(5月26日)(銭湯)
「はぁ〜ぁ!お湯熱かったぁ!」
「静香ってドM?」
「熱いほうが気持ち良かったりもするわよ?なんか運動した後みたいに、体が軽くなるっていうか…」
「ありえません」
「じゃあ、風呂上がりにお約束の牛乳でも飲みますか!」
「また腰に手あてて飲むのね…。誰が広めたお約束なのかしら、それ」
「優衣菜も飲む?」
「牛乳嫌いだから飲みません」
「こら!好き嫌いしないの!」
「大人だってみんな好き嫌いあるじゃ〜ん?何が悪いの?」
「大きくなれないぞ?」
「女はちっちゃい方がモテるんです〜」
「もう…。ああいえばこういう」
「コーヒー牛乳だったら飲んでもいいかな〜?甘いから♪」
「砂糖は体に良くないのよ」
「ウソだぁ〜。子供だからって、そういうウソには騙されないよ〜だ」
「ううん。これはほんとよ。さっきの熱いお湯はウソだけど」
「えぇ〜!私、ほんとにそうだと思ったのにぃ」
「糖類をとると血糖値が上がるから、いっ時テンションは上がりやすくなるんだけど、反面イライラしやすくなるのよ?」
「まるでネット見てる時の優衣菜じゃん」
「えぇ〜!た、確かに…そうかもしれない」
「別に糖分が悪いわけじゃないんだけど、最近は甘〜いものの誘惑って凄く多いでしょ?」
「確かに、菓子パンとかスイーツとか飲み物とか…多いなぁ」
「とり過ぎなければいいんだよね?」
「お前、とり過ぎる気満々な顔してる」
「てへぺろ」
「にしても、なんで銭湯にはビン牛乳なんだろうね?名ごり?」
「昔の人はビン牛乳が好きだったんじゃないの?」
「多分、牛乳が憧れだった世代の人達だからじゃないかしら?」
「え?牛乳って安いじゃん。うちのお母さんなんて、安い低脂肪乳を100円とかでさ…」
「優衣菜んちは、低温殺菌牛乳で〜す」
「ごつん」
「ぶぎゅぅ〜」
「飲まないくせに贅沢自慢とはけしからん」
「昔は、給食で脱脂粉乳っていうのが出たらしいのよ」
「あ、それテレビで見た事あるかも。マズいんだよね」
「脱脂粉乳しかない時期を経験したから、牛乳に憧れを持ってて、今でも美味しく飲めるって、常連のおばあちゃんが言ってたわ」
「そうなんだー…」
「昔は卵とか、それこそ糖分もお菓子とかないから、果物で取るしかなくて、果物って凄く高級なイメージみたいよ。こないだも頂いたけど。あ、そうだ。食べる?」
「なになに?」
「バナナ」
「食べる〜♪」
「ゴリラ」
「うっさい。好き嫌いする子とはエッチしてあげない」
「えぇ〜?リアルに困るぅ…」
「じゃあ、牛乳飲んで?私、健康な子とエッチしたい」
「う〜ん…。でも、昔はみんな憧れた飲み物だったって聞くと、飲んでみたくなるかも…。その頃よりは更に美味しくなってるはずだし」
「いちいち理屈が必要だよね、優衣菜って」
「わかった。飲む」
「どうぞ?」
「…うわぁ。この匂いが苦手…」
「……」
「優衣菜、給食でも牛乳は返して男子にあげてるのに…」
「……」
「わかりました!わかりましたから、リアクションして!ごく…ごくっ…!」
「おお!エラい!」
「どう?」
「まず〜い」
「がーん」
「…いや。慣れればそうでもないかも。ごくっ…ごくっ……うん。体にいいんなら…」
「素直じゃないなぁ」
「うん。優衣菜が好き嫌い激しいのは恋人だけだから…。ごくっ…ごくっ…」
「なんか凄いこと言ってるぞ」
「よかった。こないだ、優衣菜ちゃんが牛乳拒否ってたのを常連のおばあちゃんが見てて、なんとかしてあげてって頼まれてたのよね」
「なに!?…いつも私が体重計乗って、ダイエットしなきゃ…って言ってるのを笑ってる人?」
「そうそう。昔の人はおせっかいよね?ま、そこが好きだから銭湯続けてるんだけど」
「実は私もグルでした〜!あのおばあちゃんには、家でスイカ貰った恩があるのだ」
「むぅ〜!昭和どもにしてやられた〜」
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