(5月14日)(タリーズ)
「冬木さんは元気?」
「最近は優のとこにべったりね。嫌われちゃったのかしら?」
「うふふっ…。彩花だけじゃなく、冬木さんまで奪われちゃったんだ」
「奪われたなんて言われたら、奪い返したくなるじゃない?」
「強敵ね。春日さんは」
「優は…なんというか、彩花から感じる日本人らしさをもっと濃くしたような感じがするわね」
「冬木さんはね…。私、治せると思うんだけど…」
「うつ病?」
「診断してみないとわからないけど…本人が受診する気がないんじゃあ…ね」
「私、なった事がないから分からないけど、のぞみみたいな状態はうつ病なの?」
「うつ病は、ただ単にうつな状態が続くだけならうつ病だけど、気分が高揚する時が少しでもあれば、躁うつ病と言って、全く違う病気なの」
「躁うつが激しいとかって言うあれ?…のぞみは、あんまりハイテンションな時なんてないと思うけど…」
「エッチしてる最中とか、そうかもよ?」
「あれは私が大きな声で喘ぎ過ぎなだけ」
「分かってたんだ…」
「う〜ん…。でも、うつ病って心の病じゃない?のぞみには、両親が自殺っていう痛ましい記憶があるし…」
「うつの引き金は辛い経験によるストレスだけど、うつは心の病っていうのは誤解よ。本当は脳の病気。脳がおかしな状態になってしまってるから、起こるのよ」
「まあ…感情がコントロールできないとか…信者にも結構いたわね。
特に最初の頃、レズなんて社会で生きてく上で凄く不利だから、ヒドい状態の人も多かったわね。
彩花と2人で、レズっていうより、ヤバい病気の人の集まりみたいだって嘆いてたわよ。ま、なんとかしたけど」
「あの頃から私、結構その手の治療には貢献していたのよ?」
「あの頃の貴女は、私や彩花と距離をおこうとしてたんだもの。知らなくて当然よ」
「ごめん…。でも、冬木さんはほんと一回、脳の検査をしたいわ。磁気刺激を与える治療とか、今はうつ病の価値観が劇的に変わってきてるから、治せそうなのに…」
「宗教と科学って、ある意味足の引っ張り合いかもね?人を救いたいって気持ちは同じなのに」
「なに言ってるのよ?その融合が最強だって、彩花も貴女も思ってるわ。だから、イカれるとこはほんとイカれてるのに、ちゃんとしてる所はほんとちゃんとしてる」
「どうかしら…?案外、本当にただのバカかもしれないわよ?」
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