つぶやき エフさん!
 

 


アナログテスタくらい理解して欲しい

   先生にこんなこと云っちゃって良いのかしら!    【ja1cvf  0011】

このコラム書くのにずいぶん躊躇しました。

技術系の教員(おもに中学校)のサイトを読んでいるうちにいろいろ考えさせられました。
最近の先生は私たちの世代と違って”デモシカ先生”は居ないと思いますが、これで大丈夫?と思うこと度々なんです。でも議論になると結構好いこと云ってます。
どうも知識と知恵が結びつかないような気がします。
最近は教員になるの結構大変なようですがその難関をくぐり抜けてきた先生がんばってください。

ある先生の質問に回路計(テスタ)の原理教えてください。
また他の先生テスタはどうして交流電流が測れないの?それに対する解答・テスタはテストする計器で測定器で無いから。(この部分ちょっと誇張しています)
テストする計器と測定器どこが違うんでしょう?
もう一つの解答・テスタのメータは直流電流計を使っている、電圧はテスタを回路に並列に入れて分流した電流を整流して読んでいる。電流を測るときは直列に入れなければならないのでそこで整流したらその回路に流れる電流は交流ではなくなってしまうから測れない。・・・???これじゃ生徒がかわいそう。
このはなしは段々それて携帯電話でテスタの針が動く話になってなんとなく消滅?
もし私が答えるならば、交流の電流を測れるように作ってないからと答えたかも。(これじゃもっとわからなくなる?)
テスタは直流電流計を使って、直流の電圧や、電流、交流の電圧、電流、さらに抵抗などを測れるようにしたものです。
電圧計も電流計も交流用(一部の例外あり)も直流用もほとんど直流電流計を使っています。つまり使い方の応用なんです。

しばらくしてこんな質問。
テスタの交流電圧レンジで低い電圧レンジはどうしてメモリが詰っているんですか?と生徒に聞かれた先生の質問。
その解答・整流器の”損失”による。これは間違いではありません。この損失、なんか気になる表現です。先生向けの解答だったら接触電位差まで踏み込んで欲しい。この損失(接触電位差)を解明したのがトランジスタの発明につながったという話をして欲しかった。
中学校の技術科は凄く範囲が広くてその割には授業時間が少ない、しかし知識を知恵に換えるとても重要な教科だと思ってます。実技優先の技術科だからこそオームの法則空で云えなくても興味をそそる話をして欲しい。きっと将来を左右するきっかけになるのではないのかなあ。
絵や写真でなく本物を見せることが興味を惹く上でとても大切なことでしょう。その本物を見せられるのが技術科なんじゃないかなあ。
技術科の先生専門は何かなあ!

門外漢のエフさんついつい余計なことを!
釈迦に説法・ごめんなさい!

【直流電流計】
原理は、導線に電流が流れると導線の周りに磁力線ができます。この磁力線を利用して指針を動かしその動き具合から電流値を計測するもの。
一般的には1mA位でフルスケールになる可動コイル型ものが多いようです。
ではもっと大きな電流を測定したいときは?特別なものを除いて、たとえば100Aなんて云う電流計は作りません。コイルに100Aも流れるように作ったら太い導線を使わなければならず、製作上困難です。そこで分流器という考えが出てきます。計器そのものは1mAで並列につないだ分流器に99999mA(99.999A)流すようにしてフルスケール100Aと読み替えます。
【直流電圧計】
これも実際には電流計を使います。電圧の掛かっている回路に並列に入れて計器に流れる電流を電圧に読み替えます。
乾電池の電圧を測るとき電流計を直接繋いだら普通に使われる1mAの電流計は多分壊れてしまいます。(理想的な電流計はコイルの抵抗が限りなく0に近いですから、無限大の電流が流れます。実際にはコイルの抵抗は150Ω位のものが多いようです。)
1.5Vの電圧でフルスケールになるようにするためには電流計の回路に1mA流れればよいのでコイルの抵抗が1500Ωの電流計なら具合がいいのです。つまりコイルの抵抗が150Ωの電流計のときは1350Ωの抵抗を電流計に対し直列に入れて計ればよいのです。こう云う抵抗を倍率器と呼びます。
【交流計器】
交流の場合は分流器や倍率器を出た電流計のところに整流回路を入れるのが普通です。もちろん交流専用の計器もあります。
【テスタは】
テスタはこれらの分流器や、倍率器をスイッチやプラグで切り替えていろいろな測定(抵抗値も計れる)に使えるようにしたものです。テスタは弱電(電子機器の内部に使われている電気・おもに直流)向きに作られているものが多く、交流向きのレンジが少ないのです。
【おまけ】
交流低電圧のメモリの詰り具合は高級テスタほど少なくなっています。整流器に接触電位差の少ないものを使うのも一つの方法ですが高感度電流計を使用することにより影響は少なくなります。
最近の高級テスタは数10μA程度の電流計が使われています。このことは直流の場合も同じで、省電力化が進んでいる電子回路では電圧測定に1mAもの電流が流れるようでは使い物にならないことが多くなっています。そのため電圧計の内部抵抗が”10KΩ/V”のように表示されています。デジタルテスタの内部抵抗はもっと大きくなっています。 

テスタの中身

【テスタの中身】 
大抵の方は見たことがあると思いますがおおむねこんな感じです。
電池の下側四角い部分が心臓部電流計です。
上の電池・抵抗測定のときこの電池を使って被測定抵抗に電流を流し抵抗値に読み替えます。下左側の可変抵抗器で0Ωのときフルスケールになるように設定します。
左側中央・電流測定用分流器には比較的太い抵抗線が使用されています。
右側中央・黒くて見えにくいですが電圧測定用倍率器です。
右下・整流器は黒い部品です。小型の亜酸化銅整流器が使われています。ちなみにこのテスタは交流1Aが測定できます。

このテスタは比較的旧式です。大手メーカー製ですが製造年が記入されていません。さらに電圧計内部抵抗も表示されていません。ちょっとビックリ!

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