(5月19日)
「ただいま〜」
「お腹空いた」
「お帰りなさい」
「ちっ…。邪魔な奴らが帰ってきたわ」
「お。珍しいツーショットじゃん」
「ぶたさんぶーぶー」
「私と和奏は、割とよく話すわよ」
「想像つかねぇ…」
「豚さん、お姉ちゃんへは彩花の元カノって事へのやっかみしかないと思ってた」
「言われてみれば、その通りだわ!ぶひぃぃぃっ!」
「やめてよ…。彩花がいないからこそ、いい空気で話せてたのに…」
「あれ?じゃあ、彩花の悪口合戦とかじゃないんだ?」
「人をどんな風に見てるのよ…あんたは」
「じゃあ、どんな話してたの?気になる〜」
「お前達のような、彩花さまへの敬愛が足りない愚民には教えられないわ!ぶひぃぃぃっ!」
「じゃあ、私が教えちゃお?今はね…和奏が中学時代の恋のライバルに、悪い事しちゃったなぁ…って話」
「ちょ…ちょっと!」
「へぇ〜!なにそれ!意外意外!知りたいかも!」
「ていうか、ちゃんと恋した事あったんだ?」
「あるわよ!ぶひぃぃぃっ!」
「中学の時、凄く仲良かった子と、同じ男の子を好きになっちゃって…。
けど、結局2人ともフラれちゃうわ、その子とも音信不通になるわで…。
そのトラウマが、レズになったきっかけじゃないか?とか、以来友達作るのが苦手になったきっかけじゃないか…とか。そんな話よね?」
「かいつまんで話過ぎだわ!」
「へぇ〜…。そっか。じゃ、その頃はレズじゃなかったんだ?和奏」
「友達と同じ人を好きになっちゃうって、ドラマだと定番だけど、リアルでもやっぱそんな風になっちゃうんだね…」
「その友達に、もう一度会って謝りたいんだって」
「会えないの?」
「当時は私、携帯とか持ってなくて…。卒業文集もどっかに無くしちゃったし…。その子の実家なら解るんだけど…」
「和奏と同い年なら、もう働いてるか結婚して家出てるよね?」
「和奏もそろそろ出荷されて、かつ屋に…」
「そんなリーズナブルな肉じゃないわよ!ぶひぃぃぃっ!」
「怒るとこ、そこなんだ…」
「当時の和奏の写真ならあるわよ?」
「え!見た〜い!」
「は…恥ずかしいわ…」
「これこれ。友達が昔の携帯で撮ったやつらしいから、画像小さいし荒いんだけど…」
「あ、普通に可愛いじゃん」
「普通ってなによ!」
「全然デブってないじゃん」
「この後よ…。レズになってからフラれまくって太ったのは…」
「この頃の和奏なら付き合ってやってもいいかな〜」
「ハーレムの末端になら加えてやってもいい」
「なによ!その上から目線は!」
「その親友だけどライバルだった人と会えたらいいね〜って話してたの」
「無理よ。それに…今の私に、レズじゃない女の人を見るのは辛いことだわ」
「そうなの?」
「まあ、それは解るなぁ…。普通に男の人を好きになれるのって、羨ましく見えちゃうもんね…」
「全然そんな事ないんですけど」
「あんた達は脳内の仕組みが、母淫仕様になってるからよ?」
「ま、人生長いんだから、そのうち会えるかもよ?」
「同窓会とかあるかもしれないし」
「ふん…。別にどうでもいいわよ…」
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