(4月24日)
(銭湯)
「あつ〜い」
「優衣菜、水で埋め過ぎ」
「ぬるま湯でゆったり入りたいんです」
「ねぇねぇ?優はなんでそっちの列にいるの?そこ水しか出なくない?」
「だよね〜?お湯の蛇口なのに」
「そこの列は、あんまり使う人がいないから、水になっちゃうのよね。しばらく水出すとお湯になるけど」
「だから、お湯になってきた瞬間に、ちょっと嬉しいのよ」
「お姉ちゃんらしいや…。ほんとバカ」
「節水しなさい」
「お風呂屋さんは、たっぷりのお湯を売る商売なんだからいいのよ」
「ああいえばこういう」
「へ理屈おばけ」
「ニートもよくこんな姉に付き合ってるなぁ…と、時折感心する」
「のぞみは私と似てるわよ」
「そういえばさ。優衣菜分かる?あの、シャッター通りになってる所にある汚い中華屋さん」
「汚いって言うな。ボロいだけよ」
「あ、知ってる知ってる。あそこ、いつもお客さん入ってないよね〜。いつ潰れるかワクワクしてる」
「ワクワクするな」
「あそこから、優とのぞみが出てきてさぁ…?よくもまあ、女子があんな店に入れるもんだなぁと。声かけられなかったもん」
「静香。あんた最近、ずいぶん生意気じゃない…?」
「無礼講ってことで」
「別にお酒の席じゃないでしょうに」
「なんでこんなのに、彩花もニートも惚れるんだろう?まったくわけがわからないよ」
「…ちょいちょい、なんかのネタ挟んできてない?」
「人の魅力っていうのは、何かのカテゴリーに所属して決まるわけじゃないってことよ」
「…??カテゴリー?」
「私は、人と同じような事をして、不安を埋めたり、つるんだりしてる人には憧れないって話」
「……」
「よくわかんねー…。って、あれ?優衣菜?」
「…え?なに?何でもないよ?」
「…静香。貴女だけずっとお風呂浸かってるから、体が真っ赤よ」
「ゆでダコ」
「あーっ!優さんに悪口言われるなんて初めてなんですけど!」
「…なんで急にさんづけしたの?」
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