(4月17日)
(旅館)
「おはようございま〜す。うぅ…変な夢見たぁ。ノド乾いたぁ…」
「旅館っていいなぁ。レズ萌え荘より全然畳の香りがする」
「恵さんとは、ここで会うの?」
「そうね。もうすぐ来るわ」
「それにしても…女子校ねぇ。夢に出てきた。本物はどんな感じなんだろ?私みたいな偏差値の女は無理かも」
「やっぱレズが多いの〜?」
「別に、普通なんじゃない?確かに、共学とは違った雰囲気があると思うけど…。
ちなみに今、女子校通ってるとか、女子校出身って人で、母淫入ってる人は多いわよ。
その辺、一番最初の頃目をつけてたから…。って、あれ?」
「お邪魔します」
「あ…。いつの間に」
「なんか、いらない人もいるんですけど」
「ごきげんよう」
「やっぱおめーかよ…」
「恵…。貴女が呼んだのね?」
「だって…。彩花とマディソンが仲悪くしてないか、ちゃんとチェックしないとね?」
「仲は悪くないけど、確執ならあります」
「大人ってヤな生き物…」
「あの…。もしよろしかったら、私のいきつけの喫茶店でお話しませんか?
宿はこの後、掃除が入ると思いますし…」
「あ、そっか。連泊でも掃除入るんだっけ?」
「喫茶店って…。マックとかミスドじゃないんだ…」
「残念ながら、マックすら潰れる田舎だから」
「私がいつも、放課後に本を読んでから帰る喫茶店があるの。静かで、素敵なお店よ」
「なんでしょう?この少女漫画みたいな異世界感…」
(喫茶店)
「確かに落ち着くなー」
「静香って、今気づいたんだけど、静香って名前のくせにうるさいよね」
「うっさい!あ、ナポリタン食べたいなぁ〜。喫茶店といえばナポリタンでしょ…」
「いらっしゃい。今日は賑やかなのね?」
「私、自慢の友達です」
「あぁーっ!青木ゆきえ先生!」
「あら。会ったことあったの?しかも、その名前は…」
「エロ漫画家としてのお名前です!でも、なんでここに…?」
「前にハウスシェアの話したでしょ?その一環で、みんなでお店をシェアしていたりするの。ここも、その一軒」
「じゃあ、貴女はマスターというより、”マスターの一人”ってわけ?うふふっ…面白いことしてるのね」
「普段は、沙智子さん以外の人がマスターだったりもするのね」
「私は、今日初めて会ったんだけど…」
「初めまして。静香の心の友です」
「心の友よぉ〜!」
「マディソンさんは…あれ以来ね。あの時も丁度私がマスターやってたわね」
「あの時はごめんなさい」
「なんかあったの?」
「私が、彩花と恵相手に大ゲンカしちゃったのよ。水、顔にかけて」
「うわぁ…。昼ドラかよ…」
「私も驚いたけど、喫茶店って若い人が熱く語り合う場であってほしいって、おじいちゃんも言ってたから…」
「お爺さまはお元気ですか?」
「今、入院しているそうです。元気な姿しか、私達には見せたくないって言って…。ね?」
「ええ。また貴女達に美味しい珈琲を出したいって」
「そうですか…」
「大丈夫。きっと戻ってくるわよ」
「あ…ちょっと話を戻しちゃうけど…。なんで喧嘩なんかしたの?」
「私が、どうしても恵って人を受け入れられなくて…。けど、惹かれているのも事実だった。理屈と恋心の対立かしらね?」
「恵はほんと…罪人よね?私とマディソン、両方惚れさせたんだから」
「マジで…?そんなだったんだ…」
「私は別に…。自分に関わってくれた人が、みんな幸せになってくれるように振る舞っていただけよ…」
「それが罪なのよ?」
「恵さんって、どんな人なの?まだイマイチ現実感ないなぁ…」
「失礼だよ!」
「ドンマイ」
「そうねぇ…。恵、相変わらず、バス何本も乗り継いで帰ってるの?」
「そうね。だいたい3時間くらいかけて」
「?…電車使わないの?」
「考える時間がたくさん欲しいのよ、恵は」
「でも、帰りはまだしも行きは…朝早いんじゃない?家出るのとか」
「心配ないわよ。彼女、保健室登校だから」
「えぇっ!なに?不登校なの?」
「イジメとかなの?」
「すみません…。なんとなく、教室に足が向かなくて…」
「私とマディソンの勝手な推測だけど…疲れちゃうのよね?みんなに幸せになって貰いたいなんて思ってるから、人と合わないのよ?」
「もっとみんな、自分の事しか考えてないわよ?私は恵のそういう部分が苦手だったわ。結局、気を使うのはこっちなんだもの」
「相変わらず、マディソンさんははっきり言うねぇ…」
「保健室登校だから、遅れてもいいってわけか…。羨ましいなぁ。優衣菜も朝ゆっくりしたぁい」
「で、保健室いたり、この純喫茶にいたりで過ごして家帰ってるのよね?」
「喫茶店では、何してるんですか?やっぱ読書ですか?」
「あ〜、超似合う」
「私は本は読まないわ。ずっと考えごと」
「本読まない?あら、意外」
「保健室登校なんかしてて、親が怒らないの?」
「恵の家は、ちょっと複雑な事情があるのよ?お母さん、二人目だものね?」
「素敵な両親です。私も、迷惑をかけているのは解っているんですが…」
「…こんな恵さんに、二人が惚れた経緯が知りたいなぁ〜」
「もう…。下世話ね」
「女は、人の恋バナ聞きたいものなの〜!」
「私にとって、恵はAngel…。さながら私は堕天使ね」
「いちいちカッコつける言い回しだな、お前は」
「私も、マディソンが恵をどう思ってたのか、本人の口から聞きたいってのはあるわね?聞かせてくれない?」
「私も…。貴重な刺激になると思います。お願いします」
「嫌よ。話さないわ」
「頑固ね」
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