(8月14日)
「…おばあちゃんが亡くなったんだ」
「あっ……」
「優衣菜?」
「優衣菜には前話したっけ…」
「うん。認知症だったんでしょ」
「…そっか」
「私、おじいちゃんが認知症になって亡くなるまでの間も…親が施設に入れたのが気に入らなくて…。
私、おばあちゃんっ子だったから、おばあちゃんにも同じ事した時から…仲悪くてさ!親とっ…」
「それで、亡くなられたのがきっかけで大ゲンカか…」
「…分かんない。戻ったほうがいいのかもしれない。だけど…」
「戻りたくなさそうね」
「いいじゃない?親なんて所詮その程度のものよ。特に歳とった親は子供の意見を端っから理解できなかったりするし」
「学校はどうするの?」
「…分かんない。辞めよっかな。高校中退…」
「中卒か」
「私の学校、どうせ偏差値低かったし…」
「貴女が決めるなら、何も反対はしないわ」
「…意見とか聞けない?私だったらどうする…とか」
「…そうね。親身になって考えてあげられればいいけど…」
「私は家出賛成よ。そもそも貴女、親がレズに理解示すわけないって言ってたじゃない?いい機会よ!今の若者は、機会を作らな過ぎ!ぶひィィ!」
「さすがBBA」
「ぶひィィィ!私はまだ若いわ!」
「私も賛成…かな。親に頼らないっていうのは、大変な人生になるけど、その分自分のやりたい事は何でもやれるわ。親離れしないまま歳を取り続けるよりいいかもしれない」
「おっ。賛成2票」
「じゃあ、私は反対」
「さすがひねくれ者」
「うっさい!…そうね。親は一応ここまで育ててきてくれたんだし、家出するにしても期間を決めるとか、制限付きで関係を維持できるよう話し合うのも手かもしれないわ」
「へぇ〜…。留年みたいなもんか」
「じゃあ、優衣菜も反対…かな」
「じゃあってなんだよ!」
「う〜ん…。親ってまだ利用価値あると思うんだよね。家とご飯はタダでくれるし、学校だって行かせてくれるし」
「利用価値って…」
「管理下にいるフリをして、利用するだけ利用した方が得なんじゃないかな?ウソいくらついて騙したっていいし」
「優衣菜!」
「いったぁ〜い!でもホントだよ!」
「まあ、社会に生きてる以上、人間何かしらの管理下にはいるわけだから、必ずしも間違ってはいないわよね…」
「静香は真面目なのよ。ちゃんと親を大切にする気持ちがまだある。分かるわ」
「じゃあ、2対2か…。いよいよ最後の1票です!冬木さん!」
「興味ないわ」
「ええっ!」
「意見を述べる価値もない。自分で決めれば?じゃ…」
「ひ…ひどひっ!」
「…でも静香、ほんとにこの投票結果で決めようとしてたでしょ?」
「うっ…鋭い」
「それはダメよ。私達に後で文句言われたって困るもの」
「考える時間あげるから、ゆっくり考えて」
「静香のこと、心配して言ってるんだよ…私。心を鬼にして」
「ホントかよ…。は〜い…じっくり考えま〜す…」
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