(4月19日)
「明日奈、車が来たわ。もっと左に」
「ありがとう。香織も気をつけてね」
「全く…。こんな田舎、車で来れば楽なのに…」
「ちゃんと電車もバスもあるんだし、歩いて探すからいいのよ」
「ハァ…。わけがわからないわ。Amazonでも駅前の本屋さんでも買える本を、わざわざ小さな本屋を探してまわるなんて」
「そう?素晴らしいじゃない!今まで古本屋さん巡りはしたことあったけど、新刊の本を探して本屋さんを巡るなんて発想はなかったわ!さすが春日さんね」
「ハァ…。明日奈の友達を悪く言う気はないけど…あんな社会的向上心が乏しい人のどこがいいのよ…」
「香織ったら口が悪い」
「あ、ごめん…」
「ううん。香織は香織の良さがあるから」
「どうせ悪い所もてんこ盛りよ。昔っから貴女といると調子狂う…」
「でも、調子狂うのが好きなんでしょ?」
「…ふん」
「拗ねなくても、春日さんなんかより香織を一番愛してるから」
「…もう。分かったわよ。私が悪かった。今度、春日さんに謝っとくから」
「香織は堅いわねぇ。空はこんなに広いのに」
「どういう比喩よ、それ…。どうせ私は型にハマった女よ」
「今日の香織はよく拗ねるわね」
「だって…せっかく取れたお休みに、私とのセックスより大事なことがあるなんて…」
「うふふっ…!そういうこと?じゃあ、その辺の人目につかない所でしましょ?」
「ちょ…!明日奈…!…んぷぅ…」
「んちゅぅ…」
「ひ…人目についてるじゃない!今の!」
「キスくらい、人目についたっていいじゃない?」
「…バカ。知らないわよ…もう」
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