(5月16日)
「♪♪〜」
「ん?どうしたの、彩花?」
「鼻歌なんか歌っちゃって」
「昭和」
「優が携帯持ってくれたの」
「やっぱ優絡みか」
「ていうかあいつ、まだ持ってなかったのか。ダメ過ぎる」
「あんたは早く持ち過ぎ」
「なんかあった時のために持ってって、散々言ってやっと…」
「あれ?ひょっとしてこれ、優の携帯?」
「あ、確かに見慣れないやつだ」
「あーっ!持ってくの忘れてるじゃん!」
「まだ持っていく習慣がないんだよ」
「まるで原始人ですな。ウホウホ」
「ブヒィィィ!私のことバカにしなかった今!?」
「してないし」
「ブタとゴリラを間違えたらしい」
「ハァァァ…。やっぱり私が何度も‘愛してる’って一言言いたくて、電話かけちゃったからかしら…?」
「絶対それだろ」
「ストーカーか」
「だってぇ…」
「ブヒィィィ!彩花さまの愛情を無視するなんて許せないわ、あの女!殺す!殺す!」
(川べり)
「……」
「……」
「(なでなで)」
「…やめて」
「はぁい…」
「……」
「……」
「…携帯、わざと置いてきたでしょ」
「誰かに居場所が知られちゃ面白くないじゃない?常に人と繋がっていたいなんて思わないわ、私は」
「…ムカつくわ」
「…でしょうね」
「誰からも応答がない携帯を持ってる私のほうが、ずっと孤独だから…」
「…こうして会ってるんだから、着信なんていらないじゃない?」
「……」
「まさかのぞみも、アドレス帳の名前や着信の数、人と競ったりするの?」
「…バカにしないで。殺すわよ」
「…ちなみに昔は?」
「…広告メールくらいしか来なかったわ」
「…そう」
「……」
「…嫌な事聞いちゃった?」
「無神経女」
「…ごめん」
「……」
「……」
「…気にしないで」
「…はぁい」
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