HAMのための  工作教室

もの作りの原点・道具や材料について考えます。

 

電気の計算には必須の
 
デシベル(dB)

2倍3倍10倍を覚えれば間に合います。
電気の回路の解説や工学書を見ると”デシベル(dB)”という言葉が度々出てきます。
このデシベルというのは何なんでしょうか?

会話の中では**デービーとか**デシなんて云う人もいますが**デシベルというのが正しい表現です。

”デシベル” というのは端的に電気的レベルの比較を対数を使って表現したものです。
対数の本質的なことは数学の教科書に譲りますがその対数を使うと大きな数の計算がとてもかんたんでかけ算を足し算で処理できます。
電気回路でデシベルを使う場合基本的には値の比較をするために使用します。 デシベル値と実際の倍率は数表などに書かれていますが大まかなポイントだけ覚えていれば足し算と引き算で概略の答えは出るものです。
注意することはその値が電圧か電力か考えるだけです。

これだけなら実数比較でも良いのですが人間の感覚が対数的なことや桁数の多い数を扱うのは面倒なので好んで使われます。たとえばアンプなどの音量調節用の可変抵抗器は耳で聞いた感じが直線的に変化するように抵抗値の変化を対数的な変化に近づけてあります。
スピーカに加える電圧を2倍にしたとき人間は音が2倍になったとは感じません。少し大きくなったかなという程度でしょう。このとき電圧が6dB上がったと云います。
基準は0dBです。大きければ+(省略されることが多い)小さければ−を付けます。

デシベルはこのようなオーディオ信号だけでなく高周波やノイズなど電気信号全般や音圧レベルなどにも使われます。

先ほどの例では電圧(音)が大きいか小さいかの比較ですから単に6dB といえば良かったのですが、その電圧はどの程度ですかという”絶対値”を要求されるときもあります。この場合電圧は回路のインピーダンス(交流的な抵抗)との関わりが重要です。インピーダンスがかわれば同じ電力を供給しても電圧が変わってきます。ここで位相だの無効電力だのを持ち込むと混乱する方もいらっしゃると思いますからここでは無視して考えます。オームの法則でP=V・V/R抵抗が変われば電圧も変わってしまうのと同じように覚えて下さい。
オーディオ信号などでは回路インピーダンスは600Ωを高周波関係では50Ω、75Ωを使うのが通例ですがインピーダンスを特定しなかったりすることもあります。

600Ω系のオーディオ信号では600Ωの負荷に
1mW(1/1000W)供給する電力を0dBmと表記します。このとき負荷の両端の電圧は0.775Vになります
50Ω、75Ω系では負荷の両端の電圧が1μVのとき0dBμと表記されます。しかし最近はTVの信号など以外では50Ω系が多くなっています。当然ですが同じ電圧0dBμでも供給される電力が違います。
50Ω系では負荷に1mW供給する電力を0dBmと表記しています。電圧にすると0.224Vです。

このように絶対値表記では使う分野で0dBの概念が違いますので注意が必要です。そしてその表記が電圧か電力かキチッと認識しないととんでもない間違いを引き起こします。
これははじめにお話ししたようにレベルの比較をすることが大きな役割ですからその専門分野で都合の良いものを0dBにしたため起きた当然の現象です。そのため最後の文字(μ、mなど)が重要な意味を持ちます。この使い分けが少々やっかいです。

デシベルの計算
デシベルはlogP1/P2をベル(Bel)としたものですが実際には単位が大きすぎるので、1/10の単位(表示は大きくなる)を使用し10logP1/P2をdBとしたものです。電圧の場合は20logV1/V2とします。

dB(電力比)
dB(電圧比)
実倍数(概数)
10

10

20

10

実数値はX算dBは+算
増幅器の電圧実数値倍率がが36倍なら、36=2x2x3x3 ですからこれをdBで表すと6+6+10+10=32(dB) となります。
電力比で28dBのアンプは28=3+5+10+10
実数値では2x3x10x10=600 600倍のアンプになります。
この表にない数値は比例配分で求めれば問題なく計算できます。この表の数値はも概略数ですから正確な数値が必要な場合は数表を使います。減衰の時は−を付ければよいのです。

注意する事
デシベルを使って話をするとき本来はその条件(インピーダンスや電力比、電圧比など) を云わなければなりません。しかし一般的には聞く方が判断しなければならないことがほとんどです。この判断を間違うととんでもないことが起こるのは想像通りです。

 

※dbとdB 昔はdbを使っていたように記憶しています。
正式にはdBを使います。最初の は単位系の1/10を表すデシ(deci) B は人名の頭文字だから大文字ということのようです。

※おまけ 単位系の文字は普通小文字ですが単位が人名に由来するものは大文字を使います。
長さ:m、質量:g、時間:s など
電流:A,、電圧:V 、電力:W など
また倍率などを表す記号は10の3乗までは小文字、μ、p、d、h などそれ以上は大文字、M、G などとなっています。これに従って記述すると、
100m、10km、1mg、1kg、1μA、10V、10kHz、10Mhz、1000hPa、20dB という具合になります。
これらの表記法はJISで決められています。

 

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