   「ふん、吠えてろ遠坂。僕はお前らイレブンと違って、名誉ブリタニア人なんだ」
   「名誉…ブリタニア人?」
   そこへ、その手がプロが登場。
ハルヒの声が聞こえ、校舎のどこかから飛んできたらしい。
   「呼んだ?」
   「…なに?このチビ…」
   「し…失敬な!一応、二人の先輩なんだよ!?」
   「あら?そうだったの?」
   ハルヒは、既にこなたと面識があるようだった。
こなたは流暢に、名誉ブリタニア人について説明した。
ブリタニア人というのがさっきの生徒会長のような外人で、
それに近付くと偉ぶれるようだ。
   「別に、本物のブリタニア人じゃないじゃない?アンタなんか」
   「物わかりがいいね。ただ単にえばりたいだけなんだよ」
   「権力の傘の下ってわけね。バッカらしい」
   「お…お前ら!言いたい放題言いやがって!!」
   怒った慎二は、部員に命令し凜をリンチしようとする。
   「ふんっ!馬鹿らしいわねっ!」
   隠し技の蹴りで応戦する凜。
運動神経のいいハルヒとこなたも、うっぷん晴らしに慎二に蹴りを食らわす。
しかし、人数的には劣勢。慎二は激怒し、
  「殺せ!イレブンなんか殺したって罪になるもんか!」 
   と言い放つ。果たして…
   
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