キットで作るLCメータ
 使いやすいケースも作ります

ja1cvf  0905


C(コンデンサ)メータは持っているのですがチョット守備範囲が不満です。

造りなおすコトを考えていた時に良さそうなキットが目に付きました。
コンデンサだけでなくコイルも検査できます。久々にキットを楽しんでみました。

完成したLCメータ。

ケースは付属しません。市販のケースを加工して使っています。
電池は外部に出してあります。

コンデンサの容量の他にコイルのインダクタンスも測定できます。有効精度は約1%。取説をホームページからみることが出来ます。参考にして下さい。


グリーンのマーク部分が最適使用範囲です。
ストロベリー・リナックス社の取説から引用。詳細はこちらを参照下さい。製品の仕様、取説など閲覧できます。
http://strawberry-linux.com/

今回の製作はストロベリー・リナックス社のキットを使用しています。

こちらは今まで使っていた容量計・C(コンデンサ)メータです。測定周波数は3.5MHz帯です。
見ての通りアナログ式で有効読み取り数値は2桁、
0〜100pFまでを実用的に測定できます。
この様な小容量測定には”0・ゼロ”の値がとても重要です。
この容量計が0を確信持って云えるのは安定な発振器と供試コンデンサを含めた自励発振器と周波数を比較するゼロビート法を採用しているからです。
ゼロビート法は測定時の浮遊容量をキャンセルすることも簡単に出来ます。
測定精度には不満はなかったのですが「もう少し大きな容量を測定したい」 その要求に容量直線型の可変コンデンサが手に入りにくかったため改造を躊躇しておりました。(比較用バリコンの入手が困難)

この容量計唯一の欠点は供試コンデンサを繋ぎダイヤルを回しゼロビートを確認しそのダイヤルメモリからチャートにより容量値を知ると云うめんどくささがありました。

市販の容量計のほとんどが供試コンデンサを繋ぐだけですぐに容量値を知ることが出来ますので、大きな欠点と云わざるを得ません。秋葉原のパーツ屋さんに使って貰いましたら「コレは面倒だ」と言下に言われたのです。

測定前に周波数を記憶しておけば供試コンデンサを繋いだ時ゼロビートにして自励発振器の周波数ズレを確認することなく、 「供試コンデンサを付けた時の周波数を読み取ればコンデンサ容量値を逆算することが出来る」。 コレは製作当初から気がついていたのですが、その度毎にその演算を手作業でやるのは大変な作業ですがコンピュウタにやらせれば簡単なことです。
しかし、その面倒な演算を瞬時にやってくれるコンピュウタやソフトに関する能力に欠けている私には難題でした。

簡単で使いやすい容量計はないモノか!

最近のデジタルテスタには容量測定機能が付いたモノがあります。 しかし浮遊容量キャンセルが出来ないモノや大容量向きがほとんどで小容量測定が困難名モノが多いです。 私の要求する0〜200pFを読み取れるモノはどれも皆高価です。そしてブリッジを使ったものは操作も面倒です。

そんなある日、見つけたのがこのキットです。
測定原理が気に入りました。私が良いと考えてる方法と同じなのです。
前記アナログ式で課題だった厄介な演算はマイコンにやらせて瞬時に容量が表示されます。
ゼロビート法では有りませんが自励発振器の周波数変化を逆算して容量を求めています。
微少容量測定には周波数変化置換法は最適と思っている私ですからすぐ気に入ってしまいました。
お値段もそこそこです。
そして、オマケと云っては申し訳ないのですがコイルのインダクタンスも測定できます。 考え方はコンデンサの時と全く同じで発振器のコイルが変化した時の周波数変化を逆算してインダクタンスを求めます。
もちろん欠点もあります。自励発振式の場合、広範囲の測定には向きません。それはひとつの発振回路で広範囲をカバーすることが浮遊容量や発振条件などの問題で新たな誤差を生むことになりかねないのです。
このキットでもあっさり諦めて不安定な領域と表示しています。
大容量の測定には安価なデジタルテスタでカバーしましょう。

このキットはケースがありません。
測定器ですから安定な動作を望むならキチッとケースに入れましょう。
ケース作りも楽しみなモノ。

netで注文してすぐに到着しました。
便利な時代です。

キットの組み立て(付属の説明書を優先して下さい)

基板の組み立てが心臓部です。詳しい説明書が付いていますから安心して組み立てることが出来ます。
部品表を見ながら順番に組み立てていけば間違いなく完成します。非常に完成度の高いキットと感じました。
初心者で部品名と実物が判らない場合でも説明があり良く読めば理解できると思います。
この様なキットを組み立てる時の一般的原則は、「説明書の手順を守る」ことです。
強いて云えば、
部品のマークと基板の表示の向きを合わせる。極性のあるモノは極性優先ですがそれ以外は必ず基板の表示と部品の表示の向きを合わせましょう。 あとで点検が楽になります。表示の向きを確認することは部品の付け間違いが無くなることに通じます。
部品の背が低いモノから先に取り付ける。(組み立て手順書が優先です)
半導体はソケットが有る場合ソケットだけを付ける。(組み立て検査後ソケットに嵌める)
電源を入れる前に部品取付の再検査をする。「何処か間違ってる」と云う気持ちで検査します。 うまく動作しない原因は高周波のアナログ回路以外ほとんどがハンダ不良です。

このキットはスルーホールの両面基板を使っていますのでハンダ付け不良が発生しにくい反面部品を間違えて取り付けた場合、 外すのが大変困難です。3本以上の足を持つ部品は特にご注意下さい。 また一度ハンダ上げした部品穴は綺麗にハンダを取り除かないと部品が挿せないこともあります。

測定器として使うために・基板が完成したらケースに入れます。

測定器としていつでも安心して使うためには簡単なモノでもキッチリとしたケースに入れましょう。それにより信頼できる測定器になります。


最初に思いついたケース・透明のプラスティック製。
こんな感じに組み込もうと思ったのですが・・・


入れてみるとしっくりしません。

検討の結果、市販のケースで都合の良いモノが見つかりました。タカチのYM-100です。
しかしこのケースの場合電池を内部に組み込むことは出来ません。
コレはマイナス要因ではありません。
私はこのLCメータの使用頻度を考えた時、電池は外付けの方が良いと考えています。
その理由は使用頻度が低いと使わないで放置された場合、電池の液漏れが心配です。
またSWの切り忘れで気がついた時には使えないこともあり外付けを旨としています。
なお、このキットにはオートパワーOFF機能がありますのでSWの切り忘れは気にしなくてもOKです。
使い勝手や使い方のシーンを考えているウチにだんだんイメージが膨らんできました。


タカチのケースにこんなの有ったかな?
YM-100ですがチョット工夫してみました。

タカチのYM-100はあまりにもピッタリで余裕がありません。馴れない方にはチョット難しいかも知れません。
ケースを選ぶ時はどういう使い方をしたいか、出来上がった時のデザインはカッコ良いか、耐久性は大丈夫か、点検も簡単にできるかなど色々試行錯誤してお考え下さい。
実際に組み立ててから使い勝手を考えSWを一部変更しました。また、キットの説明にも有るとおり測定端子の変更も考えてみました。コレはあくまでも私の好みの問題です。
こういう改造も完全キットにはない楽しみを与えてくれます。そして物づくりの道にのめり込んでいくのです。
最初のイメージと出来上がった時の実物はチョット違うかも知れません。
既製品を使う場合はどうしても予定通りに作れない場合もあります。それらを試行錯誤しながらまとめていきます。


こんな手持ち部品がありました。
ワンタッチ端子とタクトSWです。

【 SWの変更 】

このキットでは電源SWとゼロ(0)補正SWは小さなタクトSWを使用しています。手持ちにチョット大きなタクトSWがありましたので変更してみました。
残り二つつのSWは敢えてそのまま残しました。
この二つは使用頻度が低いことや不用意に操作しない方がよいことなど考えケースに小さい穴を開けボールペンなどで押すようにしました。
この辺が一番工夫した部分です。考えようによっては隙間からゴミなどが入りやすいかも知れません。

【 測定端子 】

測定端子用には2pのネジ式端子が付いています。どうも使いにくそう。色々試してみましたが端子を付けず基板のままが意外にも使いそうです。スルーホール基板なので基板の穴にコンデンサなどのリード線を入れれば問題なく使えます。いちいちネジを締めることはありません。
チップ部品もパターンの上に載せ楊枝などで押さえれば簡単に測定できます。
たまたま手持ちにあったワンタッチ式端子を使うべきか迷っています。ワンタッチ式端子を使うとチップ部品用アダプタが必要になります。

どうしたモノか、けっこう迷っていたのですが迷いに迷って写真にあるワンタッチ端子はとりあえず使わないことにしました。
不便を感じた時にはいつでも取付可能です。供試コンデンサ類は基板の配線用穴に挿して測定します。
この場合リード線がケースの底面に当たってショートする可能性がありますので測定端子下側のケース部分に絶縁テープなどを貼っておく必要があります。

【 電池は外付け 】

電池は外付けと云いましたが、ケースの外側に電池スナップを付けます。そして、そこに電池を差し込んで使用します。使用中は電池が不細工に飛び出した形になります。コレはあまりにも突飛な考えですから理解できないという方も居られるでしょう。
スマートに納めるなら電池を組み込むことを考えるべきです。

☆ 付属の取説には電池を交換(電池の取り外し)をしたときにはキャリブレーションをやり直すように書かれています。何回か電池の脱着をしていますがキャリブレーションをせずにも不具合は発生しておりません。
☆ オートパワーOFF機能についても電池の脱着が不具合を誘発することはないようです。

電池の脱着を頻繁に行うと極性を間違えて接続する危険が増えます。電源端子に直列にダイオードを入れて保護しています。
電池はケースの側面にマジックテープで固定します。使用後は電池を外しておきます。

【 ケースの加工 】

ケースはタカチのYM-100です。ツートンカラーケースの下側と今回試作の基板はあまりにもピッタリで、前面の側板を下から10mmのところで切り落とします。その上に基板が乗ります。また後面のの側板にも切り込みを入れて基板を嵌めます。
さらに、下方のリブにカバー取付の為ビス穴を開けておきます。

上カバーもSWなどの関係で一部くりぬいています。

SW部分はケースをくり抜いただけでも良かったのですがゴミの混入を防ぐためアクリルのカバーを付けました。
液晶部分の保護カバーは付けていませんが破損防止のフイルムを貼っておく必要があると思います。

透明にしたのは手持ち部材の関係です。アクリルの曲げ加工はヒータで暖め机の角などに押し当て曲げます。ストーブのヒータを改造して使っていますが写真の状態では温度が高すぎです。ほんのり赤くなる程度で良いようですが試行錯誤しながらの作業です。

折り曲げ部分のテープは目印の意味もありますがテープを巻いて熱が掛からないようにしたつもりです。保護紙は加工終了まで剥がさない方が良いかはがした方がよいかはよく判りません。
近くの工場ではヒータの上にスリットを置き曲げ部分のみに熱を集中させる工夫をしていました。また保護紙は剥がして作業していました。
保護紙は加熱時に焦げて硬くなりそれが軟らかくなったアクリルに凸凹の痕跡を残すようです。
「机の角で」と気楽にやってますがやはり当て物は綺麗な平面の出た型を用意することが必要と思われます。

ケース部材の加工が終われば基板の組み付けです。当然のことですが基板は動作確認を済ませておきます。
予定道理組み付けが出来ればよいのですがたいていは多少の修正が出ます。それらをクリアして完成です。

【 校正 】

測定器として使うには校正をしなければ役に立ちません。
取説に従い校正します。校正は簡単にできます。
しかし誤差1%以内に対し表示桁数が最大7桁の表示が出ます。1%と云うことは頭から3桁が信用できる数値でそれ以下はほとんど意味のない数字です。
そしてこの意味を持たない数字がチラチラ変動し結構気になります。
手持ちの100P/1%のコンデンサを測定したところ誤差の範囲ではありますが低めに表示されます。
その他精度の高いモノを測定してみましたが全体に低めの表示をします。と云うことはキットの基準が高めであると思われます。とは云え誤差の範囲(1%以内のズレ)ですから問題有りません。
取説を読んでいましたら「CRefの調整」という項目があります。キットに組み込まれたCRef(基準コンデンサ)は10000pFです。これは±1%以内と言うことですから実際には10100〜9900pFの範囲内と云うことになります。わたしのCRefは大きい方へずれているのかも知れません。
このキットはこのCRefの値をトリミングできる機能を持っています。
もし仮にもっと高精度のCメータを使える環境に出会ったり、高精度のコンデンサを手に入れたりした場合それを使って校正できる機能があります。
高精度コンデンサを測定端子に入れて表示がコンデンサの表示と一致するようにCrefの値をトリミングすればよいのです。

このキットが何桁までの演算をしているかにもよりますが、7桁の表示が出来るからと云って数値を追い込んでもそれはあまり意味のないことです発信周波数はコンデンサだけでなくコイルや他の発信回路部品の影響を受けます。それは電源SWを入れた直後発信周波数が刻々と変化していくことで判ると思います。
設計者が誤差1%以内と表記するにはそれなりの理由がありたまたま7桁の表示があるからと云って追い込んでもあまり意味がないことを理解して下さい。
有効桁数を考えれば4桁表示くらいが適当なのかも知れません。実際に小容量では3桁しか表示されません。

全体の説明がコンデンサに偏っていますがコイルについても同様です。測定周波数は700kHz前後です。コンデンサについては使用周波数に合った素材を選べば問題ないと思います。
コイルについても同様ですが、コア入のコイルについては注意が必要です。周波数によって適合するコアの材質が異なりQの低下が起きたりしますのでお気を付け下さい。
この様な製作の場合、時に加工寸法図面も入れて欲しいという要望があります。
しかし、同じ材料が手に入らないことも予想され、またその人なりのアイディアを組み込んでいただきたい気持ちも有ります。出来上がった作品も私自身満足出来るモノではない場合もあります。私の製作例はひとつのヒントになれば良いという考えで発表しています。そのため詳細寸法や組み立てに必要な部品ビスや細かい部品の明細は書いていません。
不明な点はどうぞ掲示板で質問して下さい。出来る限りお答えするようにしています。
今回の作品のように組み立てキットを使っても10人10色の完成品が有ると思います。ぜひご自分の感性を盛り込んだ作品を作られることを期待しております。

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