(10月29日)
「ねぇねぇ?」
「……」
「無視かよ!」
「どうせ、ロクな事じゃないし」
「ねぇねぇ?」
「……」
「最近、私が優の彼女だって事、すっかり忘れてるよね?」
「ぶっ!」
「だよね〜?最初は、恋人の前以外では全裸にはなれない!とか言ってたのに、もう普通に全裸だし」
「あれ、なんだったの?」
「う…うるさいわね!日本人はなんでも形から入るっていうでしょ!…それよ」
「よく解んないね〜」
「ね〜?」
「ふん!」
「今はもう恥ずかしくないんだ?」
「恥ずかしいわよ!だから、いつも隠してんじゃない!」
「いじってるんじゃないんだ?」
「ごつん」
「いったぁ〜い」
「優衣菜をいじめるな!」
「あんたでしょ!いつも優衣菜ぶってるのは!」
「あれ?いっけね〜」
「舌出すなよ」
「ただいま〜」
「うっす」
「お疲れ〜」
「ねぇねぇ、優?今でも彩花の事好きなの?」
「は…ハァ!?誰があんな奴!」
「……」
「あぁ!彩花が、明らかに聞こえてたのに、聞かなかった事にしようとしてる!」
「ひっど〜い!本人を目の前にして言う事!?」
「だって…こいつ、いっぱい浮気したし」
「ゆ…優だって浮気してたじゃない!?しかも、お互い別れた後なんだから…いいじゃない?」
「彩花の浮気相手って、やっぱマディソンさん?」
「信者と次々に不倫不倫〜」
「ちょっと!ちょっと待ってよ!確かに色んな信者の子とエッチはしたけど…いわゆる恋愛までいったのは…」
「いったのは?」
「詰まるって事はいるんだ?」
「まあ…。まあ…」
「聞きたいなぁ〜。さぞかしセレブな恋愛だったんですか!?」
「教祖さまだもんね〜。なんでも言う事聞かせてたんでしょ?」
「違うと思うわよ」
「え?…なに?意外なところから返事が」
「こいつと恋愛すると、凄いなーって一面じゃなくて、しょうもないなーって一面ばっかり見えてくるのよ」
「ち…ちょっと!」
「おぉ〜!経験者は語る」
「気になるなぁ…。彩花ってどんな所がしょうもないの?あ…トイレ入る時、ドア閉めないとか」
「閉めてるでしょ!なによそれ!」
「彩花はね…とにかく甘えん坊なのよ?隙あらばすぐ甘えちゃうの」
「う…」
「あ。‘う…’って言った」
「そうなの?あんまり見えないなぁ。たくましくて、なんでも一人でできそうな感じだけど…」
「全然。彩花は、勢いと発想だけで動いちゃうおバカさんよ。昔っからそう。知識とかは他人任せ」
「そうなの!?」
「いつもエラそうに、なんか語ってるのに〜?」
「…今日の優は機嫌が悪い」
「ほら?すぐそうやって、人のせいにする。ほんと、2人っきりの時はまだしも、みんなの前でまで私に甘えちゃうなんて…」
「…お姉ちゃんがドSに見える」
「…じゃ、私仕事あるから二階に上がりま〜す。じゃあね〜」
「あ…」
「放っておいてあげて。あの子、一人で黄昏れるのが大好きだから」
「春日さん…なんか怖い」
「あの子の事は知り尽くしてるから…ついつい言葉がきつくなっちゃうのよ」
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