(11月21日)
「誰もいないんだぁ…。つまんないの」
野菊おばちゃんの家。
合い鍵を貰ってるから入れたけど、誰もいない。
夕方だけど、明かりをつけないと真っ暗に近い。
「えへへっ!こういうの、そそるなぁ…」
誰もいない。部屋も、真っ暗じゃないけど暗い。
こんな時は、露出したくてたまらなくなる。
「あぁ…!お洋服脱ぐのって気持ちいいなぁ!」
自分でも、気持ちよさそうな表情を浮かべているのが解る。
花びらがウズウズして、つい何か確かめるように触ってしまう。
「えへへっ!見てぇ?」
すっぽんぽんになって、花びらを広げるお決まりのポーズ。
勿論、誰も見ていないんだけど、普段生活している場所で全裸になるのは、とてもドキドキする。
「おばちゃんや、まゆっこが帰ってくるまでオナニーしてようかな…」
花びらをいじりながら、台所にやってきた。
全裸のまま、食卓の椅子に座る。
いつもはおばちゃんが座ってる席。
それだけで、なんかドキドキする。
「あれから、もう一年も経つんだなぁ…」
この席に座ったのは二度目。
いつもは向かいの席に座っているから、この椅子からの景色を前に見たのは、最初に座った時…。おばちゃんと初めて会った時だ。
ただ、同じ食卓の違う椅子に腰掛けただけなのに、凄く新鮮な景色に見えちゃうのって…私だけかな?
「おばちゃん、いい人だったな…」
花びらをいじりながら回想して、ウトウトしてくる。
おばちゃんとの出会いはネット。
私はそれまで、自分がしている行為が‘露出狂’だなんて知らなかった。
露出って言葉を知らなくて、なんなのか解らないまま露出していた。
私は、今よりちっちゃい頃から、ストレスを感じるとお洋服を脱ぐ癖があった。
幼稚園でも、いじめられた時にストレスで、気がついたらすっぽんぽんになったのを覚えてる。
でも、それを親にきつく叱られたので、やらないようにしていた。
「んん〜…よだれ垂らしちゃった…」
2年生の時、担任が嫌な先生になって、私はストレスを溜めていた。
私は親と一緒の部屋で寝ていて、一人になれる時は、学校の帰り道と休み時間、そして夜中オシッコに行く時だけ。
「あぁ〜ん…。今でも興奮するよぉ…」
帰り道。通学路のすぐ脇の、ちょっと崖みたいになってる草のしげみで、お洋服を脱いで全裸…。
一緒の学校の子達がすぐそばで帰ってるのに、私はすっぽんぽん。
おばちゃんに教わるまでは解らなかった‘オナニー’も、自然にしていた。
股間がムズムズして、いじりたくなって…。
休み時間も、みんなと遊ばず、あんまり人が来ないプールのそばで全裸になった。
どこまで危険を冒すか、ちょっとずつ校庭に行くチキンレースをしたり、
飼育小屋の動物達を見て、『私も動物みたい』って思ったり…。
夜中、オシッコに起きたら、全裸になってベランダに出たり、廊下に出て自転車にまたがったり、近所のスーパーのあたりまで行ってみたり…。
エレベーターに乗ったのが一番ドキドキしたかな。
行き先のボタン押さないで、止まったエレベーターの中で全裸でいるの。
誰かが呼んで動き出したら、すぐにそばの階を押して脱出!
これは、私の企画でヌーディスターの競技になっちゃったもんね…えっへん!
「えへへっ!武勇伝武勇伝〜♪」
ある日、わが家にパソコンがやってきた。
というより、デスクトップのパソコンは前からあったんだけど、パパの仕事用だから触っちゃダメ!って言われてて、今回はノートパソコンで、これなら私もやっていいって言われたからなんだけどね。
多分、エッチなのを見たら、どんなに痕跡を消しても、そのうちバレちゃうって知ってたから、チャンスは三回までって決めた。
最初はニコ生とかで、私の裸を見て貰おうとか思ったんだけど、私は別に裸を誰かに見せたいわけじゃなくて、『見てぇ!』ってしてる自分が好きなだけで、本当は誰にも見られたくないので遠慮。
検索ワードとかも残っちゃうって聞いたから、当たり障りがないけど、もしかしたらヒットするかも!ってキーワードで、何10ページも検索。
きっかけは『おもらし』。
これは、前の日わざとおもらしして、私が『この歳でおもらししてる仲間はいるのか?』っていうのを探してたって事にして検索。
すると、30ページを過ぎたあたりに…
「ヌーディスター、団員募集中…?」
ヌーディストって言葉を、図書室に行って国語辞典で調べたのを思い出した。
その頃の私は、学校では雨の日すら露出に行っていて、自分がしている行為がなんなのか知りたくて、辞書で裸関連で調べたらヌーディストって言葉があったのだ。
ちなみにその時、露出も調べてたんだけど、‘剥き出しになっているさま’としか書かれていない上に、カメラや植物の例えが書いてあったから、あんまりピンとこなかった。
そして、ヌーディスターのページを見た私は…
『あぁ…!凄い!なにこれ…」
ページには、当時唯一の団員だった野菊さんの、自画撮りの露出動画や写真があった。
過去ログには、旦那さんに調教されていた時代に撮られた過激な写真がズラリ。
私はあまりの興奮に、親がいつ買い物から戻ってくるかもしれないのに、全裸になり、花びらをいじりまくって…
「ひぃっ!怖い…!来る…!来るぅ!いやあぁぁぁっ!」
初めて絶頂を迎えちゃいました…。
今まで、外で花びらをいじってた時も、ある程度いじると、ここから先変になっちゃいそう…と思って、もし死んじゃったら嫌だから、いじりすぎないようにしてたんだけど…。
その時はいじり過ぎて、アソコがヤバいくらいに熱くなっちゃって、それでもいじるのが止められなくなっていたら…
「なにこれ…?私、死んじゃいそう!死んじゃいそうなのに…すごく気持ちいい…。どうしたらいいの…?」
怖かったけど、興奮はもっと止まらなくて…。
私は、ホットメールのアドレスを作って、野菊さんにメールをした。
『尊敬してます!仲間にいれて下さい!』
って書いて。
当然、私の歳だと相手して貰えないだろうから、大学生くらいの架空の姉を作って、名前は適当に作った。
そして、1日経ち2日経ち…。
返事を待ち望み、あんなにウキウキした事はなかった。そして…
「きたっ!きたっ!」
返事にはこうあった。
私が住所を書いていたので、近所の駅の喫茶店に、指定した格好で現れるよう指示があった。
それを見て、後日追ってメールするとの事。
「赤いマフラー…」
指示にあった赤いマフラーはあったけど…
私が直接行ったんじゃ、バレちゃう…
「私、背小さいので実際の年齢より若く見られます!」
そう書くのが精一杯だった。
そして、約束通り赤いマフラーで、最寄り駅の改札に一時間以上立ってて…
野菊さんらしき人を何人か見たけど、結局誰かは解らなかった。
指定された時間が塾の時間だったから、塾にサボりの電話入れちゃったし…。
この日はしょんぼりしながら帰宅。
どうせ返事来ないんだろうなあ…もう。
「きたーー!」
やった!
『確認させて頂きました。私の住所にまで尋ねてきて貰って構いませんか?お会いできるのを楽しみにしております』
ばんざぁぁぁい!
野菊さんの最寄り駅で待ち合わせ、という事で、改札の前で待ち合わせ。
どうしよう…?
大人だって言ってあるのに…

※画像準備中
「!…ち、着信…!」
野菊さんから電話がかかってきた!
「は、はい…。もしもし」
精一杯、大人っぽい声で出る。
思ったより大人に聞こえる。

※画像準備中
「今、着きました。どこかしら?」
え?今、もうすぐそばにいるの!?
「あ…」
キョロキョロしたら目があった。
野菊さんだ…
近づいてくる。
「えっと…。稲荷山早苗さんですか?」
それは、私のママの名前。
嘘ついたから怒られるって感じが頭をよぎって、本当ドキドキする。
「あ…あの!お姉ちゃんが早苗です!お姉ちゃんは…今日、風邪をひいちゃったんで、私が代わりにきました!」
「え…?」
また嘘ついちゃった…
「じゃあ、お姉ちゃんは今日来れないのね?」
あぁ…。このままじゃ、今日は解散になっちゃいそう!
せっかく会えたのに…
「ぐ…具合、もうすぐよくなるから、後から来るって言ってました!」
「…そう」
野菊さん、困ってる様子。
「…貴女、お名前は?」
「稲荷山あゆみです!」
「じゃ、あゆみちゃん。良かったらうち来る?野菜ジュースくらいしかないけど…」
「い…行きます!」
やった!
「うち、テレビゲームとかないんだけど…」
「大丈夫です!」
「解ったわ。じゃ、行きましょ」
野菊さんちは、駅からバスに乗った先にある団地。
バスの中では、架空のお姉ちゃんの事を最初何回か聞かれて、嘘がバレそうでヒヤヒヤしたんだけど、最後のほうは全部私の事を聞いてきてくれた。
憧れの野菊さんが、自分に興味を持ってきてくれるのが嬉しくて…。
あと、全裸じゃない、ちゃんと服着た野菊さんを見たのは初めてだったんだけど、凄く綺麗で品がいい人って感じ。
もしかしたら別人で、露出の事なんて聞いたら『とんでもない!』って全否定されそうで、なんだか怖くなった。
「ここが私のうち」
「お邪魔しま〜す…」
そこは、見覚えがあった。
野菊さんが調教されてた家。
この玄関も、縄で縛られた裸の野菊さんが横たわってた写真を見た事ある…。
「お姉ちゃんは、もうすぐきま〜す」
野菊さんと色々話して、少し安心感が出たのか、私は堂々と嘘がつけるようになっていた。
嘘ついても大丈夫そう、って感じ。
野菊さん、信じてくれたし。
「あゆみちゃん?」
「なに?」
「嘘はダメよ」
……
長い沈黙。
「嘘つきは泥棒の始まりって、学校で習ってない?」
「…習ってないです」
「…お姉ちゃん、ほんとにいるの?本当はいないんじゃないの?」
静かだけど、野菊さんの口調が厳しい。
怒るというより、とがめているような。
「…解んない」
「解んないじゃないでしょ?どっちなの?」
私は泣きそうになっていた。
「こないだ、駅に確認しにいったら、赤いマフラー着たあなたがいたわ」
「!」
「メール出したの、あゆみちゃんでしょ?ヌーディスターに入りたいっていうのも、あゆみちゃんでしょ?」
「…すみません」
「すみません、じゃなくて、あゆみちゃんなのか?って聞いてるの。違うの?」
「…違くないです」
「あゆみちゃんなのね?」
「…はい」
「なんで嘘ついたの?」
「…っ…ぅぇ…っ…!」
「言わなきゃ、私解んない」
「大人じゃないと…っ…入れてもらえないと…思ったから…っ!」
ぷるぷる震えて、泣き出しちゃった…!
だって…絶対そうだし…!
「お母さんは、この事知ってる?」
首を横に振る。
「ま、そりゃそうよね…」
野菊さんは、泣きじゃくる私を前に困った様子だった。
けど…
「あ…」
しゃがんで、抱きしめてくれた。
香水の匂いがする。
「…露出に興味あるの?こんなちっちゃいのに」
「露出ってなんですか…?」
「お外ですっぽんぽんになって興奮する事」
「は…はい!」
「そっか……」
また、長い沈黙の時間。
「ヌーディスター…入りたいんだ?」
「はい…」
「参ったわね…」
また、長い沈黙。
そして…
「ヌーディスターにはね…一つ決まりがあるの」
「はい…」
「お洋服を着てる時はね…?嘘ついてもいいの。さっきのあゆみちゃんみたいに。ただし、裸になったら嘘は絶対ダメ」
「うん…」
「それ…約束できるなら入れてあげる」
「約束します!」
「解った。じゃあ…裸になろうか」
「え…?」
野菊さんが、玄関なのにおもむろに服を脱ぎ始めた。
「あゆみちゃん、一人じゃ脱げない?お母さんに脱がせて貰ってる?」
「そんな事ないです!」
私も脱ぎ始める。
「はい…全裸」
「私も…」
裸で向かい合う、野菊さんと私。
目の前に、写真や動画で見たのと同じ、野菊さんの裸があった。
違うのは、見上げないと野菊さんの顔が見えない事くらい。
「うふふっ!」
「えっ…?」
「あがってあがって。きっかけとか知りたいわ」
ダイニングキッチンに通される。
「待ってて。お洋服、畳んでまとめておくから」
私は、椅子の一つに座って、野菊さんを待った。
この台所も本当に、動画とかで見たのと同じだ…。
「あ…」
写真立てが目に入った。
野菊さんと、男の人と、小さな男の子が映っている。
仲良さそうに見えた。
「あら。気になった?」
「あ…!す、すみません!」
「その人が、私を調教してた元旦那よ」
「…はい」
元って…
「で、私の息子。今は…あゆみちゃんよりちょっと弟さんかな」
「…離婚?」
テレビで知った言葉を投げかけてみた。
「別に不仲になったわけじゃないの。旦那が堅気な仕事になって、息子も物心ついてきたから、もうやめようって言われたの」
「露出をですか…?」
「そう。でも、私はやめられなくなってた…。露出して、調教されてないとおかしくなっちゃうくらい、体が開発されちゃってたの」
「それで…?」
「きっかけは、旦那の単身赴任なんだけどね。破廉恥な私の活動が見つかって、息子がイジメられても困るから、私が一人ここに残ったの」
「……」
「ほんと、しょうもない母親よね…?父親もだけど」
「…はい」
なんて言っていいか解らなかった。
ただ、自分の両親がもし離婚したら…って考えると、子供は可哀相だと思う。
「病院とかに行って、治そうとも思ったんだけど…。恥ずかしいし、なにより気持ちが暗くなって鬱になりそうで…」
露出するのは恥ずかしくないのに、病院でそれ話すのは恥ずかしいんだ…
「で、私は自分の露出調教サイトに、ヌーディスターって名前をつけて、募集したの」
「……」
「その第一号が、あゆみちゃんよ」
「えっ?私、第一号!?」
「うん」
しばし沈黙。
「よろしくお願いしますっ」
「は…はい!こちらこそ、よろしく…」
椅子の上に立って挨拶した。
「あいたっ」
「危ない危ない」
ぶら下がった照明に頭をぶつけて、ほこりがまっちゃった…
「あゆみちゃんの話、聞かせてくれない?どうして露出に興味を持ったのか…」
「はい!ええと…」
野菊さんに、これまでの経緯を話した。
「そっかぁ…。そうよね。その歳じゃ彼氏とかがきっかけじゃないわよね…」
「男子はバカってみんな言ってます」
「でも、ストレスが原因かぁ…。あなた達の歳の子も大変ね…」
「こんな風になっちゃったのは、私だけですけど…」
「そりゃ、露出好きなお友達なんて作れないわよね…」
「野菊さんが友達です!」
「え!?私…!?」
「はい!…あ、友達に…なって下さい、でした」
「うふふっ…喜んで」
「やったぁ!」
「ヌーディスターへようこそ。小さなお友達さん」
「頑張ります!」
野菊さんも、表情がくだけて笑ってくれるようになってきた!
ヌーディスター…ほんとに入れたんだ。
憧れの野菊さんと…
「エッチはまだなの?」
「は…はい!露出だけです…」
「でも、一人エッチは相当してるんじゃない?」
「一人エッチってなんですか…?」
「オシッコするとことか、一人でいじる事」
「あ…よくやります」
「やっぱり。最近の子はマセてるわね…」
「あ…。さ、最近…アソコをいじり過ぎたら、体がビクンビクン!ってなったんですけど…死んだりしませんよね?」
「え…?うふふっ…!そっか。それも知らないんだぁ。それはね?イクっていうの」
「イク…?」
「そう。私も動画の中で、イクイクって言って体を震わせてたでしょ?おんなじ」
「じゃあ…!私だけじゃなかったんですね…!よかったぁ!」
誰にも聞けなかった事が次々と解って、改めて自分がエロい事してたんだって解る。
「好きな男の子とかいないんだ…?」
「はい。2組のクラスの男子はハズレって、友達が言ってました」
「好きな子いないのかなぁ…。一人エッチは盛んなのに…」
「野菊さんが大好きです!」
「あらあら?レズなの?」
「レズってなんですか?」
「男の子より、女の子が好きになっちゃう女の子の事」
「別に野菊さん以外は好きじゃないなぁ…」
「あ、ちなみに私、レズプレイしてる動画もあったでしょ?旦那の友達の奥さんとしたんだけど…」
「あ…ありました!あれがレズなんだ…」
「興味あるんなら、見てみる?」
野菊さんがノートパソコンを持ってきて、ヌーディスターのページを開いた。
「なんか、自分のスケベ動画を目の前で見られるのって恥ずかしいわね…」
動画再生。
「うわぁ…」
思わず、アソコをいじり出す私。
動画は、野菊さんともう一人の奥さんが全裸でキスをしたり、お互いのアソコを舐めあったりしていた。
男の人の声や手が、時折入ってくる。
2人の旦那さんだ。
「この頃は、一週間に一度は旦那以外のチンポもしゃぶっていたわね…」
これが大人なんだ…
「今は、男の人とやったりするんですか…?」
「まさか。やっぱりあの時は、チンポ依存症っていうか、挿入依存症なんじゃないかと思うくらい、男を欲していたから」
「今は治ったんですか?」
「露出以外はね?」
その後も、野菊さんの露出動画を何個か見せて貰う。
私だけじゃなく、野菊さんも自分のアソコいじりながら見てる。
そして…
「あんっ!え…?」
急に、野菊さんの指が…私のアソコをいじり始めた。
「ちっちゃぁい…。私があなたくらいの頃は、触った事もなかったわね。汚いって教わってたから」
喋りつつも、野菊さんの指は、やみくもに動かす私の指なんかとは対象的に、
素早く色んな部分をいじって、私が喘ぎ声を出すと、そこを集中的にいじってくれる。
すごい…
「あはっ!あはっ!野菊さん、私…!」
「イクんじゃない?大丈夫だから…イッてみて…?」
「はい…!イキます!」
「私がイッた時を真似してみて?イクイクイクぅって」
「い…イクイクっ!イックぅぅぅぅ!」
ヌーディスターを初めて見た日以来、二度目の絶頂。
「可愛い…」
「んぅ…!」
「んぷっ…!」
「ぷはぁ…!」
キス…されちゃった。
「ごめんね。こんなおばさんがファーストキスで」
人生が変わった。
今までの日常が遠く思えるくらい、野菊さんを近くに感じた。
回想終わり
「あ、あれ…?ほにゃ?」
昔の事を思い出していたら、いつの間にか寝ちゃったみたい。
「あ、起きた?」
真結がいつの間にか来ていたみたい。
「あれ…真結。悠子は?」
「今日は生理だから来ないって」
「へー…」
「べ…別に、彼女だからって悠子といつも一緒ってわけじゃないんだから…!」
いつも2人セットでいるから忘れがちだけど、一人でいる時の真結さんは結構印象が違う。
一生懸命強がっているけど、一人だと不安でキョドり気味。
きっと、元旦那さんに調教されていた時も、なんでも言う事聞いちゃう弱気な人だったんだろう。
だからこそ、そんな真結さんに勇気をくれる悠子さんとの出会いは、いいものだったんだろうなぁ…と思う。
「なに、人見てニヤニヤしてるのよ?」
「別にー」
お姉さんぶろうとする真結さんは、結構可愛い。
完全、年上オーラな悠子さんとは違って、頑張って年上ぶろうとしている感がある。
「なんか夢見てた?」
「あ、あー…」
「裸で見る夢って、やっぱ淫夢?」
「…淫夢かなぁ。ただ、私の人生を振り返ってただけなんだけど」
「ふ〜ん…」
こんな時、『お前、人生っていうほど生きてないだろ!』とかツッこんでこないあたりに、真結の弱気ながらの優しさを感じる。
「私の人生、ずっと淫らだから」
「そうだよね〜。さすがの私も、あゆみちゃんくらいの歳の頃は、まだエッチすら知らなかったよ」
「野菊さん…憧れだったんだー。いつから、単なるおばちゃんに格下げされたんだろ?」
「ひっどーい、あゆみちゃん。野菊さんは露出界のカリスマよ?」
「なんだろうなぁ…。私のほうがカリスマな気がする」
「こぉら。けど、野菊さんがもし引退したら、二代目はあゆみちゃんかもね」
「真結はやらないの?二代目」
「野菊さんが言ってたよ?私達の中で、彼氏や旦那の影響以外で、
自主的に露出に目覚めたのはあゆみちゃんだけだって。あゆみちゃんは、次世代の露出狂なんだよ」
「次世代の露出狂って言葉、なんですか?」
他愛のない話が続く。
やがて…
「ただいま」
「お帰り〜」
「お邪魔してま〜す」
野菊さんが帰ってきた。
「あら、あゆみちゃんその席座ってるの?」
「どいた方がいい?」
「全然。…その席にあゆみちゃんが座ってると、一番最初に逢った時の事を思い出すなぁ、と」
「え!ほんとに!?私も私も!」
思わず、野菊さんと顔を見合わせた。
「あ…解ったかも」
「え?なにが?」
「私が、野菊さんを、カリスマからただのおばちゃんって思い始めた理由」
「ひどいわね〜。カリスマかどうかは知らないけど、私はまだお姉さんのつもりよ?」
「あのね…」
「うん」
「顔つき」
「顔つき?」
「私が、昔ヌーディスターのサイトの動画とかで見た時の野菊さんはね?
なんか従う事の快楽に満たされてたような気がしたの。ここ以外に、私の居場所はありません!って感じで」
「む…むぅ…」
「でも、今の野菊さんは、もっと安心した顔つきになってる。不安の中の快楽って感じの顔じゃないんだ」
「…ほえー」
「…大した観察力だこと」
「違うかな?」
「ぶっぶ〜!」
「えぇ〜?嘘〜!」
「だって、露出は不安の中で快楽を得るものでしょ?それに…ね」
「なんですか?」
「あんた達が不安で不安で、とても安心できないわよ」
「ひっど〜い!どこが不安なわけ!?」
「全部全部」
「ショック…」
「べーだ!」
なんだろう…?
ムカついてるはずなのに、なんか私…喜んでる。
なんでだろうなぁ…
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