(1月24日)
(回想)
「はい、これ」
「これが鬼百合・戒…」
「そう。いわゆる精力増強剤だけど、今母淫で流通してるガールズラブなんかとは比べ物にならない」
「戒じゃない、普通の鬼百合でさえ、その場限りの性欲に留まらずに、男好きな子でも女を性欲の対象として見てしまうほどの威力があったのに…」
「でもあれは、何度飲んでも普通の女の子がレズになるって事はなかったし、男性ホルモンが増えてしまうって欠点もあったわ。でも、戒はどちらも克服した」
「じゃあ…本当に…」
「そうよ。鬼百合・戒を毎日飲めば、女なのに女への性欲が止まらなくなり、恋愛の対象すら女に変えられる…」
「また母淫に頼まれて作ったのね…?誰の命令?」
「さあ?けど、大層お喜びになっていたわ。これさえあれば、私達レズはもう、好きになった女がレズじゃないからって理由で恋愛を諦める必要はなくなる。
みんながバラまけば、レズはやがて少数派じゃなくなるわ。マイノリティからマジョリティね」
「反対だわ!人の人生を薬で変えてしまうなんて…!」
「今はそう言ってても、私ちゃんと撮ってあるんですよ…?香織さんが鬼百合・戒のためならなんでもするって発言を…」
「あ…あれは…!貴女が鬼百合をこっそり私に飲ませて、SEXした時のじゃない!あの時は、性欲の事しか頭になくて…」
「でも、明日奈への想いは本当なんですよね?」
「そ…それは…違うわ。明日奈は…友達としてよ…?私はレズじゃないし、明日奈だってレズじゃないのよ?それを…」
「幼なじみの明日奈さんは本当にいい子で…。香織は明日奈が誰か男のものになるのが嫌って言ってましたよね?それって立派なレズよ?うふふっ…!」
「違うの!私はレズじゃないわ…!貴女とのSEXだって…鬼百合を飲まされたから…!」
「…いいですよ。解りました。じゃあ、この鬼百合・戒は香織に預けるけど、絶対に使わない事。いい?」
「い…いいわよ。くだらない…。私はこんなもの、絶対に使わないわ」
「困ったわね…。人の人生を変えちゃうような代物だから、実験台がなかなかいないのに…」
「…こんな薬、悪戯に人の人生を変えるなんて許さないわ」
「…ていうから、香織が実験台になるって言ったんでしょ?他の人で実験しない事を条件に」
「…飲むかもしれないわ。私はね?けど、期限は設けないで頂戴?一生飲まないかもしれないから」
「あらあら。せっかく作った薬なのに…」
(診察室)
その夜。
私の堅い意志は、半日も持たなかった。
「はむっ…!」
鬼百合・戒を飲む。
言葉だけは精一杯反発したのに…意志が弱すぎる。
「あぁん…!すごぉい!」
初めて真名香に鬼百合を飲まされ、SEXをしたあの日。
私は、大切な事に気がついてしまった。
明日奈への想いが…叶えばいいのにという気持ちが、あまりに大きい事に。
「あんっ!私…レズになっちゃうぅ…!」
全裸になる私。
そこへ、ドアが開く音。
「やっぱり、口だけだったのね、香織?うふふっ…」
全裸の真名香だった。
「し…仕方ないでしょ!?一度、鬼百合の効果を体が知ってしまったら…もう元には…!」
まるで中毒みたいだった。
私の人生初めてのSEX。それが、鬼百合を飲まされて真名香としたSEX。
あの日から私は、SEX依存症なんじゃないかってくらい、真名香や母淫の信者とSEX漬けの毎日を送っている。
それでも、私はレズじゃないし母淫にも入らないと言ってきた理由は、体と心は別物だからだ。
いくら体がレズを求めても、心までもは奪われない。
それがある意味、鬼百合という薬の限界であり、私の心の強さだったんだと思う。
しかし、鬼百合・戒は…
「さあ…認めなさい、香織?私はレズになりました…って。そうしなきゃ、SEXしてあげない」
「くっ…!性格悪いわね…!」
「さ…どうする?」
「わ…私はレズよっ!明日奈の事、友達だと思ったまま、毎晩オナニーしてるわよ!そうよね?レズよね?レズだったんだわ!あはっ…あははは…」
「うふふっ…!香織がこんな簡単に落ちるなんて…。鬼百合・戒は大成功ね!」
「真名香…。真名香の裸見てたら…女性器が凄く濡れてきちゃったわ…。早く…SEXしましょ?」
「レズ宗教・母淫にようこそ…?香織。さあ、貴女のその裸肉も女性器も、みんな母淫に捧げて頂戴…?」
「あんっ!レズ最高よぉ…!」
鬼百合・戒を手に入れてからというもの。
私は…
「明日奈、コーヒーよ?」
「ありがとう。最近、寝不足で…」
明日奈の飲むコーヒーに、鬼百合・戒を混ぜる。
私の理性は、こんな悪行を許していないのだけど、体がやってしまう…。
やらないと思い留まると、強烈な性欲に襲われ、お手洗いで自慰した後、私自らも鬼百合・戒を飲んでから、明日奈にもこっそり飲ませる。
「香織…?どこ行くの?」
「ちょっと…真名香のとこ…」
明日奈を襲いたい願望をひた隠しにし、真名香とのSEXで発散させる。
けど、不思議と明日奈には鬼百合・戒の効果が現れない。
すぐ、私みたいに欲情するはずなのに…
「ちょっと!明日奈には効いてないんじゃない…?どうなってるのよ?」
「お…おかしいわね…。まさかの失敗…?そんなはずは…」
「私は元々レズっ気あったから効いただけで、レズじゃない明日奈には効かないのよ。インチキね」
「そ…そんな…」
そう言いながらも私は、内心凄くホッとしていた。
元はと言えば、そんな大げさな話じゃない。
私もレズっ気があったわけじゃなく、明日奈のような気だてのいい明るい子が、将来どこかの男性
のものになるのを、ほんのちょっともったいないな、と思っただけ。
私が男なら、充分お嫁さんに貰ってあげたのにな…と思っただけ。
だから…このまま何も起きない事を願った。
そして、明日奈に鬼百合・戒を毎日与えて17日目…
夜中、部屋にいると携帯が鳴る。
明日奈からだ。
「ハァ…ハァ…。かおり…にげ…てぇ…」
「え…?ちょっと、なに?逃げる?んー?あ、切れちゃった…」
それから10分後。
何故か明日奈がやってきたので、マンションのオートロックを開ける。
時間は夜の1時。
近所に住んでるとは言っても、一駅以上は離れているのに…何の用かしら?
「は〜い…」
「ハァ…ハァ…」
玄関の前に立っていた明日奈が、上目遣いで私を見る。
欲情した。
雰囲気だけで解る。
今の明日奈は、常軌を逸している。
「香織…。に…にげ…」
「え…?」
「逃げてぇぇぇぇ…!」
明日奈がコートを脱ぐと…なんとその下は全裸だった!
「んぷぅ…」
「んぅ…!」
明日奈に唇を奪われる。
同時に、下着の中に手を入れられた。
明日奈に…私の女性器がまさぐられる…
凄い…。明日奈とのキス…。
酔っ払って寝てる明日奈に、一度だけした事あったけど…するのとされるのじゃ全然違う!
「あ…明日奈…。なに…?酔ってるの…?」
私は気づかないフリをした。
もう答えを知ってるくせに…
「ごめん…香織…。私…変態みたい…」
明日奈は目に涙を浮かべながら、私の女性器をまさぐる。
更に、自らのおっぱいを手繰り寄せ、しゃぶっている。
「明日奈…。ど、どうしちゃったの?落ち着いて…。み、水いる?」
「香織ぃ…。私…気持ち悪い…?」
「…そんな事ないわ」
「私が…もし私がレズでも…友達でいてくれる…?」
「あんっ!れ…レズ…?明日奈…レズビアンなの…?」
「ここ最近…なんかおかしくて…。香織みたいな…綺麗な女の人見ると…変な気分になってきちゃって…!」
「…別に、明日奈がレズでも、私は友達よ?むしろ、明日奈は私が男だったら絶対口説いてたもの。悪い気はしないわ」
「あぁぁん!香織…香織ぃ!」
「玄関もなんだから…私の部屋の…ベッドに移動しない?…ちゃんと脱ぐから、私も」
「え…えぇっ!本当にぃ?香織ぃ!」
「うん。明日奈がレズビアンなら…私も覚悟するわ。今晩は、友達兼…貴女の女にさせて」
我ながら、なんと都合のいい展開…。
自分のプライドも崩さず、自然な流れで…。
私って最低の女ね。
翌朝。いえ…もう昼近かった。
初めて聞く、明日奈の甲高いイキ声が…今も耳に残っている。
「あんっ…あんっ…」
「ぁんっ…あんっ…」
全裸で69の姿勢で、お互いの女性器を舐め合いながら、もう何時間経過しただろう。
何度かうたた寝したかもしれないけれど、気がつくと目の前に明日奈の女性器があり、気がつくと舌を挿れている。
もはや、この匂い、この味、この熱、この湿り気からいっ時たりとも離れたくない…。そんな感じだった。
「香織ぃ…愛してるぅ…」
「愛してるわ…明日奈」
不思議な征服欲だった。
明日奈という女を見事、自分のものにしたのに、私はこんなにも明日奈に愛されてよがり、明日奈に尻を向けたくてたまらない…女になっている。
真名香とのエッチでは決して見せない、甘えたがりな自分が、明日奈の前だと進んでさらけ出されてしまう…
この日から3日間、私と明日奈は仕事を休んだ。
明日奈は私の家から帰りたからず、常に性欲に犯されているような状況だった。
(後日)
「うっふふ!おめでとう〜!見事、明日奈を自分の女にしたのね?」
「…ありがとう。私はもう…どう言い訳しても貴女の共犯者ね」
「じゃあ、お祝いに全裸になってくれない?」
「またやるの?貴女と…」
「当たり前でしょ?明日奈との絡みを終えたばかりの貴女の肉体を寝取る…。こんな興奮するSEXはないわ」
私は、もはや浮気同然に真名香ともSEXする。
鬼百合・戒の被験者に自らなっているだけあって、真名香の性欲は底なしで、裸肉も恐ろしいほど感じやすい。だから…つい夢中になる。
さっかまで明日奈に連呼していた「愛してる!」を真名香にも叫ぶ。
母淫は、エッチの相手ならお互い「愛してる」と言う規律があるから、と真名香。
私はこうして、レズの新興宗教へ参加する、墜ちた女になっていく…。
「おかえり…香織」
帰ると、明日奈は裸エプロン。
それでも、あれ以来初めて着た着衣で、それまでは性感帯がいじりにくくなるので、服はおろか下着さえ一度も着ていなかった。
「お尻ぃ!お尻ぃ!香織…明日奈のお尻に…お願ぁい!」
自ら、尻肉を広げてアナルや性器を丸出しにする明日奈は、あの上品さがまるで過去の面影のように思えてしまう。
聞けば、私の留守中もずっと自慰だったらしい…
鬼百合・戒を17日も我慢していた分、一気に出てしまっているんだろう。
真名香と散々貝合わせしたばかりの女性器を、明日奈の尻に押し当てる私…。
「あぁん!香織ぃ…待ってたよぉ!」
舐められる時には、真名香の味がしないかヒヤヒヤした。
真名香が「明日奈の味が残ってる…」とか言うものだから。
3日目の夜を迎え、さすがに落ち着いた明日奈は、服も着て、羞恥心も戻ってきたらしく、私の顔を見ただけで、真っ赤になって目を反らしていた。
「どうする?明日も仕事休む?」
「大丈夫よ。これ以上、亜希子先生や真名香に迷惑はかけられないから…」
その2人なら、鬼百合・戒の発信源だから気にしなくていい…と言いたいけど、言えるはずもなかった。
「ほんとにごめんなさい…」
「いいから。むしろ嬉しい」
「彼氏とか大丈夫なの?」
「日頃からいないって言ってるでしょ?私、男に求めるハードル高いから」
「…どうしよう。これから…」
「いいんじゃない?付き合いましょ?多分…私の、女に求めるハードルは…全部越えてる気がするから。明日奈」
「き…気を使わなくていいわよ!嫌なら嫌って、はっきり言ってくれたほうが…」
「私はこういう時、嘘つかないわよ。…明日奈は、私がこ…恋人じゃ不満?」
「不満なわけない!むしろ…香織がいい…」
「明日奈…。冷静になっても、私言えるわよ?愛してる…」
「か…香織!私も…愛してる…」
こうして、私と明日奈は恋人になった。
明日奈は次第に明るく振る舞うようになり、楽しい恋人生活を毎日送っている。
そして…私が鬼百合・戒で明日奈をレズにしたという事実が残る。ずっと、明日もあさっても。
「バラすわよ?」
「そうやって…最初から脅す気だったのね…?最低…」
「そうじゃないわ。友達だから言ってあげてるのよ?5年待つわ」
「どういう事…?」
「一生、明日奈を騙すつもり?いつかは言いなさいよ?きっと許してくれるわ。猶予は5年。どう?」
「誰が、貴女みたいな悪党の言う事…」
「香織だって、立派な悪党でしょ?確かに私は、気にいった女の子を鬼百合・戒でレズにしたりしてるけど…香織は友達だから、幸せになって貰いたいわ」
「…解ったわ。ありがとう…今日から5年ね。頑張るわ…」
戻る