(5月6日)
「昨夜はお疲れ様でした〜。紅茶どうぞ」
「ストレートティーがいいで〜す」
「私はミルク…」
「レモンティー!」
「いいよ、美姫。私がやるから。せっかく、昨日の余韻で気持ちがしおらしくなれてるし…私」
「じゃあ、お願いします」
「凄かったなぁ」
「冴子さん…別人みたい」
「二重人格ってわけじゃないですよね?」
「ああ。私は私だよ。ドMンムンの理念はな…ドSとドM両方を経験する事で、人間を愛すってことなんだ」
「両方…」
「ドSもドMも、どっちかだけじゃ一方的な願望に過ぎなくて、単なるワガママなんだよ。
だから両方を同じパートナーと経験することで、自分が人に何を望んでいるか、何をしてあげればいいかをちゃんと考えられるようになるんだ」
「他人は、自分の願望を一方的にぶつけられるためにいるんじゃない。ちゃんと願望を見せあって、叶えあって初めて他人じゃなくなるんですって」
「へぇ〜…」
「でも、それってみんながドSな一面もドMな一面も持ってるってこと?」
「私はそう思ってるよ」
「マジか…」
「私はドSですって言って、ドM男に優越感を感じる気もないし、ドMになって一方的に面倒見て貰う気もない。両方あるから自然なんだよ」
「でも、そういう意味では美姫さん、かなりドM寄りだよね〜?ドSキャラ、全然様になってなかったよ〜」
「そうなんだ…。あ、お砂糖もう一つ…」
「あ、ごめん。…いや、あれでいいんだ。型にハマったSMをやる気はないからな。人それぞれのSとMの形があっていい」
「そっか。言葉責めにしては弱いなぁとか思ったけど」
「合わないだろ?美姫が‘靴をお舐め!’とか言うの。‘私の靴…舐めて下さい’のほうがゾクッとする」
「確かに、それはある」
「深いね…。あ、ありがとうございまーす」
「勿論、人によってドS寄りドM寄りはあるんだけど、その反対側を見た時にゾクッと来るの」
「私のドMや、美姫のドSは、最初イメージつかない分、見たら衝撃だっただろ?」
「ギャップ萌えってやつですな」
「確かにギャップはぐっと来るかも」
「きゃっ!」
「あ、電話…。ヤバい!親から?」
「うん…。泊まったんならちゃんとお礼して、早く帰ってきなさいって」
「送ってけよ、美姫」
「は〜い」
「もうドSな冴子さんに戻りつつある…」
「でもそれが、ドMになったギャップに繋がるのかぁ…」
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