(8月6日)
瑞季よ。
私の母、聖子は一人じゃ何も決められない女。私は自分の父親も分からない状態で、タチの悪い男達の愛人のいいなりになった母が、
お金と引き換えに淫らな行為をしているのを、毎日のように見て育ってきたわ。
だから、母が気持ち悪い。
憎くて憎くて仕方がなかったの。
私が男達に犯されそうになって、やっと逃げ出してくれたんだけど…
母が憎くて仕方なかった私は、つい手をあげてしまい、暴力を繰り返し、殺す直前までいってしまったわ。
私を犯罪者にしないため、母は私を拘束し…
「ね?瑞季のマネ?」
「…顔マネやめてよ」
「超似てね?」
「マジうける!瑞季で〜すって言って、写メ撮っとこ?」
「やめてよー!」
長年、愛人に調教されていた上、母淫というレズ宗教にハマった母は、私に性的慰めを要求してきた。
本当に気持ち悪くて、人間とさえ思いたくなかったわ。
そして、私はある日、母の拘束から解放される事になる。
以前、母のギャル友として私の家に来た唄子と、彼女の友人である冬華によって。

(回想)
「ダイジョブ?マジひでぇ…。鬼だわ、あのババア」
「な…なんであんたが…。私をどうする気だよ…?」
「知らねー。唄子に聞いて。私、マジねみぃ…」
「昨日、冬華とカラオケでオールしてたら、聖子の話になって、あのババアマジやばくね?って言ってて、なんかムカついたから乗り込んでみた」
「乗り込んでみたとか、マジウケるんですけど!」
「だって、このマンションセキュリティー甘いし、聖子はどうせ朝帰りだべと思って」
「あ、服とかこれどう?ね!ちょっと来て来て!これ、マジセンスやばい!」
「なになに!声でけぇんだけど」
「……」
私は唄子と冬華に助けられて、冬華の家で泊まらせて貰うことになった。
俗に言う、家出少女。
「私んち、私が何してもなんも言われないんだよね〜」
「完全無視だよね〜。だから溜まり場にできるんだけど」
冬華の部屋は荒れ放題で、ビールやタバコ、あれなハーブとか、とにかくやりたい放題の空間って感じで、
親とほぼ絶縁状態の唄子は毎日のように来るし、私も家には帰りたくないから、毎日ここで暮らす。
「家出少女の吹き溜まり」と冬華は呼んでいて、私の他にも家出少女はもう一人いたわ。
「あぁん!冬華ぁ!お尻に…してぇ!」
「何で私なんかがいいわけ?レズってイミフ」
きららさんって人で、冬華の同級生らしい。
いつも全裸で、大人のオモチャで自分の裸を弄んでおり、冬華にはレズ行為を迫る…。
母のトラウマがある私にとっては、生理的に気持ち悪い人。
おとなしくて引っ込み思案な性格なのに、冬華のプロデュースなのか、
肌は真っ黒に焼いて、ギャルメイクしているのが、なんともアンバランス。
「遊びいかね?クラブとか行ったことあるっしょ?」
「え?…ええ。わかったわ…」
ギャルのメイクやファッションこそしなかったけど、私は学校も行かず、唄子や冬華、きららと一緒に、毎日のように遊んだ。
唄子や冬華はとにかく刹那的で、誰にでもすぐに絡んで仲良くなるし、遊びの天才だと思った。
けど、唄子が強姦された経験があるため、一緒に遊んだ男子との性行為は、はっきり避ける。
場が完全にしらけて、険悪なムードになるのに、それすらも楽しいみたいで、ケラケラと笑っていた。
男子とはしゃいで、ヤラなかった日は、たいがい冬華の家で‘大人のオモチャ’パーティーが始まる。
しかし、性的なものにトラウマがある私は、参加しなくていいと言ってくれていた。
「あはぁ!冬華、マジエロいわ。きららよりエロくね?」
「きららよりエロかったら、私ヤバいんですけど」
「ンチュ…ンチュ…!」
「めっちゃ活き活きしてんじゃん、きらら」
「きららは私のコマン専門なの!唄子にはやんねぇから」
三人が乱れている声を、部屋の外の廊下で、窓に手を置いたまま、ぼんやりと聞いている私。
時間は朝9時。
母に拘束されて以来、随分と学校には行っていない。
空が青かった。
冬華や唄子は、タバコを薦めてくれるけど、私は吸わなかった。
「…私って、ウソつきなのかな…」
唄子や冬華は、感情的で常に自分を出している。
なのに私は、そんな裏表のない2人に、いつも気をつかわせている。
2人は、私なんか構ったって楽しくない人間だって分かってるのに…
「お、ごめん」
「きゃ…!」
部屋から、半裸で汗だくの冬華が出てきた。
タバコだけ持って。
一服吸いにきたみたい。
「…ふぅぅ。セックスの後のタバコ、マジ旨いわ」
「…女の人がタバコ吸うと、男子がヤな顔するわよね」
「そんなの関係ねぇ!……はい、寒い〜」
「冬華さんはレズなんですか?」
「さあ?でも、唄子が男子にトラウマあんじゃん?なのに、私だけ男と付き合ってんのってヤじゃね?と思って」
「……」
「……」
沈黙も、私にとっては心地いい。
ほんと、私は冬華達に気を使っていないのね…。
気を使って貰ってるくせに…。
…私の母も、きっと私にたくさん気を使ってくれていた。
なのに、私は母に気を使ったことはない。
あるといえばあるけど、それは愛人らに犯され、私を助けてくれなかった母に対しての時だけ。
意を決して、私を助けてくれた母に、なんで私は感謝せず、暴力まで振るって、当たり前って顔をしてたんだろう…?
「…冬華はさ?演技ってしたことある?」
「え?……親の前での私は全部、演技かな」
「……」
「あれは偽者。本物の私はこっち」
…なんだ。冬華だって…裏表あるんじゃん。
親には完全演技なんじゃん?
だったら…
「私、お母さんと仲直りしてみようかな。演技で」
「は?…聖子のババア?」
「そう。あいつ、私一生許す気ないから…演技で仲直りして、騙してやろうかなとか思って!超ウソついてやろうって!ね?どう?」
「え?…いいんじゃね?…うん。瑞季がやりてぇんなら」
「そっか…!」
腹は決まった!あとは…
「…キスしていい?」
「誰に?」
「あんたよ?んぅ…っ!」
「!…ンチュ…ンチュ…」
タバコの味と臭いがした。
冬華のアソコをいじる私。
自主的に、性的行為に及んだのは初めてだった。
「ぷはっ!…エロっ」
「…嫌だった?」
「イミフって感じ」
「うん…。じゃあ、意味伝わるように言うわ。愛してる…」
「マジ…?あ…あんっ…!」
冬華だけじゃなくて、唄子もきららも…
私が全てをさらしていい相手なんだから、愛してあげたい。
お母さんなんか一生愛してやんない。ずっと騙して続けてあげる。
本当の私を見て…冬華。



そして、私は家に帰った。
帰りがけのブックオフで買ったマンガを見て、これだ!と思って、決めて。
「帰ったぞ」
「!……」
「おかえりくらい言ったらどうだ?クソ女め」
「…おかえりなさいっ…!…っ…!」
完全な演技と割り切れる口調と性格にして、憎き母と対面。
母は全裸だった。例の母淫という宗教にハマりきってしまったんだと思う。
哀れだった。
母はポロポロと泣き出していた。
正直、見ていられないわ…
演技が解けてしまいそう…
「尻を出せ」
「へ…?」
「へ、じゃない。尻をこっちに向けて、コマンを広げろ。淫乱な人生で私をめちゃくちゃにしたお前になら…できるはずだ…っ!」
「…はい、喜んで」
幼い頃何度も見て、トラウマになった、母のヤラしい姿。
それを自分の命令で見る。
母はこういう人間なのね…
娘の私にさえ、喜んで従う弱い女…
瑞季「背中から抱いてやるから、喘いでいろ」
私も全裸になった。
母と体温を感じ合いたくて。
匂いを嗅ぎたくて。
母が私を連れて逃げ出したあの日も、全裸でこんなことしたっけ…
「あぁん!瑞季ぃ…!瑞季ぃ!」
私は、泣いていた。
母が背中を向けているから、泣けた。
けど、母が私の名前を呼んで甘えてくるのが…少しだけイラッとする。
もう甘えた声を出して…。私は一生、貴女を許す気はなくて…
帰ってきたのも全部ウソ。全部演技なのに…
「……」
この人は私唯一の家族。
だけど、私の家族は冬華達のような気がする。
そして、冬華達と私の家族になら…母が入ってもいいかもしれない。
ううん。家族になってほしい…。ほしいのよ…聖子。
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