(10月13日)(美沙の実家)
「ふぅ〜。これで全部?」
「うん、全部…かな?ありがとう」
「じゃ、車出しちゃいま〜す」
(3人のシェアハウス)
「これで引越、ほぼ完了ね?」
「助かりましたぁ。車使わせて貰って…」
「学生の引越って言ったらこうでしょ?引越屋さんに頼んだらお金かかるし」
「今日は引越の日らしいから、縁起もいいしね」
「引越の日?こんな時期に?」
「引越と言ったら3月とか4月じゃないんすか?」
「さあ…。でも、閑散期は安いわよ?」
「ま、使わなきゃこうしてレンタカー代だけだから」
「ありがとうございます。いくらですか?」
「いいっていいって。本当は兄貴に車借りようと思ったんだけど、親に知られちゃったらしくてさぁ…」
「私も天野も、レズだってカムアウトしたら、親に総すかん食らった系だから。伊藤は?」
「諦めてくれたっぽいですけど…早まるなって言ってました。これから男の子好きになるかもしれないし…って」
「あるある、それ。私も言われた」
「無駄なのにねぇ…」
「そんなに無駄って、はっきり言っちゃえるんですか?」
「だって、遺伝子がもう女を好きだし。普通の男がホモになるくらいあり得ないわ。ねぇ、佳奈?」
「そうじゃないわ」
「え?」
「私はレズに世界の未来を見つけたのよ?やがて母淫を乗っ取り、
レズのカリスマになってみせるんだから、その目標の前に、男に頼る人生なんて陳腐極まりないわ」
「あー…はいはい。やっぱりそういう話ですか、佳奈は…」
「変わった人ですね…」
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