HAMのための  工作教室

もの作りの原点・道具や材料について考えます。


ちょっとだけ電気回路
ちょっとだけ電気のことも勉強してください
電気には直流と交流があります。直流は乾電池や自動車のバッテリなどから供給される電気です。交流(周期的に電流の方向が変化する)は電力会社供給される電気が代表的なものです。私たちの工作で使う電気は、装置を働かせるための電気としてはほとんどの場合直流を使います。

しかし音を取り出す信号やや電波などは交流です。コンピュータなどの信号はパルスといって直流の断続です。ここでパルスについては考えないことにしますが工作的には交流に近いものです。

電気は金属の中を通ることができます。金属などを導体と呼んでいます。条件によっては空気の中や水の中も通ります。ゴムやガラス、乾燥した木(水を含んでいない)などは電気を通しません。不導体、絶縁物などと呼びます。

導体と不導体の中間的なものがあります。シリコンやゲルマニュウムなどが有名ですがこれらのものは特別な条件の時、導体になったり不導体になったりします。このようなものを半導体と呼びます。トランジスタやICの原料がこれに相当します。

導体の中には電気が通りにくいものもあります。半導体とは違いいつでも通りにくいので抵抗体と呼びます。そのほか交流回路で重要なコイルやコンデンサなどが電気回路を構成します。

直流の電気を電線などに流すとその周りに磁界や電界を発生します。また電線の抵抗のため熱を発生します。直流の場合これらの現象をエネルギーとして使うことが多いようです。

交流の場合も同じですが、交流の周波数(周期)によっていろいろなおもしろい現象が起こります。音声と同じくらいの周波数(低周波)なら発生した磁界を利用して振動板を動かせばスピーカになります。もっと周波数が高くなると(高周波)電線の中にとどまらずに空気中に飛び出していきます。これが電波です。さらに周波数が高くなると光として目に感じることになります。(注・この項の表現は正確さを欠いています。疑問を感じる方は電磁気学等の専門書を参照下さい。)

このように交流の場合私たちの電気としての概念を越えることがあります。そのため扱う周波数によって電気回路の配線の仕方、材料の選び方を変えなければ上手に回路を構成できなくなります。

急に現実的な話になりますが、電気回路・特に高周波回路は長く引き回さない、回路インピーダンスを乱さない、グランド(アース回路)は電位差を発生させない、などが重要事項ですが現実にはなかなか理解できないし、実行できないことが多いようです。

マイクロ波回路などでは配線をそのままコンデンサやコイルの替わりに使って回路構成をしていることもあります。馴れない人にはコンデンサやコイルがどこにあるかわかりません。

最初は簡単そうでしたがだんだん難しくなりました。でもこれらのことは頭のどこかに置いておけばよいことです。理解できなくても遊ぶのには困りません。電気の専門家になりたい人はとりあえず電気のことより数学を勉強して下さい。

鉱石ラジオの回路図

フリーハンドですぐ書ける鉱石ラジオの回路図ですが、各部品の役割を理解できますか?

一番右の部品はもしかしたら知らない人がいるかもしれません。クリスタルイヤホンです。最近多く使われているマグネティックイヤホンは鉱石ラジオには不向きです。

初心者の場合コイルについているSW、イヤホンの隣のコンデンサの役割が難しいかもしれません。電波の強いところならこのSWを省略して、適当なところ(好きなところ)にアンテナをつないだままでもたぶんラジオを聴くことができるでしょう。

コンデンサは有っても無くても同じように聞こえるかもしれません。

しかし電波の弱いところではこの部品の役割は重要です。場合によってはアンテナとSWの間にコンデンサを入れないとよく聞こえないかもしれません。

簡単な鉱石ラジオの中には高周波と低周波が仲良くお互いをじゃましないように流れているのです。

電波が強ければ鉱石ラジオでも上手に作るとスピーカを鳴らすこともできますよ!

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