(3月28日)(教室)
「この子よ。写メなんだけど…」
「げっ!裸じゃん、この子!」
「服を着てくれないのよ…?ずっと裸…」
「この子も母淫?」
「私が入れたわ」
「伊藤のどかさん…」
「この子と一緒に住んでるんですか?」
「ええ。じゃ、ちょっとだけ、先生の昔話を聞いて頂戴…?」
(回想)
私が初めてもったクラスに、伊藤のどかはいたわ。
「よろしくね、伊藤さん」
「……」
無口で、誰も友達がいなくて…。
でも、成績がいいわけじゃない。
親からは、なんとしても私立に行くよう言われてたんだけど、私は正直、のどかの学力じゃいけないと思ってたわ。
「なんかわかるなー。やってもできない子っているよね?」
「みんな、向き不向きがあるんだもん。勉強だってそうだよ」
私は、そんなのどかに、せいぜい放課後、勉強を教えてあげる事くらいしか出来なかった。
でも、のどかはやっぱり飲み込みが悪くて…
けど、そんなある日…
「先生」
「なぁに?」
「どうしたら…いい成績くれますか?」
「それは…。テストでいい点…」
「学校で教えてる勉強なんてくだらないって、先生言ってたじゃないですか?」
「先生、当時から言ってたんですか?今もたまに言ってますけど?」
「教科書を一度、全部燃やして、一から教える価値が高いものから教えてくってやつですか?」
「まあ…あの頃はそういう情熱あったわね。あはは…」
「私は運がないです…。南先生が先生で…」
「…なんでよ?私じゃ不満?」
「男の先生が良かった…」
「なんで?」
「こういう事が…できるかもしれなかったから…」
そう言って、のどかは自分の上履きに引っかけた、ある物を取って、私に見せた。
「ま、まさか…」
「ちょ…!な、なにしてるの!?穿きなさい…!?」
「まさかの、パンツか!」
「ロリコン教師なら、それで取引成立だったのに…」
私は、真面目で無口なのどかの、意外な一面に驚いた。
「…伊藤さん。どこでそんな事覚えたのか知らないけど…やめなさい?」
「コネですよね?大事なのは」
「え…?」
「世の中で一番大事なものは、お金とコネだよ。大人を見ていれば嫌でも解っちゃう…。
けど、うちの親はそれを解ってないくせに高望みするから…。だから、何もない私が作れるコネなんて体一つ…」
「……」
「大人だなぁ、その子…」
「親で苦労してそう…」
「なんて、言ってあげたんですか?」
「のどか。あなたは凄く頭のいい子よ。勉強はできなくても…あなたの才能はきっと…わぷっ」
「…効かないかな」
私は、パンツを顔に押しつけられて…
「やめなさいっ!」
「ダメですよね。女だもん…」
「もう…。ほら、穿きなさい?寒いでしょ?」
のどかは、スカートをめくって…
「ほら。こうするの…オナニーって言うんですよね?あってる?」
「や…やめなさい!ほら…早く穿いて!」
「先生も所詮…私の味方じゃない…」
「それでどうしたの?」
のどかの言葉が、深く突き刺さった私は、一生懸命、何をしてあげられるか考えたわ。
けど、何もなくて…

そんな、夏のある日。
夏休みで、学校のプールを見守る当番だった私は、いつものように帰っていく生徒を見送り、着替えようとしたんだけど…
「あ…あら?更衣室の鍵がない…」
プールサイドに無かったから、更衣室を探していた私は…。
(がちゃん)
「…え?」
外から鍵をかけられてしまった。
「こわ〜い…」
「ま…待って!まだ私がいます…!」
すると、下の隙間から…伊藤さんが入ってきて…
「隙間?」
更衣室は、下に子供が通れるくらいの隙間があったのよ。
よく男子が通って遊んだり、頭がつかえちゃったりして問題になっていたわ。
「伊藤さん!?まだ帰ってなかったの!?」
けど、驚いたのはそれだけじゃなかった。
「あ、チャイム鳴っちゃった」
「もうちょっと話して〜」
「だぁめ。でも、聞いてくれてありがとね。まさか、生徒に聞かせる日が来るとは思わなかったけど」
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