(10月28日)
「はぁ〜ぁ…。なんか地味に寒くなってきたねぇ」
「体育が憂鬱になる時期です」
「足出してるもんね」
「温泉とか入りに行きたくない?」
「全然」
「なんでさ?」
「お風呂って、嫌いじゃないけど好きでもないなぁ。お湯につかってると、あと何秒で出れるかしか考えない」
「子供でちゅねぇ〜」
「今日は群馬県民の日らしいわよ?群馬と言えば?」
「温泉じゃん!草津とか」
「優衣菜、草津温泉行った事あるけど…なんか臭くて微妙だった」
「ごつん」
「いったぁ!」
「贅沢な。あの匂いとか色があるから、温泉だぁ〜って感じがするんじゃん?」
「こんばんは」
「あれ、片割れは?」
「第一声がそれ!?片方は番台なんだから、2人とも抜けられるわけないでしょ?」
「いや〜、双子はやっぱりいつも一緒じゃないと」
「超偏見です」
「何しに来たの?」
「晩ご飯頂きに」
「ただ飯かよ」
「あんたが言わないの。代わりに私のお風呂代タダにして貰ってるんだから」
「ご飯まだー?」
「もうちょっと。ていうかあんた達、食器くらい並べなさいよ!」
「さあさ、話話」
「有希は温泉って好き?職業柄、お湯にはうるさいんじゃない?」
「そうね。一応うちのお風呂は、井戸水を薪で沸かしたりしてこだわってるし。
温泉も滅多にいけないけど、お客さんとかがよく話してるから、詳しいわよ」
「じゃあさ!じゃあさ!秘湯とかある?みんな知らないけど、ここ凄ぇみたいな」
「じゃあ、せっかく群馬だから群馬縛りで」
「群馬で?…ええと…。あー、あるある」
「凄いな。本当にあるんだ」
「川原湯温泉って言うんだけど…」
「どれくらい秘湯なの?」
「もうすぐ八ッ場ダムに沈みます」
「マジで!?」
「そりゃ秘湯だな…。もうすぐ入れなくなっちゃうかもしれないんだ」
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