(7月29日)
(海辺の公園)
「……」
「またここにいたのね?のぞみは?」
「今日はフラれちゃった」
「隣り座っていい?」
「ご自由に」
「ここからの夜景、きれいよね…」
「買い物の帰り?」
「ご覧の通り。帰り、片方持ってね?」
「……」
「…キスしたいな」
「ダメ」
「んぅ…!んちゃ…」
「んぷっ…!」
「ぷはっ…!」
「なにすんのよ!ダメって言ったじゃない!」
「でも、抵抗はしなかった」
「…バカ」
「どうせまた、漠然となんとなく落ち込んでたんじゃない?」
「…そんなことないわ」
「漠然と落ち込むのって、優の生き方に必要なことじゃなかったかしら?」
「…あの時のこと、蒸し返さないでよ」
「思い出すの嫌だった…?私に泣きついてきた時のこと…」
「嫌じゃないわ。むしろ、記憶があいまいだから、思い出そうとしてる…」
「あの時は優は可愛かったわ…。ほんと、抱きしめたい女って感じで」
「…もう二度と会わないと思ってたのに」
「…私も自分を戒めるために貴女と別れたけど…。どんなに立派になったって、やっぱ女は恋してないとね?」
「…ありがとう。でも、今の彩花だったら、もっといい女…見つけられるじゃない?なんで、私みたいなクソニートを…」
「…私、初恋を信じてるの」
「初恋…?」
「一番胸いっぱいで、一番切ないのが初恋。私は優に恋してれば…一生、初恋に捕らわれた女の子でいられる気がして」
「そのうちババアよ。多分、あっという間に…」
「だからいいのよ」
「…彩花」
「なに…?」
「んぅ…」
「んぷっ…」
「ぷはっ…」
「…久々にキスされちゃった」
「…彩花のくせに生意気よ。色々と…」
「あら。じゃあ、優が泣きついてきた時のこと、みんなに話しちゃおうかしら?」
「…やめて。絶対みんなひくから」
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