FETアンプを試す

ja1cvf   0404


久々にアマチュア無線用のリニアアンプの実験です
偶然ジャンク基板を手に入れたことがキッカケです。

 

秋葉原に行ったとき、いつも顔を出す桜屋電機・その日も親父さんにご挨拶!
帰ってきた言葉に・二階の店に面白いものがあるよ! 聞いてしまったら見てこないわけにはいきません。
その店先で
”サクラ屋の親父さんがなにやら云ってたけど”
    ”これのことかなあ”
取り出したのは 2sk410が4つも付いた基板です。
”これいくら”   ”サクラ屋情報じゃあ・しょうがないなあ・安くしとくよ!”

実は私 2sk410 の素性は良く知らなかったのですが ”HFのリニアアンプが作れる”  ピンと閃いたのは云うまでもありません。
桜屋の親父さんに ”これ買っちゃったよ!” と挨拶もそこそこに帰り道を急ぎました。

今は良い時代です。インターネットで調べてみると素性が判ってきました。
基板を煎餅のように裏表何回もひっくり返して回路を読み出しました。 これは素晴らしい掘り出し物! 2〜300wのアンプに最適な基板でした。間欠使用なら500wも可能?
予備実験で汚れてはいるものの動作品であることも確認できました。

しかし、この基板を使えるようにまとめ上げるには問題がありました。
電源として80V が必要なことです。

電圧が高いことはアンプとしては良いことなのですが、電源としては中途半端です。 トランスは重いのでSW電源を探さなければなりません。もちろん正規品は高嶺の花で相変わらずジャンク利用が原則です。 秋葉原では見つからず、インターネットの通販を探しまくり、窮すれば通ず。
見つけました! 有名メーカの電源を直列にして2台でまかなえるものを。 送られてきたものは新品箱入り、ワールドワイド仕様(AC電圧85~265V 対応)の優れものです。出力制御も簡単なロジックでできるなど至れり尽くせりです。 早速電圧を調整し負荷テスト・予想通りの高性能電源でした。

電源が決まれば、放熱設計をしてケースに組み込めばできあがり。 難しい高周波関係は完成品ですからあとは簡単! と、思いましたが既製品のケースではどうもしっくり行きません。
それなら作ってしまいましょう!
電源のケースをベースにアルミの板金細工で仕上げてみました。
この加工には、”つくば工房の折り曲げ君”が大活躍です。
*つくば工房はホームページも閉鎖されていますが、折り曲げ君はアマチュア用としてとても使いやすい工具です。 つくば工房の早期の再開を望みます。
材料は1mmと1.5mmアルミ板、表に出るところはアルマイト加工済みの板を使いました。

メインSWは電流も多いので電力用の安全ブレーカ(100~200V 対応10A)を使いました。これによりフューズも不要です。重要な放熱器は空冷では大きくなってしまうので強制空冷にしました。 チョット小降りですが手持ちの放熱器を取り付けました。
アンプの入力には3dBのアッテネータを入れ整合状態の悪化を防止しています。10W 程度の入力で200wの連続出力を得られます。FETの能力としては500W 程度まで可能ですが熱的設計の見直しが必要だと思います。 放熱器の冷却用に8cmのブロアを2台使って電源から通過してくる風を効率よく放熱器に導きます。 200wの出力であれば安心して使用できます。さらにケースの外へ吐出すために9cmのブロアをもう1台使いました。 合計5台のブロアが動くことになります。

アンテナ回路にはバンド毎に対応するローパスフィルタを入れています。フィルタについてはもう少し調整に時間を掛ける必要がありそうです。プラグイン方式ですからぼちぼち作ります。
*その後コアを交換し(14MHz用・アミドンT200-6をT130ー2に)再調整しました・巻数が合わないため(端数になる)cutoff周波数が低すぎましたので端数が少なくなるようなコアにしました。サイズは小さくても連続送信でパワー低下も気にならない程度になっています。完了したのは14MHzだけです。実用化の道はまだまだです。
動作状態の確認用に温度計(放熱器温度測定)、電圧・電流計、入力・出力・反射計などを付けています。 これはラジケータのメモリを書き換えたもので精度は良くありません。ラジケータは直線性が悪いので校正が難しいのです。 細かいメモリを付けずに動作領域をグリーンに、危険領域を赤に塗り分けインジケータとしての機能にとどめました。
基板が一流メーカの製品であったせいか安定性は抜群、 各種測定用回路も組み込まれていましたのでキットを作るような感じで制作を楽しむことができました。

サイズは約250X300X180、総重量は8.2kgです。こんなに軽くできたのはSW電源を使った結果と思います。 ちなみに放熱器を含まないアンプ本体の大きさはシールドケースに入れた状態で180X130X40です。昔風 のトランスを使った電源と真空管を使ったら30kgを超えるかもしれません。改めて時代の進歩を感じました。

これを実際に使うためには免許の変更などやっかいなことが残っています。 今年から電波形式の表記が変わったので頭が痛いです。形式ばかりを重んじる日本の法律はやっかいです。
これから面倒な書類作成をしなければなりません。

こんな小さな基板(130X170 )で連続200wの出力が取り出せます。 この電源(127X63X275)1台で400wの電力を取り出せます。
今回は2台を直列に使用します。
電源2台をこのパネルで結合すると同時に送風ダクトの役目も併せ持つようにしてあります。

結合した電源の上にブロアを組み付けます。手前に見える接続端子にはカバをかねた補助ダクトをかぶせます。 ブロアの上にはこの放熱器が載ります。上のケースには基板が収まります。(ケースを逆に取り付けてしまった。) 電源の後から吸い込んだ風を上のダクトに送る補助ダクトです。

外観が見えてきました。白く見える部分はフィルタの入るところです。 後ろから見ると吸い込みようのブロアが2台、上には吐出しようのブロアが1台付いてます。
左のケースには制御基板が。
前パネルにメインSWとメータを取り付ける作業中。

メータは動作範囲をグリーンに塗り分けた手作りスケールを付けています。 前パネル角穴にはプラグインのフィルタを入れます。よく使う2バンド分が収納されています。 制御基板は外部からセットできるようになっています。

プラグインフィルタユニットです。 中身はトロイダルコアで作ったT型フィルタ2段です。14MHz用です。*その後コアを交換し再調整しました。 フィルタの特性・画面中央が14.5MHz左のマーカは0位置。右の段になっている所がスイーパの発振限界35MHzです。

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