アルミ切断定規が進化して
工作ベースの機能を融合しました。

ja1cvf・マネッコ工房  0206
追記 改訂  1011

 


つくば工房の”アルミ切断定規”がヒントというより”モノマネ”
さらにRINNさんの「工作ベース」のアイディアを組込発展しました。


アルミ板の切断は薄いものでしたら定規を当ててカッターで筋目を付け折切るというのは 良くやる技法ですがキレイに切るためには裏表両面にズレないように切れ目を入れるのが以外に難しいのです。

その治具がつくば工房 から販売されています。 裏表から定規で挟みカッターの位置を正確にガイドするものです。構造はカンタンですがたしかにうなずけるものです。 自作もカンタンです。ただしフラットバーの先端をキッチリ直線にそして薄くカットするのが大変です。(つくば工房の大久保さん曰く”人間フライス”の技法)
それならばと、スチール定規を2枚使ってみましたが薄すぎて力不足です。

工房にお邪魔したとき”切断定規”をすぐに購入すればいいお客なんですが、 チョット横にあったハゼ折りに使う刀刃が目に止まってしまったのです。切断定規を買わずに刀刃を2枚買ってきました。
間に0.8mmのアルミ板を挟んで50mm間隔に正確に穴をあけ片側1枚はタップを立てます。
この穴あけは先端が裏表ピッタリそろっていることが絶対条件です。
0.8mmのアルミというのは私の作業が1mm板を対象にしているためで材料をキッチリ挟むため工作材より少し薄目の板を挟みます。挟み板を何枚か作っておけばいろいろな厚さに対応できます。
刀刃の長さは455mmでしたから400巾の板迄対応出来ます。 狭いものは止めネジ位置をを使い分け対応しましょう。
刀刃の巾は約70mmありますがこのくらいあれば腕木をのばさなくても充分力が入ります。 これが狭いとしっかり挟めないばかりか折切るときに力が入りません。
もちろん少しずつ折り曲げるのがキレイに切るコツであることは変わりません。

ちなみに”刀刃”はホームセンターなどではほとんど見かけません。 ご希望の方はつくば工房にご相談下さい。
なお、これを自作するよりつくば工房 の切断定規の方が安いことも付け加えておきます。
しかしこのような工夫をすることが工作の楽しみの大きな部分であることは云うまでもありません。

*つくば工房のサイトは現在接続できません。

刀刃を裏表に2枚合わせ間にスペーサを入れただけです。締め付けのキャップスクリュウは長すぎると使い勝手が悪くなります。(6X10使用

間に挟むアルミスペーサは左右とも3分割しています。 必要に応じて厚さや巾を変えて素材の大きさに対応するため留めビスの位置を変え固定します。素材の厚さによりスペーサの厚さ(2枚重ねなど)を調整します。

刀刃:板金加工用の工具。 トタン板などをはぜ折りするとき拍子木とともに使う板金折り曲げ工具。 写真ではわかりにくいが先端が刀の刃のように研削されているのでこの呼び名がある。 板金作業の変化のためホームセンターなどではほとんど見かけません。

工作ベース L

アルミ切断定規は前述の通りつくば工房から発売されていたものです。その後、RINNさんのアイディアで固定機能と回転機能を持たせ工作ベースとして発展していきました。
RINNさんのホームページはこちらです。http://rinn.web.infoseek.co.jp/
工作ベースは初期の切断定規としての機能だけでなく大型万力*のように使える固定機能、使いやすさの追求として回転機能が組み込まれています。
*力としてでなく大きな板材などをつかむこと能力です。
ここに来るまでに2連万力というようなアイディアもあったように記憶しています。

ここに紹介するものはアルミ切断定規、工作ベース共に大きさ素材が異なりこれらのアイディアを私なりにアレンジして作ったものです。    (追記 ja1cvf 1011)

以前作ったアルミ切断定規にアングルを使って定規固定機能を持たせました。
安定した作業姿勢が得られるので直角や寸法出しが簡単になりました。
定規が作業机から手前にせり出しているのがポイントです。
このせり出しがあるので400X1200の定尺板も簡単にセットできます。
定規の幅は450mm(有効幅410)です。
写真ではプリント基板をセットしていますがベニヤ板やプラスティック板などもセットできます。
この写真には有りませんが場合によりハンドバイスやシャコ万力を使って定規の中央部の膨らみを押さえるとさらに安定した作業が出来ます。

工作ベース L

依然作ったアルミ切断定規を改造したのでずいぶん大きなものになりました。
定尺板も切れるのは良いのですが少々邪魔な場合もあります。
収納を楽にするため簡単に分解できるようにしてあります。
この「工作ベースL」を使うシーンはそれほど多いものではないと思います。

アルミ切断定規は前記のとおり、薄板を切断するとき、アマチュア的技法として切断位置の表裏両面にカッター等で切れ目を入れて折切るために切れ目を入れる定規です。
2枚の金属板(この場合刀刃)を正確に位置合わせした状態で挟むため両面がずれることなく作業性が向上しました。
しかし位置決めの時、自由度が大きい代わりにケガキ線に合わせ難い欠点がありました。
この欠点を補うために定規を固定する機能を追加しました。

私は工作ベースの機能を切断定規の進化と考えたのですが、工作ベースを考えたRINNさんはもっと多くのことを考えていたようです。
つまり板金の切断だけでなく他の工作シーンを想定していたようです。
RINNさんのホームページを参照下さい。
http://rinn.web.infoseek.co.jp/
そのために素材も入手しやすいフラットバーを使っています。
実は私が使った刀刃は切断定規を作った当時でも入手が難しい状況でした最近はさらに難しくなってるようです。
ホームセンタでは見かけることがほとんどありません。
netで刀刃(トウハ、カタナバ)で検索すると扱業者を見つけることが出来ます。
刀刃は素材が硬く使い勝手がよいのですが入手できなければ話になりません。フラットバーでも充分その機能を発揮できます。
また作業によっては幅が広すぎることもあり無理に探す必用もないでしょう。

刀刃のサイズは約 450X67 他に小さいサイズもあります。大きい板を挟むには都合良いのですが、小物の工作には大きすぎます。
私は次の予定としてもう少し小さい「工作ベース・ミニ」を作ろうと考えています。

今回の工作ベースLに必用な材料はこの4つのアングルピースです。
これは50X50X5のアルミアングルから切り出しました。長さは60mmです。


色が黒いのは、中古材で塗装されていたためです。

そのうち2個は片側だけ20mmに切り落としましたが特に決まりは有りません。
作業台にセットしたとき切断定規が前面にせり出すように位置関係を決めます。定規の下側が空間になっていることが絶対条件です。
この工作ベースは簡単に分解できますので邪魔になるときは撤去できます。

作業台の固定金具と定規の固定金具、左右同じで2個作ります。
この部分を「回転ベース」と呼ぶことにします。
穴位置など正確に作ります。もし狂っていると再組み立ての時上手くできなかったり動きが悪くなったりします。
時間を掛けて丁寧に作ります。
考えながらの作業でほぼ一日かかってしまいました。

かなり丁寧に作りましたので、穴開け、タップ立て共に気持ち良くできました。

回転ベースの組み立ては作業性を良くするためナットは使用せず全てタップ立てしました。
右2枚の下側が丸みに削ってあるのは回転時の当たり逃げです。ほかの部分も丸みをつけたほうが作業の安全性が高くなるように思います。


軸ねじ(6mm)の右側の小ねじは
90度毎の回転止め。(反対側も同様)

取付け金具を作業台の際に取り付けます。
水平にセットしましたが垂直にすると作業台の前へせり出してきます。
このせり出しがないと大きな板はセットできません。


作業台への固定はビス止めですがシャコ万力や
クランプなどで簡単に止めるだけでもOKです。
材を定規に固定するビスは表から締めますが
両サイドのビスだけはアングル側から入れ
定規の締め付けはナットです。
これは切断定規の名残(タップ穴)です。
しかしこれが裏から固定されてるために材の締め付け時にも安定して作業できます。

定規が垂直の状態で板の両面からカッターで筋目を付けます。
最初は軽く次第に強く。筋目が付いたら軽く折曲げます。ほんの僅か折曲げ同様に反対側から。これを繰り返し金属疲労を起こさせ切断します。

大きく折曲げると板に曲がり癖が付き綺麗に切れません。
何回かやればそのコツは直ぐ判ると思います。
幅広い板の場合は押し板を使うと良いでしょう。(これの詳細は別項で)
また定規の中央部が膨らまないようにハンドバイスやシャコ万力(クランプ)などで挟んでおきましょう。
簡易折り曲げ器としても使えます。

工作ベースミニ

大きすぎて使用頻度が少ない 「工作ベースL」 は切断定規が在ったからすぐに出来た改造です。
それに比べ 「工作ベースミニ」 は大きさがちょうど良い・万力の懐が狭いことを補うためにそれを使うシーンはたびたびあると思います。   
(追記 ja1cvf 1011)

 


[ミニ」の定規を付けたところ、回転ベースは「L」と共用・使いまわし。


定規の取り付け位置はこのように手前に付けることも出来ます。

工作ベースミニは「L]の回転ベースに
小さい(有効巾185mm)切断定規を付けたものです。
2枚の定規がきっちり重なることが絶対条件です。

工作ベースミニは有効巾200mmを目標にしました。
回転ベースは L と共用です。
使用頻度を考えると専用部品として用意するのは無駄でしょう。

手持ちの材料を探したところステンレスのフラットバー(2X20mm)が出てきました。
当初は鉄材を使う予定でしたが素材の硬さや仕上げがよく端面の加工*も不要なことからこれに決定しました。
ちょっと薄いので大きな作業には向きません。
厚さ1mm以下のアルミ板専用と考えています。
*端面加工・一般の鉄フラットバーは端面が丸みを持っているので切断定規などの目的では端面を平らに加工しないと切断面が曲がる可能性があります。
端切れの材を使用したため有効巾は185mmになりました。
小物を加工するのにちょうど良い大きさです。作業台との固定はシャコ万力で充分。

工作ベースの一番基本的な作業モードは薄板の切断です。
L と ミニ を使い分けると大きな板も小さな板も正確に切ることが出来ます。
この機能だけで工作ベースの価値があると思います。

【 とりあえず切断機 】

これはアルミ板を机の角などにあてがい押し曲げを繰り返し、切る方法の発展型です。
この作業では回転ベースにロックビスを使用し回転しないようにします。

写真は見やすいように穴あき基盤を取り付けてみました。
固定用の定規部分は作業台の前にセリ出していますので長さの制限は気になりません。
このような状態で所定の位置に固定できます。
固定用のビスは4箇所しかありません。
この例では効果的に機能しているのは定規締め付けビス1本だけです。両サイドの2本は定規と回転ベースの接続用です。材の固定用としても機能しています。材の大きさでどのビスで固定するか決まり、両端のビスの間に入る大きさなら問題はありません。


2枚の定規にはこのようなスペーサを入れるとキッチリ締めることが出来ます。
1mm板を使うことが多いので0.8mm(1mmでも可)で作りました。ワッシャーでも代用できます。

ビスだけでしっかり固定できないなら、その代わりにハンドバイスが活躍します。
これはロック機能があるプライヤのようなものですが工作ベースには必需品です。
作業台との固定もシャコ万力を使っています。この固定にもハンドバイスを使うことが可能です。脱着がとても簡単です。

材がしっかり固定されたなら、カッターで両面から切れ目を入れます。
この作業は L と同じです。
2枚の定規がピッタリ合っていれば表裏同じ位置に切れ目が入ります。
アルミなら普通の紙切り用、ベークやアクリルなどのときはプラスティック用カッタを使います。大型のカッタが良いでしょう。
はじめは軽く筋目をつけ何回か繰り返し筋目を深くしていきます。
アルミのときは全体を少し押し曲げ、反対側からまた少し押し曲げます。
それを繰り返すことにより金属疲労を起こし綺麗に切れます。
プラスティックの場合は頃合を見て一気に折り曲げれば切ることが出来ます。
切れ目も片側だけで良い場合もあります。少し練習が必要かもしれません。
木工用としてベニヤ板、薄板なども切ることが出来ます。

切断機としての機能が一番の基本になります。
水平あるいは斜めに固定すれば罫書き作業や配線作業にも使えます。

【 単純折り曲げ 】

工作ベースミニでは「単純折り曲げ」ということで高度な折り曲げは考えていません。
*一回だけ折り曲げてL型の部品を作る。

このような小物部品の製作・折り曲げが出来ます。

写真ではきれいに曲がったように見えますが角が膨れています。
この膨れが仕上がり誤差になります。何枚作っても同じに作るのはかなり難しいことです。
このような折り曲げには当て板など使って曲げましょう。気を抜くと必ず失敗します。
また回転軸にも必ず固定用ビスを使用してください。

【 押し板 (中央先行折り曲げ板) 】

さらにRINNさんは正確さを増すために中央先行折り曲げ板と云うのを提唱しています。原型はフラットバーを少し湾曲させ中央部を膨らませたものと思います。
マネついでに作ってみたのがこれです。

私は木材の端切れで作って見ました。
慣れないせいか?贋物のせいか?あまり具合が良いとは云えません。
私としては幅広い面を使うのが使いやすいと感じています。
しかし折り曲げ面はシャープにならず正確に曲げるのは至難の業です。
*平板で押した場合中央が膨れやすくなるのは事実で中央を先に曲げてしまうのは理にかなっています。うまく行かないのは押す力が弱いためかもしれません。練習が必要!

【 使いこなしのために 】

工作ベースミニは定規の素材が薄いことなどこのままではRINNさんが提唱するような打撃方式には無理があります。
これを使いこなすには機能と限界をよく理解することが必要と思います。
RINNさんのホームページにはいろんな応用例が出ています。
かなり高度な事例も出ています。どこまでヤルかは悩ましいところです。
参考にしてください。

*林ホビー工作研究室
http://rinn.web.infoseek.co.jp/

 

【 L板カットアダプタ 】 

工作ベースを作るきっかけとなった作業の一例です。
アルミアングルでアダプタを作りました。

既製品のケースに手を加えるとき苦労したので作って見ました。 すでにL字に加工された板を途中で切断します。

L字に曲がった部分は強度が落ちています。
折り曲げ切断するときはL字部分に力が掛からないようにしないとL字部分が切れてしまいます。

綺麗に切れました。

このように前面パネルに部品を付ける場合に原型のままでは組み込みが困難です。
このケースの場合、部品取り付けを蓋側にしないと組み立てられません。
それでは仕上がりが綺麗に出来ず気になるところです。それを見事解消しました。

*参考事例・超手抜きスイーパ
http://park15.wakwak.com/~ja1cvf/
diy/sweeper/sweeper.html

2枚のアルミアングルに挟んでカットします。
使用頻度を考えればアルミアングルで十分でしょう。

2枚のアングルの間にL部分を挟み工作ベースに友締めします。

L板カットアダプタの間にケースの切断部分を挟みます。カッターで切れ目を入れ折りきります。

わかりやすいようにアングル部分の拡大イメージ写真。アングルで補強されL字加工部分には力が掛かりません。

 

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