(10月24日)
「信者の身辺調査は…今もしてるの?」
「ええ。まあ、エロい事好きで入ってくる人の方が多いけど、のぞみのような理由で入ってくる人の割合も多いわ」
「なんか、そんな重い事情を抱えた人と、ただエロい事したくて入ってる人が一緒でいいのかなぁ?」
「心の悩みを持った人同士が繋がるのは、とても大切な事だと思うわ。
けど、そういう人達だけじゃ、どうしても暗くなってしまうの。だから、丁度いいのよ。明るい人も大勢いた方がいいの」
「でも…心の悩みを持った人の多くは、みんなに当たり前にある物がないって人が多いわ。
それが、当たり前のものを全て持ってる人達と付き合うのは…苦しい事かもしれないわよ?」
「無神経な事言っちゃうかもしれないもんね〜。そういう人って」
「静香とかね〜?」
「だから、愛し合うようにって規則を作ったの。お互いを他人だと思わず、利害を考えずに深く知る…。それが愛するって事なのよ」
「ふ〜ん…。愛ねぇ…」
「勿論、合わなくて辞めていく人もいるけどね?ただ、私は必ず誰にも、愛して愛されるって経験をしてほしいの。
そのために、男女の恋愛より既成概念が少ないレズを選んだの」
「まあ、普通に考えれば女が女を愛する事なんて、もっとも難しいと思うけどね…」
「それを簡単にしちゃったのが、お前か」
「いや〜恐縮っす」
「少しは自重しろよ!」
「急に軽くなったし」
「たまには報われた〜い!」
「報われてないのかよ」
「まあ…。のぞみが昔言ってた事だけど‘人は所詮、自分の幸せを守る事が最優先’って事だから。私は、それが事実だと思ってるわ」
「それが愛なの?」
「本当はそうじゃないんだけど…現実は、お金や精神面で余裕がある人が世の中の先導をしてるのが常よ?それは母淫も同じ…」
「まあ…いいんじゃない?それでよくやってるんだから、彩花は」
「けど…その中でのぞみを救えるのか、のぞみの気持ちが解るのか…と聞かれたら…」
「NOかも知れないわけかぁ…」
「なんだか大変だぁ…」
「…ねぇ、優衣菜?」
「なに?」
「私達も…のぞみが言う通り、自分の幸せが最優先なのかな…?」
「う〜ん…。彩花がみんなそうって言うなら、そうなんじゃない?よく解んないけど」
「しょうが…ないよね?私達じゃ…のぞみになにしてあげたらいいかなんて解らないし…」
「彩花でも何も出来なかったんだから、私達なんてもっと何もできないよ?きっと」
「そう…なのかな…」
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