マウスゲージ
デジタルノギスを改造したハイトゲージのおもちゃです。
おもちゃと云ってもチャント使えます。

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ハイトゲージと呼ばれる高さなどを測る工具があります。
測定した位置を他に移したり、罫書いたりする便利な道具です。
予想はしていましたがノギスだけでは強度が不足です・補強をしました。

ハイトゲージ(height gauge)はとても便利な工具ですが意外に高価なのです。
罫書きだけを目的としたトースカンと云うのもありますが、やはり絶対値の読み取りが簡単なハイトゲージがほしくなります。
作れないだろうか?

構造は簡単で先端のスクレイパ(scraper)の高さをノギスのようなメモリで読み取るだけです。
最大の難関はスクレイパの”0”とメモリの”0”を合わせる方法です。
一応測定器ですから0.1mm以下の読み取りが出来ることが望ましいのです。
メーカ製はこのゼロ合わせ機能が価格に大きく影響しているようです。

これを解決するのが最近のデジタル技術です。
読み取り部分をデジタルノギスでやればいとも簡単に解決できます。

制作に当たりこちらのサイトを参考にさせていただきました。
「ミニ旋盤工作室」


引用:この画像は株・ミツトヨ<http://www.mitutoyo.co.jp/>のカタログから引用しています。
この製品は同社では簡易型と称しているとおり低価格品・とは云っても高価ですです。
寸法出しが作品の仕上がりに影響する基本的な作業工具ですから、
作業内容によって高精度品を選択する必要があります。

ハイトゲージは一般的には馴染みの薄い工具かも知れません。同じような工具にトースカンと云うモノもあります。引用写真のように定盤の上で工作物の高さの測定やけがきなどをすることが出来ます。
ハイトゲージの要件としては作業動作が定盤の上で移動(滑らせ)させながら先端のスクレイパで罫書きあるいは高さを読み取ります。
そのためベース部分が浮き上がることなく適度の重さが必要です。また、スクレイパの先端に力が掛かるため尺の部分のたわみや捻れに対する構造的な強度が必要です。
ベースが定盤に密着する精度の高い仕上げ。
尺がベースに対し垂直であること。
罫書き動作によりしゃくにたわみや捻れが起きないこと。
メモリの読み取りが正しくできること。(ゼロ点を正確に合わせられること)
*スクレイパを研ぎ直したり交換したときゼロ点補正が必要です。
工作精度に見合った測定精度が必要。
測定部分はノギスに似ていますが尺の剛性を大きくする工夫がされています。また、スクレイパの摩耗や再研磨、交換に対応するようゼロ点補正機能などがあります。

手持ちの工作機器や自分の技量を考え作りやすい構造を考えなければなりません。

私が持ってる工具はX-1と呼ばれるおもちゃのようなフライス盤となにがしかの手作業工具だけです。
このフライスでは鋼材の研削はかなり辛い作業です。無理しても精度を出すのは大変です。
ハイトゲージのベースは有る程度の大きさと重さが必要です。実は鋼材をチョットだけ買うのも厄介なことなのです。
何か良いモノ、良い店はないかとインタネットを検索していましたら良いモノが有るじゃないですか!
それも目の前に・そうですマウスです。チョット軽いのですがフイット感は最高です。そうだこれをベースにしよう。
しかしマウスはテーブルとの摺動面がプラスティックであると云うことを忘れてはなりません。
定盤上のゴミや傷により摩耗が起きやすいこと外部応力によるひずみが大きいことなど測定精度にマイナスの要因が有ります。
尺の部分は安物のデジタルノギスです。これを加工して使います。
ハイトゲージは測定範囲が300mmというのが標準のようですが私の場合150mmくらい有ればよいので150mmのノギスにしました。小物の加工に大きすぎる道具は使いにくいのです。
ノギス本体は一応1/100の分解能があります。
デジタルノギスを使う理由はゼロ点補正が簡単なことです。
私の場合1/10程度の測定が出来れば充分と考えています。


マウスの中身を全部取り出します


デジタルノギス(150mm)を分解します
ジョウの部分は不要です
グラインダーでカット!

私のノギスは安物にもかかわらずジョウの部分にチャント焼きが入っていました。
不要部分の切断は金ノコでは切れません。切断砥石を使いました。アングルに固定用の穴も超綱ドリルで開けています。
使用するノギスを長くすれば300mmタイプも可能ですが300mmのノギスは安物と云っても高価でです。気になる尺のたわみだけでなくノギスが高価なこともことも150mmノギスにした理由です。
このことは参考にした「ミニ旋盤工作室」にも書かれており補強をしています。
今回とりあえず、私は補強なしで進むことにします。

マウスにノギスを取り付けるには厚手のフラットバーやアングルで補助金具を作ります。
材料は中古品、汚らしいですがガマンガマン!
この様な建材の端切れはゆがんでいることがあります。アングルの直角が狂ってることもありますので確認しておくと良いでしょう。
本来この部分は鋼材ブロックを加工して充分な重さと剛性を持たせるのが常道です。
私の場合、測定範囲が150mmで短いことが幸いして軽すぎる感じはありません。


マウスにノギスを取り付ける金具
左側アングルでノギスを挟み
右側フラットバーのベースに組み付けます。

マウスベースの内側ははマウスとしてのいろいろなパーツを付けるため突起物があり平面ではありません。
さらに形状も寸法を出しにくい、変形品。
不要な突起物はフライスで削り取ってしまいます。外形は型紙を作ります
型紙に合わせフラットバーを切り出し、グラインダで削り出す怪しげな造りです。
へたくそな歯医者と同じで手間が掛かります。
このベースがすべての基準ですからマウスベースとの整合も納得いくまで仕上げます。
このベースの上にノギスをアングルで挟んだ物をのせます。
アングルの直角精度も気になりますが補正を必要とする程の誤差は無いようです。
尺が300mm程度のモノになればどうなるか気になる所です。
市販ハイトゲージのお値段も300mmを境にビックリする程高価になります。


マウスの中に組み込んだベース
うまく収まるまでしっかり作りましょう
バックの画像がうるさくて済みません


スクレイパとノギスのセンサを繋ぐユニット
フライスの研削面が汚いですね
もっともっと腕を磨かねばなりません

使用したデジタルノギスの尺には目印のメモリが入っています。
このメモリがゼロのところでスクレイパの先端が定盤に接したときゼロになります。
アナログ式の場合これが合わないと全く使い物になりません。そのためゼロ補正に特別の工夫をしています。
デジタルの場合はだいたい合っていれば良いのです。
デジタルの場合このメモリは普通にノギスとして使う場合でも目安以外の用途はありません。
スクレイパを下ろし定盤に接した所でデジタルメモリのゼロSWを押せば表示が”0”となり絶対値表示が出来ます。
デジタルノギスを使えば厄介なゼロ補正機能がいらないので簡単にハイトゲージが作れるのです。

実際に使ってみた場合ベースの重さや大きさはしっくり手に馴染み思ったより良い感じです。
しかし、「ミニ旋盤工作室」のイシムラさんもご指摘のとおり150mmの長いものを罫書いた場合尺の剛性が足りず多少たわむようです。
対策のアイディアはいくつかありますのでとりあえず完成と云うことにして対策は後日と云うことにします。


補強され実用性が高まったマウスゲージ

何とかなると思った尺の剛性不足は実際に使って見ると何ともならないことが判明しました。
ベースから8mmのステンレス丸棒を立ち上げノギスの最上部に固定しました。
これで尺のたわみやねじれが気にならなくなり私の工作に役立ってくれそうです。
この方法も「ミニ旋盤工作室」イシムラさんのアイディアを真似しています。


尺のトップにビス留めです。

マウスベースは手に馴染むという意味では凄く良いのですが大きさ(幅)に問題点があるようです。もう少し幅が広いと申し分なしです。
私のフライスX-1では鉄の加工は腕の悪さも重なってなかなかきついモノがあります。
この加工中にもプラスティックギヤのトラブルが発生しました。幸いなことにX-1を改造して不要になったギアを microroboさんから譲り受けていましたのですぐ修理できました。感謝!
*いつも多くの方に助けられています。ありがとうございます。

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