HAMのための 工作教室 |
もの作りの原点・道具や材料について考えます。 |
幅広い知識を求められる |
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HAM(アマチュア無線)を楽しむためには幅広い知識と技術が要求されます。
もちろんただ遊ぶだけなら知識も技術もほとんど必要有りません。 「無線に必要な知識は電源回路から始まって低周波回路、高周波回路、アンテナ、測定、電磁波障害、など広い範囲を要求されます。」
と別のコラムに書きました。 インターネットや携帯電話などは知らないうちに人工衛星を使って中継されていることもあります。
情報化時代といわれ通信の基幹となる電波も不足がちです。
そのため貴重な電波資源を遊びのためのHAMに使わせておくのはもったいない等という言葉も聞かれます。 固定概念を持たない多感な小学生、中学生時代に将来最先端技術を背負って立つためのきっかけを与えなければなりません。
今、日本は技術の空洞化に悩んでいます。 なんといっても基礎が大事なのです。小学生の理科の時間を少なくするなんて文部大臣はなにを考えているのか理解に苦しみます。 小学生や中学生にはもっと多くの時間工場見学や物づくり作業の現場を見せることが必要です。 もちろん物づくりだけでなく社会活動現場の見学も大切です。 立派な教科書があり、テレビの教育番組でこのようなことはたくさん放送されていますからたぶん本もテレビも見ているでしょう。 もしこれでよいとお考えならそれは間違っています。 現物とテレビや写真は全く違います。月に1度くらい工場見学や、工事現場や、お店の裏側や、いろんな会社の見学をするべきだと思います。 机の上だけの勉強では不十分です。特に小学生や中学生には本物を見せる必要が有ります。 最近の子供は気の毒です。生まれたときからカラーテレビがあって中はどうなっているか考える余裕も無いのです。 昔のテレビはケースを開けると中身がぎっしり詰まっていました。 今のテレビは何にも入っていないといってよいくらい空っぽに近いのです。それで性能が良くて色もきれいに出るんです。 私の子供時代、電化製品はラジオがあるだけでした。鉱石ラジオは部品点数も少なく子供でもある程度部品の役割を理解できる物でした。 時計もゼンマイの力で歯車が回って針が動くことをはっきりと確かめることができました。 これを見て自分で作ってみたい衝動に駆られたのです。これが工作(技術)への目覚めでしょう。 今の子供にはこの部分が無いのです。時計を開けても中身は訳の分からないICと電池だけです。 どうひっくり返しても動作を理解できません。 電池にしても高性能化とともに開封はとても危険で間違っても”開けて見ろ”とは言えないのです。 昔の乾電池は簡単に開封でき口にでも入れない限り危険性も少ない物でした。 私くらいの年の人はたいてい乾電池の外側のケースが(−)で芯の電極が(+)とお思いでしょう。
外観は同じように見えても最新型のアルカリ電池は逆なんですよ!これは本の絵が古いままでさらに現物を開けてみていないから気が付かないんです。 このようにわからないことを調べようとするとき昔は図書館だけが頼りでした。メーカは個人を相手にしてくれません。 そこで頼りになるのがHAM仲間です。HAM仲間には各種多様の職業と専門家がいるのです。 王様、総理大臣、弁護士、警察官、教員、技術屋さん、坊さん、ふとん屋さん等々です。 そしてチャンスに恵まれれば、100年来の知己のように話すことができます。だだ残念なことに、最近は悪人もHAMをやっていることがあります。 昔のHAMは手作りが必須でしたから、工作に関する関心度が高く工作の師匠としては最高の仲間でした。 最近は大会社でもHPからの質問にはとても丁寧な回答をくれます。HPが新しい師匠になってきたようです。でも残念なことにHPは現物を見ることは出来ません。 HAMがジャンク屋通いが好きなのは、物がない時代を経験し工作技術を磨いたからだと思います。 そのため部品の知識が豊富で応用力に優れていると思います。 この知識と応用力は工作だけでなく生活の多くの面で役立っていると思います。 物あまりといわれる昨今でもこの応用力だけは失ってもらいたくないと切望します。 |
中学校の技術の教科書の引用です。 旋盤やヤスリ作業のイラストが有り別のページに詳しく解説されています。 ヤスリ作業はたぶん実技があると思いますがほとんどの生徒は旋盤の現物を見ることも無いでしょう。 ひょっとしたら教える先生だって現物を知らないかもしれません。どこかの町工場で見る機会が有れば理解は格段の差でしょう。 電気のページにはカラーコード表も載っています。 同じ教科書にハンダづけの解説図もあります。 しかしよく見るとハンダを持つ手、ハンダ鏝を持つ手、ペンチを持つ手、と3つの作業を同時にしなければならないのが判ります。 手は2つしか有りません。 おおむね不器用と言われる人は無理してこの3つ動作を2つの手でやってしまいます。 器用と言われる人は第3の手、つまり補助具(治具:jig)を用意して作業します。当然仕上がりもよいでしょう。 この辺が工作のコツかも知れません。 中学校の教科書は基本を知るためにはとてもよい書籍といえます。 引用した教科書は少々古いのですが基本はそんなに変わる物ではありません。 この本を読んで、その作業現場を見せることができれば先生が100回教えるより効果があると思います。
[写真はすべて中学校教科書 東京書籍株式会社 新しい技術・家庭 昭和56年版 より引用しています。] (一部追記 0209) |