ケニアの旅 ”寒がりのマサイたち”
ケニアは赤道直下ですが私が訪ねたのは海抜1500mくらいの高地・予想以上に寒いです。 (低地はマラリアの危険があります)それでも薄い長袖で充分でした。 しかし町の人たちは厚手のフリースみたいな防寒服を着ています。そして冷暖房のないホテルにあったモノは・・・・・・

8th~18th Sep. 2005 

 


アフリカの赤道直下、東海岸に位置するケニア。
広さは日本の1.5倍ほど、首都はナイロビ。
公用語は英語ですが町ではスワヒリ語がとびかいます。
1963年に独立し車は日本と同じ左側通行です。
今回は野生の動物との出会いを求めての旅です。

 旅の始まりは、羽田から出発です。関空、ドバイと乗り継ぎナイロビまで行きます。 乗り継ぎが多いので厄介です。

ケニアと云えば山川惣治さんの”少年ケニヤ”です。 最近は映画にもなっているようですが思い出すのはむかし産経新聞に連載された漫画だったか小説だったか、 内容もほとんど覚えていません。そんな子供時代の思い出がとても親しみを感じさせます。
*山川惣治さんは”少年ケニヤ”の文字をケニア共和国大使館では 日本語表記に”ケニア”の文字を使っています。

首都ナイロビは海に近いせいか蒸し暑く交通渋滞が激しい大都市です。 車の排気ガスの臭いが町を包み込んでいます。急速な発展が招いた災いでしょうか!早くナイロビを離れたいです。
明日は動物の王国マサイマラへ行きます。

マサイマラには何もありません。広大な草原だけが目に入ります。 動物たちは群れ毎に自分たちのテリトリーを持っているようです。     
     
ヌーの群れが私たちを迎えてくれました。

湿地帯を含む大原野です。4駆のサファリカーで動物を求め走り回ります。 時にはさすがの4駆も湿地帯の窪みにはまって身動きならなくなります。 前に、後ろに車を揺らして脱出した時にはあらぬ方向を向くこともあります。

我々の乗っているサファリカーは動物を見るだけですが昔は鉄砲を持って追いかけたのでしょう。
その時の恐怖心がDNAに刷り込まれているのでしょうか車が近づくとそれまでこちらを向いていた動物たちは いつでも逃げられる体制に体の向きを変えてしまいます。
それでもロッジの前まで遊びに来てくれる小鳥もいます。

野生の動物は毛並みが綺麗です。 同行の仲間が云ってました。 ”シマウマのおしりを触ってみたい”と。 神様はホントに素晴らしい模様をそれぞれの動物に与えたモノです。 中にはチョット気の毒な動物も居ないとは云えませんが。
子供を見守る母親ライオンの姿です。


 弱い立場の草食動物は常に見張り役が居るようです。
私たちももちろん見張られているのです。
ほとんどの場合車を止めてカメラを向けた途端(カメラを取り出すと)
すぐに周りの動物は一斉に逃げ出します。


 無心に乳を飲む子ゾウと周りが気になる母ゾウ

マサイマラの大原野を走り回っても茂みの向こうにはまた原野が拡がります。 果てしない大原野に大きなバルーンがポッカリ浮かんでいます。この原野を空から見たらさぞかし楽しいでしょう。

 
このバルーンにも乗ってみました。
小さく見えるカゴにはパイロットを入れて17人乗っています。
(飛行中、隣のバルーンを撮しています。)
空の上は風も強く寒いのだろうか?揺れるのだろうか?一抹の不安と好奇心を感じながら乗り込みました。
全く風を感じません。風と一緒に動いているのです。風任せの初めての経験です。思いの外気持ちの良いモノです。 360度に拡がる大パノラマは時間を忘れさせてくれます。 そして重力に逆らうため突如響くバーナーの音で空に浮かんでいる不思議を再認識させられます。

マサイマラは赤道直下なのに思いの外寒いところです。
自家発電のロッジは夜間停電です。冷暖房もありません。 メイドさんが小さなユタンポをベッドの中にに入れてくれました。 ユタンポは日本のそれとはかなり違います。ゴムの袋で、子供の頃お世話になった水枕のようです。
実際にはユタンポがないと困るほど寒くはありません。 私たちが薄手の長袖で過ごすような時地元の人たちは厚手のフリースみたいなモノを着ています。皆さん寒がりのようです。


 ケニアと云っても動物がどこにでもいるわけではありません。
ナイロビのジラフセンタのキリンです。キリンの舌はヤスリのようにざらざらしています。


 ナイロビからマサイマラへは
   小さなこの飛行機で行きます。


 シマウマのお尻はかっこいいですね!
シッポにも模様が入ってるんですよ!


 ライオンの子供です。
草むらでお母さんをじっと待っています。一人で他の動物に襲われたりしないでしょうか?
実はこの子を見守るお母さんが少し離れた草むらに居たのです。(左下の写真) うっかり子供に近づいたら大変なことになります。


 小さな動物や、ライオンの
食べ残しなどを待っている斑ハイエナも
周りの様子をうかがっています。


 動物たちが一番気にしているのは
肉食獣ではありません。
カメラを横に振るとこんな光景が見られます。


 人里近くで、いぼイノシシのファイティングです
いぼイノシシは人を怖がらないようです。


 いぼイノシシは姿勢を下げる時前足を折り曲げます。


 バルーンは空気の冷たい日の出間際に
離陸します。


 バルーンから見ると
こんなカバの姿も見られます。


 楽しいバルーンの旅も終わり着陸の姿です。
カゴが地面に触った途端バルーンは
アッと云う間につぶれてしまいます。

 


マサイマラを離れて”埃”を意味するアンボセリの砂漠へ行きました。
今は乾期です。予想はしていましたが埃は並大抵ではありません。
乾期には竜巻や蜃気楼も起きる大砂漠地帯です。
雨期には巨大な湖に変身すると聞いてまたビックリ!です。


 砂漠の彼方、湖の向こうにキリンの群れが・・・・しかしこの湖は幻の蜃気楼です。
数十キロも車を走らせましたが湖はありませんでした。

アンボセリと云う言葉はスワヒリ語で”埃”のことだと聞いていました。 ホテルに到着した時にはその本当の意味が解っていませんでした。


 ホテルの周りには緑もあります。小さな動物も顔を出してくれます。 彼方には雪をかぶったキリマンジャロが見えています。

サファリカーでホテルを出発。気が付くと砂漠のど真ん中。 いたるところ埃だらけです。
車が巻き上げた埃は100m以上も煙幕のように拡がります。 強い日差しに地面が焼けていると車の起こした風をキッカケに埃が舞い上がり上昇気流にのって、 あっという間に竜巻が起こるのです。 竜巻と云っても小さなモノですが初めて見る私にとって”オオッ!”と云う感じです。

実はこの砂漠は乾期の間だけなんです。 雨期になると巨大な湖になります。それも塩水湖だと云うのです。
それ故、乾期でも塩を求めて動物か集まると云うことです。
実はまだまだ埃の凄さには気が付いていません。車を走らせると時には車内で埃が舞い上がります。 薄緑色のウインドブレーカはいつの間にかベージュ色に変わっています。 ベージュ色のズボンは汚れが目立たなくて幸い!と思いきや”埃高き男”に、 歩くと自分に積もった埃を舞上げる始末です。


 蜃気楼はときおり濃くはっきりと、ときおりボンヤリと消えてしまいます。

砂漠のはずれに小さな湖があります。もちろん動物が集まっております。 その一角にマサイの集落がありました。マサイ族は伝統的な生活を守っています。 写真を撮ることを嫌い、独自の生活をしています。

そんなマサイも観光のため生活を見せてくれる部族もあります。 これも生活(お金)のためなんでしょう。ピョンピョンと高く飛び上がる歓迎のダンスで迎えてくれました。
木を擦ってあっという間に火を付けます。真っ暗な家の中も見てきました。 ベッドと火床があるだけの小さな家です。入り口は小さくて横向きに作られています。 風や動物が入り込まないようにするためと聞きました。
小さな台の上にいろいろなモノを並べたお土産売店もありますがどれを見ても買う気にはなれません。 観光ズレしていてあまり雰囲気は良くありません。 これは此処だけでなくポーターは荷物から離れようとせず、ホテルの案内係りも写真を撮ればチップを要求する始末です。 チップに不慣れな私にとっては苦痛をも感じます。


 マサイの集落は枯れ枝と枯れ草で囲った2重の塀の中にあります。 これは動物の進入を阻止するためです。夜には入り口にも木の枝を積み上げます。実はもっともっと広いのです。 家は20〜30棟くらいあります。 それらは5〜6棟づつグループになって内塀に沿って建てられています。 一つのグループが一家族で家の数だけ奥さんがいます。中庭は夜間に放牧から帰った牛を入れます。 牛は大切な財産です。数十頭〜数百頭に及ぶ牛がいます。羊は家と家の間に(隣の家族の間)入れるようです。
この部族は壁も屋根も牛の糞と泥で固めた家を造っています。乾期のせいかあちらこちらがひび割れしています。 骨組みに細い木が練り込まれた木筋泥作りです。窓は小さく一つか二つで、中は真っ暗です。 明かり取りと云うよりは換気用でしょうか。
部族によって草葺きの屋根の家もあります。 それらは混在することはなく違う生活習慣なのでしょう。どちらの家も”木筋泥作り”は同じです。 崩れた壁から骨組みの木の枝が見えたりしています。


 入り口は必ず横向きに作られ小さな板戸がありました。 これは動物が入らないための工夫のようです。その板戸に南京錠がぶら下がっていたのにはビックリ! そんなモノ必要ないと思うのですが。
文明品はステータスなんでしょうか、右の写真・火起し中の若者の腕には時計が着けられています。 ものを売る時にも時計と交換しよう等と云います。
折れ曲がった通路の中にベッドがあります。大きいベッドと小さいベッド。 小さい方はよく判りませんでしたが大きいベッドは毛皮が敷いてあります。 暖房用なのか小さな炉があって炭が入っていました。


 間近に見る象は凄いです。この草もあっという間になくなりました。
アンボセリの埃のせいか象の色も茶色ぽい!


 朝の草原にはキリンがたくさんいました。
長い首がとても目立ちます。


 ホテルの裏庭に現れたハゲコウあまり動きません。
*有名な動かない鳥はハシビロコウです。


 木陰でビーズ細工をするマサイの女性。写真を撮らせてくれるのは珍しいです。


 ひょうきんな仕草を見せるマングースですが


 こちらを向くと精悍な顔をしています。


 砂漠の中を象の群れが移動しています。
象は子供を大切にします。
必ず親が子象を囲んでいるのです。


 砂漠の中に小さな窪みがあります。
それはハイエナの巣でした。


 マサイの火起しです。 アカシアの板に窪みを付け、乾燥したロバの糞を入れ木の枝を回して擦ります。


 あっという間に煙が立ち上り小さな炎は小枝に火をともします。


ホテルの裏庭のようなナイバジャ湖ではボートから、
フラミンゴの楽園と云われるナクル湖では水辺に集まる生き物たちを訪ねます。
やはり動物たちは水のあるところが好きです。


ホテルの裏に専用の船着き場があります。
少し雨が降り出しました。
雨をおして水辺に集まる動物たちをボートから見ようとナイバジャ湖クルーズに出かけました。キリンやシマウマ、インパラそしてカバに出会いました。


 出迎えてくれたのはカバの一家です。カバはなかなか顔を出してはくれません。 近づくとすぐ潜ってしまいます。

ホテルの庭に餌場があります。
何か来るかとしばらく待っていたら現れたのは白黒トキです。 小鳥たちもたくさん来ますが大きな鳥が来ると嬉しいですね。

今日はナクル湖へ行きます。ナクル湖は、あのピンク色のフラミンゴの楽園です。湖がピンク色に染まると聞いています。
噂どおりの一面ピンク色です。 よく見るとその中には他の鳥もたくさんいるのですが小さい鳥は影になって見えません。




 フラミンゴが湖にいっぱいです。その数は・・・

水があるところには他の動物も集まります。 アフリカハゲコウもじっとハネを広げています。 何時間も動かないハシビロコウほどではありませんがこの鳥もなかなか動きません。


  ハゲコウのペアリングです。でもずっとこのままなんです。 ハネをパタパタとか、こっちを向いてくれると嬉しいんですけど。

滅多に見られないシロサイも青々とした草を食べています。 草食とは云えこんなに近づくと恐怖を感じます。

ケニアは赤道直下の国です。高地にいるので暑さを忘れてますが日射は強いです。 道路脇に”あなたは今赤道の上にいる”と書かれた看板があります。 チョット寄ってみると桶に入れた水を穴から落として右に回るか左に回るか実験をしてくれます。 そうですコリオリの法則の実験です 。赤道を挟んでその向きがチャンと変わります。(見やすいようにマッチ棒が入ってました)
その昔、この法則を実証するには数百キロの距離が必要と習ったのですが、見事北と南では回転が変わりました。 赤道から南北に僅か10m程度離れただけでした。

赤道の上でコリオリの法則を検証しました。かなり怪しい実験ですが彼の技は凄いです。
おうちのお風呂の排水はどちらに回るでしょうか?何回かやると反対に回る時があります。お試しください!配管の構造などで回りやすい方向があります。
ヒヒは仕草が面白いです。子供を抱いてる親を間近で見るのは滅多にありません。 ホテルの窓枠に猿が来ています。
アフリカチュウリップ
花の形が似ていますがとても大きな木です。高さは5mくらいあります。

楽しかったケニアの旅も終わりです。
野生の動物はホントに綺麗です。 しかし彼らの間近を車で走り回るのは少なからずその生活を脅かしているのでしょう。 必要以上になれてしまってる動物、 人間を怖がり奥地に逃げ込んでそれでも安住の地を得られずその数を減らしてる種もあります。
マサイの人たちも少し観光ズレしています。
動物を見たいし、彼らの生活を脅かすことも気になる考えさせられた旅でした。


 船着き場近くの杭に鵜が羽を広げてます。しばらくこの格好をしていました。


 ペリカンの着水です。後ろに見えるのはカモです。ペリカンは大きいですね。


 ハゲワシがさらで回っています。何か獲物でも見つけたのでしょうか。


 ハゲコウはかなりたくさんいます。
のど(首かな)ははげています


 木ノ上にいるのは豹です。
この木は高さが20m位有りそうです。
そんな高いところに登っています。
大きな体でよく登れるモノと感心します。


 インパラの牡です。まだ子供です。
インパラはハーレムを作って生活します。
そのため複数の牡が一緒にいるのは子供の時だけです。


 木の上にある固まりは鳥の巣です。
一本の木にこんなにたくさんの巣があります。


 ケニアと云ってもこんな見慣れた鳥たちもいます。

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