(4月30日)
「……」
「…お疲れ?」
「…ううん」
「なんか浮かない顔してるから」
「…いつも浮かない顔だけど」
「おっ。長めに喋った」
「…優」
「はい」
「…彩花とはなんで別れたの?」
「…珍しいわね。のぞみがそんな下世話な話聞きたがるなんて」
「…じゃ、いい」
「じゃ、私が言いたくなったから勝手に言う事にするわ。
…彩花はね、会った時はなんかもう…死にそうだったの。
この子には一生幸せなんて訪れないんだろうな…って感じがしたの。だから悔しくて」
「……」
「…けど、あいつは私と付き合ってから、だんだんたくましくなっていって…。私もあいつの幸せそうな顔にムカついてきちゃってさ?だから別れたの」
「ふっ…」
「あ、笑った」
「…じゃあ、今の私は、死にそうなんだ」
「そう。しかも彩花と違って、私がそばにいても、一生幸せになんかなれそうにないしさ、のぞみは」
「…!」
「…だから、一生一緒にいられるなと思って。私ってさ…どうしようもないひねくれ者だから、人の幸せそうな顔見てるのが大嫌いなのよ。だから、のぞみといれば一生見ないで済むかなと思ってるの」
「……」
「傷ついた?けど…私はこんな最低な人間よ?私が嫌だったら、マディソンでも誰でも…」
「ううん…」
「のぞみ…」
「…ありがとう。はっきり言ってくれて」
「ごめん…」
「謝らないで…。私は…嬉しかったわ。幸せは訪れないとはっきり言ってくれたほうが…今の私には…心地いいの…」
「…ありがとう。私こそ」
「一生、幸せになんかならない」
「…じゃ、私も」
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