(6月14日)
「優衣菜が自然教室行っちゃってるから、退屈だなぁ…。
今日もえりるい読むしかないか」
(放課後)
「もう瑠衣とは別れろ。金輪際、関わるんじゃねぇ!」
「くくくっ!そうやって親友気どりしてるのが、貴女程度にはお似合いですわ。綾」
「なんだと…?」
「瑠衣の友達を自負してるらしいじゃない?けど…貴女は瑠衣に何をしてあげて、私の前にそのツラ出せるのかしらね…?」
「ごちゃごちゃと…!」
「いいますわよ、ごちゃごちゃと。貴女の家…お金持ちじゃない?両親とは仲悪いみたいだけど」
「…それがどうした!?」
「そこからして愚かですわ。親と仲良くして…金銭的得は多々あれ損なんかない。お金もコネも、貴女はつまらない反抗心で捨てた。
それが私にとって、どれくらい大した事ない人間に映っているか…知って恥じるべきですわ」
「てめえのその物の見方が腐ってんだよ!」
「腐ってなんかいませんわ。私は、瑠衣をお金で救った。しかも自らのお金で。貴女にだって…親のお金で瑠衣を借金から救う事はできたはず…?」
「そんなの…ダチがする事じゃねぇだろ!相談くらいは乗ってやったけど…それ以上の事なんか…」
「だ・か・ら!貴女は所詮その程度の人間なんですわ!瑠衣と同レベルの貴女が、相談なんかされて瑠衣を救えるわけないじゃない!?
所詮…人を救うにはお金、知恵、コネ…そういった‘資本’が必要なんですわ!その資本を自ら捨てるようなバカが…私に偉そうな口聞かないで下さるっ!?」
「……」
「私と貴女では…将来、社会に貢献する規模が違いますの!愚民ごときが私に関わらないで下さる!?」
「…言いたい事は済んだか?」
「な…なんですの?…!?…な、ナイフ…」
「悪ぃな。私…お前の言葉で完全にイッちまったみてぇだ…」
「わ…私をどうする気ですの…!?」
「確かに…お前と私じゃ、社会に貢献する規模が違ぇよ。なんせ私は…これからうん十年は牢獄だろうからな…」
「!…あなたみたいなのが、犯罪者予備軍…いや、犯罪者なんですわ!」
「ああ。そしてお前みたいなのが…社会のお上に立つ、人間のクズだ。…死ね」
「ひっ…ひっぃぃぃ…!!」
「やめてぇっ!!」
「る…瑠衣…」
「瑠衣…見てろ。これがお前を地獄に突き落とした女の…哀れな最期だ」
「綾…」
「瑠衣が生きて味わった地獄…。せいぜい地獄で味わえ?あばよ…」
「あばよ!…じゃねぇぇぇぇ!」
「うっ!いってっ…!」
「ひぎっ!…ひ、今ですわ!」
「あっ!くそ…!あいつ…逃げやがった!どこまでクズなんだ!瑠衣に助けて貰っておきながら…!」
「違う…!私は愛理香を助けたんじゃない!…綾を助けたんだ!」
「は、ハァ…?」
「…っ!(ばちん)」
「痛っ…!」
「ふざけんな、綾っ!お前…私のために人生台無しにする気だったでしょ!?」
「…許せなかったんだ、あいつが!あいつさえいなくなれば…お前はもう苦しまなくて済む!バスケも続けられる!」
「お前がいないでバスケなんかして、楽しいわけないだろ…!」
「じ…じゃあ私も…!お前無しのバスケなんか楽しいはずないだろ…っ!」
「えっ…?」
「あ…いや…」
「……」
「……」
「……」
「…悪ぃ。気まずい沈黙…作っちまった…」
「…ごめん。私…自分の都合だけで、バスケ辞めて…」
「いや…。仕方ねぇよ。金…無かったんだろ…?…ぶっちゃけさ、愛理香を殺せば…また2人でバスケできんじゃねぇか…なんて、思ってやったんじゃねぇんだ。
どう転んでも…もうお前と一緒にバスケはやれねぇ。それで…自暴自棄になったんだ…」
「…綾さ。やっぱ不良のふりして頭いいんだよね。解ってたんじゃん…」
「お前とのバスケを、愛理香に…金にとられたみたいで…悔しかった…!
なんだかんだいって、お前への腹いせでもあったんだよ?私より…愛理香をとったっていう…な?」
「綾…」
「自分がこんな女々しい奴だったなんて…驚いたよ」
「綾っ…(ぎゅっ)」
「お…おいおい?どうした…?」
「私を…抱いて」
「……は?」
「まぁ!堂々とエロ本なんて読んで!気持ち悪い!」
「あれ?夏井さん…?いつからいたの?」
「今帰ってきたばかりよ!ほら、買出しに行ってきてあげたんだから、
野菜を冷蔵庫に入れるの手伝いなさい!」
「は〜い!いい所だったのになぁ…」
「ほんっと今日の貴女はムカつくわ!見ているだけで腹が立つ!ぶひぃぃぃぃ!」
「彩花がいないからって、機嫌悪すぎ〜」
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