(12月25日) | |
(地元) | |
「…あら?」 | |
「……」 | |
「ゆいな〜?」 | |
「……」 | |
「ちょっと、優衣菜!」 | |
「きゃっ!うそ…!」 | |
「何がうそよ!」 | |
「いやぁ…。お姉ちゃん、人見知りだから外で会っても無視するじゃん? だから、声かけて来ないだろうから、私もシカトでいいかな…と」 |
|
「なによそれ!」 | |
「ほら…。我ながら恥ずかしい姉だし、イヤホンしてるし」 | |
「今日はしてないわよ!」 | |
「何してたの?また学校サボったの…。親不孝」 | |
「うっさい。考え事よ」 | |
「お姉ちゃんは、一年中なんか考えるね」 | |
「あんたこそ、いつもこの道って、友達と一緒じゃなかった?」 | |
「今日はまいてきた」 | |
「そんな事言ってると、友達いなくなるわよ?」 | |
「お姉ちゃんと違って、新しい友達いくらでも作れるんでご心配なく。それより自分の心配したら?」 | |
「…友達となんかあったの?」 | |
「違います!…ちょっと機嫌悪くて、一緒にいて八つ当たりしちゃったら嫌じゃん?だから一人で帰ってきたの」 | |
「…あんた、人への気の使い方が大人ぶってるけど、子供の頃は子供のまま感情ぶつけまくってるほうがいいと思うわよ?」 | |
「…優衣菜は大人だもん」 | |
「機嫌悪いのも、ちゃんと何でか言ったら?家族にくらい」 | |
「…家族なんて。お姉ちゃんだってそう思ってるでしょ?」 | |
「…そうかもしれないけど、今日はクリスマスよ? 日本じゃイブに恋人とイチャイチャする日って感じだけど、本来は今日、家族と過ごす日なんだから」 |
|
「…だからなに?」 | |
「何って…?」 | |
「今日ははるぴょん達と遊ぶから。じゃあね。お姉ちゃんこそ、のぞみか彩花と一緒に過ごせば?」 | |
「(なに、変な顔して…。無理して目つむってるのよ…?泣いて腫れてたのバレバレなんだけど…)」 | |
(外) | |
「…はい、もしもし」 | |
「もしもし。私よ?」 | |
「あれ?彩花からの着信だったのに…」 | |
「私、携帯持ってないから、彩花に借りたの。さっき公衆電話からかけたら、何度かけても出なかったし…」 | |
「あ〜ごめん!だってさー?公衆電話からの着信なんて、怖くて出づらいじゃん。非通知ばりに」 | |
「そうなの?」 | |
「あ〜もう!とにかくごめん!」 | |
「ちょっと聞きたい事があるから、電話したんだけど」 | |
「…寒いから、レズ萌え荘行ってからじゃダメ?」 | |
「何のために、私がわざわざ電話したと思ってるのよ?」 | |
「…ワガママ女」 | |
「何ですって?」 | |
「はいはい。何のご用で…?」 | |
「あんた、ひょっとして優衣菜とケンカした?」 | |
「…優衣菜がなんかゲロった?」 | |
「犯罪者か。優衣菜は何も言ってなかったけど、ちょっと様子がおかしかったのよ?だから、原因を探してたの」 | |
「何だかんだ言って、妹思いよね〜?」 | |
「うっさい!…あ、今横に彩花がいてね…」 | |
「う〜ん…。いや、これは確かに誰かに相談しようと思ってたんだけど…」 | |
「どうぞ?」 | |
「優衣菜がクリスマスプレゼントをくれたんだよ」 | |
「あら、いいじゃない?なに?学校でなんか作ったのかしら?」 | |
「ヴィトンの財布」 | |
「…は?」 | |
「私、ブランドとかよく解んないし、偽物かもしれないんだけど、優衣菜は本物だって…」 | |
「ちょっと…。あの子、そんなお金どこから…」 | |
「だよね?そうなるよね?だから、私問い詰めて聞いたんだ。 そしたら、ネットで稼いだって言ってた。リアルマネーうんたらとか…」 |
|
「リアルマネートレードのこと?」 | |
「それそれ。よく解んないけど、それいけない事だよね?」 | |
「…かな?彩花?リアルマネートレードっていけない事?」 | |
「ええ。ネット上の犯罪って取り締まりが難しいから、みんな罪の意識ないけど、まぁダメよね」 | |
「パチンコの景品、現金に換えるようなもの」 | |
「ちょっと違う」 | |
「あの…。手かじかんできてるんですけどー」 | |
「あ、ごめんごめん。で、続き続き」 | |
「まあ、それが悪い事だったらとんでもないし、第一そんな高いもの受け取れないじゃん? だから、受け取れませんって言って返しました」 |
|
「優衣菜は?」 | |
「悔しそうにしてた。残念です…って」 | |
「大人か」 | |
「やっぱりアイツ、悪い事してお金稼いでたのか…。お仕置きしなきゃだな。ありがと。優衣菜に電話する」 | |
「ちょ…ちょっと待ちなさいよ!」 | |
「え?なんで?」 | |
「プレゼント突っ返して、更に叱るなんて…いくらなんでも可哀想なんじゃない?」 | |
「だめだよ。こういう事はちゃんと叱らなきゃ。もし仮に悪い事で稼いだお金じゃなかったとしても、 子供があんな高いもの買うなんて間違ってるし、プレゼントはお金じゃなくて気持ちなんだって解らせなきゃ」 |
|
「…まあ、確かに…」 | |
「じゃ、そろそろ切るね。さみぃぃ〜!」 | |
「う、うん…」 | |
「静香、何だって?」 | |
「これから優衣菜を叱るって」 | |
「あらら…」 | |
(40分後) | |
「静香からメール来たわよ。優に伝言だって」 | |
「なに?」 | |
「さっきの優衣菜へお説教した結果報告〜」 | |
「どうだった?」 | |
「死ね死ね死ねって連呼された」 | |
「あ〜ぁ…」 | |
「優衣じゃあるまいし…。あの子も反抗期?」 | |
「……」 | |
戻る |