(10月11日)
紗都摩だ。
あれは、私が男と偽ったまま、初めて母淫の幹部と顔合わせをした時だった。
母淫は設立してまだ1ヶ月。
皆は全裸で、私は男なので服を着ていた。
「むきぃぃぃ!男は出ていきなさい!汚らわしい!」
「やめなさい、和奏。彼は信用できるわ」
「彩花さま!母淫に男性信者など、言語道断です!女性信者の信用が得られません!
母淫は女性だけの組織!男の力を借りるなど、戦う前から屈しているのと同じだわ!」
「ふむ…。まあ、一理あるけど、それは理想論過ぎるわ。
私達は母淫を現実的に大きくしていかなくちゃいけない。だから、男性信者も必要だわ」
「だいたい、世の中の半分の人間は男なのよ?そこ排他的になったら、大した未来なんて来ないわ」
「レズ=男嫌いなんて人もいるけど、私はそんな価値観じゃ負け犬にしかならないと思うわ。別に好きじゃなくてもいい。
協力者やお客を性別でまずこちらから選ぶなんて愚か過ぎる。もっと人を見なさい、和奏」
「むきぃぃぃ!男なんて死ね!死ね!」
(バタン)
「あ〜あ…またトイレいっちゃったわ…」
「ごめんなさいね、紗都摩さん」
「いえ…。俺も、男なのに母淫に迎えてくれるとは思わなかったから…。お二人の寛大な心に感謝している」
「和奏みたいな人は、レズだけじゃなく、レズ好きな男の人にも多いって言うわ。
排他的な中で生まれた価値観なんかに、大した未来はないって言うのに…」
「まあ、こんな感じで色々大変な組織だけど、よろしくね?肉体関係は無理だけど、私達と裸とレズプレイは見放題だから♪」
「こ…光栄だ!や…やったぜ!」
「……」
そして、私とマディソンはその日旅館に泊まった。
マディソンがホテルじゃなく旅館がいいというので泊まったんだが…
同じ部屋になった。
「男の私と同じ部屋で…いいのか?」
「だから、私は男嫌いじゃないって。チヤホヤしてくれるんなら、大好きだから。
こんな私でも興奮してくれるんなら万々歳。あ、けど肉体関係はダメよ」
共同のお風呂に行く時には、困って…
「あら?一緒に入らないの?私、気にしないわよ?」
「や…やはり、男のイチモツを見られるのは…ちょっと…」
「ひょっとして、小さいから気にしてるとか?」
「そ…そう!男はそこにプライドがあるからな!」
「別に笑ったりしないのに…。じゃ、先入るわね?」
浴衣も頑なに着ない。バレてしまう。
やはり、ネット上では偽れても現実だと無理があるのか…!
そして、夜中。
布団の中で…
「マディソンは、寝る時は昔から全裸なのか…」
「そうよ?うちの家族、ヌーディストだから。母淫に全裸の決まり作ったのも私なのよ?感謝してよね?」
「あ…あぁ。ヌーディストか…。日本じゃちょっと信じられないな…」
「……」
「…おやすみ」
「……」
「…ひゃあ!」
突然!私の股間にマディソンの手が伸びてきた。
「…日本の侍は嘘つきね?」
「え…?」
「おかしいと思ったのよ?彩花、和奏、私、三人の裸を見ても、あなたの股間は全然テントになってなかった」
「!…や、やめろ…!あっ…」
「正真正銘の女性器発見。もう言い逃れはできないわよ…?」
「す、すみません…」
「なんで男って名乗ってたの?理由を聞かせて?」
「…男のほうが、色々優位な目線でものを見られるから。
それに…私はレズじゃないので…男になりきった目線なら、お三方で興奮できると考えました…」
「興奮できた?」
「はい…」
「でも、もう一つ理由があると見た」
「うわっ!」
私の布団を引っ剥がすマディソン。
私の上に、全裸のマディソンが…
「男って偽れば、私達とエッチしなくていいと思ったんでしょ?母淫はレズエッチ大歓迎だから」
「……」
「レズとして体は絡ませたくないのに、男として興奮しようとした。いわゆる、むっつりスケベね。処女と見た」
「き…きゃあ!」
股間に手を入れられる。
「トランクスの中に、まさか女性器があるとは…秘宝を見つけた気分だわ」
「や…やだぁ…。いやぁ…」
「これ…さらしっていうの?随時、お約束ね…?あら、小ぶりだけど立派なおっぱい」
「ま…マディソン…。許して…。他のみんなには言わないで…」
「やぁだ。嘘ついてた罰として…私とSEXして貰うわ」
「む…無理だ!私…レズじゃない!」
「私だってレズじゃないわよ?メールで書いたでしょ?男に頼らず女という性で成功する。
レズはその象徴となり得るし、なにより初芝彩花を愛してしまった…って」
「な、なら…私なんて…!」
「既に和奏ともSEXしたから…貴女が三人目ね?嬉しいわ…喜びなさい?貴女、女だから私とSEXできるのよ?」
「あんっ!恥ずかしいぃ…!」
「私だって羞恥心はあるわよ?けど、羞恥心を利用して楽しむのがSEXなの。
特にレズは…ほぉら?貴女と同じ…私も女性器があるのよ?」
「ハァ…ハァ…」
「女性器を舐め合うのよ。私がするんだから…貴女もするわよね?」
「んっ…わぷっ…」
それが、私の初体験…。
マディソンは、私が男と偽っていた意図を全て見抜いていた。
そして、それが現実逃避と、自分だけ優位な位置にいたがる人間の弱さだと…。
「紗都摩…私達に言ってたわよね?‘女だからこそ、女という性に誇りを持ってほしい’と」
「はい…」
「その言葉、まずは貴女から実践しなきゃね?」
…情けなくて、涙が出た。
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