HAMのための  工作教室

もの作りの原点・道具や材料について考えます。


工作に使う素材の知識
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アルミニュウムのはなし

 

軽くて加工しやすいアルミニュウム。
私たちの工作には最適な素材です。

アルミニュウム(アルミ・aluminum)
人類にとっては新しい金属です。
アルミニュウムは大気中ではすぐに酸化してしまうので金属アルミを還元するのが難しかったためです。
1円貨がアルミニュウムです。名前が長いので「アルミ」と省略されることが多いです。

白色でとても軽いのが特徴です。
そのため航空機の部材として使用されます。電気伝導や熱伝導が良いので電線(接続が難しいので一般用にはほとんど使われません。)放熱器、なべ、薬缶等の日用品、建材などに使用されます。
電子機器の筐体にも多く使われますが、不要輻射の問題から使用量は急激に減っています。しかし私たちの工作には不可欠です。
純アルミニュウムはとても軟らかいのですが合金にすると鋼材と同等の強度がある材料をつくることが可能です。航空機や高級アンテナなどは強度のある素材が使われています。

工作には純アルミ材。
工作の材料としては純アルミ材が一般的です。地金屋さんでは合金材も入手可能ですが覚えきれないほどの種類があります。カタログにあるからといって私たちがすべて入手できるわけではありません。
この工作教室で使うのも純アルミ(普通のアルミ?)材です。
曲げたり展ばしたり銅と同じように面白く使えます。工具に粘りつくのも銅に似ていますが大きく違うことは表面が強固な酸化皮膜に覆われているため普通にはハンダ付けができないことです。ネジ切(タップ立て)も銅と同じように難しい部類です。組み立ては穴あけしてビス止めが一般的です。
大気中で錆びは表面だけで内部には進行しません。しかしアルカリに合うと腐食します。
工作に使用する素材としては板金、パイプ、型材等です。
プリント基板を作るとき使う塩化第2鉄で簡単にエッチングもできます。

*アルマイト:アルミニュウムの表面はは自然状態でも強い酸化皮膜で覆われていますがこれを電気化学的にさらに強力にしたものがアルマイトです。
アルミ製品のほとんどがアルマイト処理されています。アルマイト処理工程の途中で染料により着色が可能です。この着色は内部に染み込んでいますから塗装のように剥げることはありません。

*電子機器の筐体に使われなくなってきた理由:アルミは自然状態でも表面は酸化皮膜ですから電気を通しません。私たちが作ったケーなどでは接合部の導通はありますが、これはネジの締め付けなどで酸化皮膜が破れることにより点接触で導通しているだけなのです。工業製品として最近は電子機器からの電磁波不要輻射が問題になることが多く点接触では解決できないため低価格製品は鉄素材に移行しています。
アルミ材でこれを解決するためには溶接などの技法を取らなければなりません。またタップ立てが難しいことも一つの原因でしょう。

*ハンダづけできない理由:ハンダづけは溶けたはんだと接合される金属が部分的に合金状態になることが必要で、常に表面が強い酸化皮膜に覆われているアルミはハンダづけできません。これは銅線などでも同じですがハンダ付けのとき使うフラックスで表面の酸化皮膜を取り去っているのです。酸化皮膜を取り去ることができればアルミもハンダづけ可能です。「アルミはんだ」としてフラックスとともに販売されています。ステンレスも同様です。

【 白色の1円貨・軽いので水に浮かせることができます。となりの100円貨は同じ白色でも銅合金(白銅)です。
アルミ1円貨と白銅100円貨

【 アルミ材は軟らかく工作しやすい素材です。打ち出し、エッチングによる加工もできます。表面はアルマイト処理することにより塗装いらずのきれいな作品の完成です。参考写真は ja1cvf 製作の1200MHzトランシーバ 】
1.2GHzハンディトランシーバ

打ち出しされたスピーカグリル
 
材料はどこで買うの?

銅と同じ販売ルートです。板金などはホームセンタ、秋葉原のケース、シャーシ、を売っている店、模型屋さん、ちょっとたくさん買うなら非鉄金属地金屋さんで買います。地金屋さんの場合、1Kgあたりの目方で計算します。店によっては切り売り(定尺品を必要数だけ切り売りする)もしてくれます。
アルミの型材は建材屋さんにもたくさんあります。地金屋さんと違うところは、ほとんどの商品がアルマイト処理済です。表面が固くてきれいな仕上がりになっています。地金屋さんのお客さんは素材を買って加工処理する業者が多いのです。


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